むかごの日記Ⅱ

70歳を過ぎてにわかに植物観察に関心を持ち、カメラを提げて、山野を歩いています。新・むかごの日記より引っ越しました。

ナツメ:棗(字は体を表す?) 

2013-06-17 10:52:34 | 日記

ナツメ:棗(クロウメモドキ科ナツメ属)の花が咲いています。
中国北部原産の落葉小高木で、中国では重要な果樹の一つとなっているそうですが、日本では果樹としての人気はいま一つで、秋に実る楕円形の果実(’11年9月7日記事)は林檎のような食感で、生食や乾燥果にされるのですが、しばしば木の上で干からびているのをよく見かけます。

今の時季に葉の付け根に咲く花は黄緑色の小さいものであまり目立ちません。よく見ると枝に托葉が変化した鋭い刺が2個あり、1個は短く下に曲がって鉤形になっています。ナツメを漢字で書けば棗で、朿(トゲ)という字が上下に重なっています。まさに“字”は体を表すといったところです。(ちなみにイバラは朿が横に二つ並びます)
ナツメの名は夏芽で、芽が出るのが遅く初夏になるからきているといいます。また茶道で茶を入れるのに使う棗は形がナツメの果実に似ていることからきています。ナツメの語感、果実の色形、それから来た茶道の棗のまろやかな形から受けるイメージと、漢字の棗の持つ朿(トゲ)のイメージが大きく異なる不思議なナツメです。