中国備忘録→司法備忘録

中国での体験記(備忘録)
→司法界での体験記(備忘録)※現在入口
→単線没個性社会に一石を投じ続ける日記

弁護士報酬の決め方と無料相談と業界疲弊の関係

2017-11-13 02:01:20 | 中国の法律と日本の法律
 日本の弁護士報酬の体系は、月額定額企業顧問契約と大企業の定型的業務を除くと(特に訴訟はほぼ確実に)、基本的には、着手金と報酬から成り立っています。

 着手金というのは仕事開始の時に支払う、返還不要・不能なお金のことです。

 報酬というのは、成功の程度に応じて、最後に払うお金のことです。そして、その報酬ですが、経済的利益(要するに何らかの金銭)が得られるものについては、依頼者が得た利益の8%~20%ぐらいが通常だろうと思います。
 ※着手金を抑える代わりに、報酬を厚くする、といった合意も可能です。

 これはこれでひとつの算定方法としてありだとは思います。

 ただし、一つ大きな欠点(?)がありまして、それは、かかった労力に全く比例しないということです。

 つまり、タイムチャージ(弁護士が1時間働いたらいくら払う)であれば、確実に労力比例であるところ、着手金・報酬方式は案件の大きさに比例するため(逆累進的であるものの基本的には案件が大きくなればなるほど弁護士報酬も大きくなる)、、、


 そもそも訴訟等で求める金額が50万円の案件と5億円の案件で労力は後者が1000倍にはならないのに、報酬は後者が何百倍にもなるのです。 


 そうすると、弁護士の意識としてどうなるかと言うと、どうしても、


 「小さな」「大変なだけで実入りの少ない」案件を10件より「大きな」「簡単に大金を手にできる」案件を1件取ろうという、一攫千金的な発想にならざるを得ません。


 そうなると、どうなるかと言うと、その「大きな」「簡単に大金を手にできる」案件を獲得するべく、そのチャンスを少しでも高めるべく、大きな案件になる可能性のあるジャンルの法律相談を無料で受けることになります。

 具体的には、個人案件で言えば、「(大きな)交通事故の被害者」、「(金持ちの)相続」、「(相手方が金持ちで財産分与が期待できる時の)離婚」です。

 大方の弁護士の本音は、こういう「大きな」「簡単に大金を手にできる」可能性のある案件の依頼者だけ、無料で法律相談に乗りたいのですが、ここまであからさまにやると、いろいろまずい訳です。

 そうするとどうするかと言うと、基本的には初回相談は全部無料にして、とりあえず多くの人に来てもらった上で、いわゆる美味しい案件は自分で取り、美味しくない案件はなんのかんの言って断るか、事実上の紹介料を取った上で別の弁護士に押し付けるかする訳です。

 で、いわゆる依頼者からはどう見えるかと言うと、上記のからくりは薄々とは気づいている人も多いとは思いますが、いずれにしても、


 あ、法律相談って無料なんだ~。 


 こんな意識になります。

 これって、弁護士からすると、結構大変なことなのです。

 もちろん、初回相談費用というのがなくなるというのはありますが、これは微々たるものです。大きな問題というのは、


 「弁護士は、最近、案件を獲得するのに必死だから、基本的に初回法律相談というのは無料なんだ~。(有料だったら行かないけど)とりあえず弁護士に会ってみるか~」という層が増え、そんなん弁護士マターちゃうやんか!という相談が増えている。このため、弁護士サイドからすると徒労が増えている。 

 
 これね、結局は、業界全体の自業自得なんでしょう。

 結局、業界全体で、一攫千金的な料金体系にして、その幻想を追いかけ業界全体で無料相談を増やしまくり、結果として弁護士のアドバイスの価値を自分たちで貶めているのです。


 私は、いかなる業界でもそうですが、サービス提供サイドとサービス受領サイドは対等だと思っています。弁護士は司法試験に合格しているから偉いなんてさらさら思わない一方で、「お金を払うから依頼者は神様だ」とも思っていません。無理なことを指示するようであれば辞任しますし、無理なことを言いそうだなと思ったら最初から受けません。

 (有料だったら行かないが)無料相談だったら行くという人は、そもそも無理筋な案件で、いろいろ無料相談をはしごした上で「案件を欲しがっていて甘いことを言ってくる弁護士を見つけよう(あげく、とりあえず着手金は無料でやらせよう)」という意識が見え隠れしていることが多いです。


 あのなあ、こっちはそんなにお金に困ってねえんだよ(笑)。ふざけたやつに、法律の識見なんて無料で提供するかボケ!やんねえよ、そんなの! 


 そういう訳で、お付き合いでどうしても断れないもの以外は、無料相談はやめようと決めました。

 無料相談にしなければ出会えない人というのは、多分、出会ったところで、正当な報酬は払ってもらえないのだろうと私は思います。

 私は、正当な報酬を払ってくれる人については、真剣に対応しますし、最大限努力します。ですが、そういうつもりでない人については、一切何もやりません。私は公務員ではありませんし、聖人君子でもありませんし、私自身の健康・時間も大事です。


 ほんと、この弁護士という仕事をしていると、よく思います。


 国籍問わず、えげつなく品のない人間は結構いる(爆)。

 お前ら自身がただで働かないくせに、他人にただで働かせようとするんじゃねえよ。
 
『社会』 ジャンルのランキング
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 夢の17連休へ!!! | トップ | どうしてもfacebookを好きに... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

中国の法律と日本の法律」カテゴリの最新記事