




(やっぱりこのまま行くなんて無理だよ!)
もう二度と会いたくないと思っていたからだった。
(この男が敵を生かすはずがない)
(気持ち悪い)
(どういうふうに育てられたんだろ)
(本気で怯えてやろうか)
(やっぱり、至央もそう思うんだ)
(どんな人なんだろ……)
(なんで任史さんは、至央を助けないんだろう)
(至央の素の顔は初めてみたかも)
(この人なら話しあえそうだな)
(任史さんは、この状況をどう思ってるんだろう)
(そういえば今の、任史さんに聞こえてたよね……?)
(この温もりを、私は敵と思えるのかな)
(もしかしてこれ、あえての行動なのかな)
「私だって、今は至央を大切に思ってるんですよ」
(子供扱いされてる気がする……)
「そ、そんな上目づかいしてきたって……!」
「またまた、どうせ上げて落とすんでしょ」
(私とは違って、余裕なんだな……)
(任史さんに言われるとモヤモヤする……)
指先を伸ばした。
(こういうの、大人なら納得しないといけないのかな)
(! もしかして任史さん……照れてる?)


(任史さんの顔が見たい)
涙が溢れた。
「任史さんたちは、……味方ですか?」


「……死ねるよ」


桔梗があの子を連れて来てくれたんだと思った。



(……でも、これ以上近づくべきじゃないんだろうな)
「任史さんたちは、……味方ですか?」



(……やっぱり、勝手だよね)



カゲロウが様子を見にきたんだと思った。
