みる きく よむ

読んだ本などを忘れないように書き留めるメモ。

村上春樹『東京奇譚』

2007年12月07日 22時17分46秒 | 文芸書
家に読みかけの本を忘れた日に、ブックファーストにて衝動買い。

みんなが村上春樹を大好きなのは、時系列での、または作家としての、
「圧倒的な軸のぶれなさ」を信頼しているからだろう。
それに憧れるし、懐かしみを感じるし、安心するんだろう。

おしゃれで、心地よい深みがある、変わらない場所。

きっと、ずっと安西水丸が描くあの顔のまま、村上春樹は生きるんだろうな。

この本を読んで、「可愛い。」と思った。
「ほかほかフルムーン」とか、サチさんの雰囲気とか。
「ジャズの神様」の話自体、不思議というより、可愛いし。
村上春樹は、可愛く年をとるようだ。

もう、内容の大半を忘れてしまっていて、
世界の色とてざわりだけしか、残っていないけれど。

村上春樹の本は、必ず、コンスタントに、
温かくて、とっても美味しい大皿料理を平らげたような、
満足感を与えてくれる。

職人だ。これぞプロだ

岩井俊二『リリイ・シュシュのすべて』

2007年12月05日 20時17分58秒 | 映画
ある論文を読んで、見返したくなったので、
ツタヤのタダ券で借りる。

この映画は具体的次元ではリアルではなく、
次々と起こる目も当てられない出来事は、すべて三面記事的な記号。
あの1990年代の底抜けに明るくも狂気と肉薄している時代の。
そうでなければ、あまりに陳腐だと思う。

登場人物の心のてざわりだけがリアル。
多分これが、この映画を礼賛する人々の、主な理由。
星野君の叫びがこの映画の全てを象徴している。

存在への欲望。
自己が、他者が、「ここにいること」の実感の欠如。
感覚を刺激するため繰り返す「ひどいこと」。
一向に立ち現れないリアリティ。
それを埋めることの不可能、言い表すことの不可能、
それがゆえの叫び。
叫んだとて何も変わらない。誰も聞いていないから。

エーテルはサンクチュアリ。
決して存在することは無い場所。
神の概念、ゼロの概念と同様、存在すると仮定すれば、様々な物事に整理がつく。

映像が美しい。
どこにでも転がっていそうな風景が、一瞬、この上なく美しく見えるとき。
誰にでもあると思う。
携帯電話の写真には残せない、残そうともしないけれど。
光の加減。散らかった部屋にある、古いピアノ。

音楽の使い方も、やや嫌みながら悔しくも素敵。
サティ、ドビュッシーが美しい。ピアノが弾きたいな。

幼き市原隼人の演技が秀逸。
「地味な中学生男子感」を、演じる事無く演じている。
剣道部の先輩にラーメンを奢ってもらうシーンが印象的。

沖縄の部分が全ていらないような気がする。
市川実和子、大沢たかおの「演技的演技」が、何か白ける。
「だつ」のシーンは好きなんだけどな。

この映画を大切にしている人が周りに数人いるけれど、
わからんでもないが、私にはストライクではなかった。

私にとっては、この映画とエヴァの世界観は類似しているのだけれど、
エヴァの方が、表現の営為として格好良いし、つきぬけているし、
シンプルで分かりやすい。

岩井俊二『リリイ・シュシュのすべて』

ジャン=リュック・ゴダール『はなればなれに』

2007年12月05日 18時54分31秒 | 映画
途中で寝てしまった…。

アンナ・カリーナは可愛いけれど、『繰り返しみちゃう!』って程でもなく。
ナレーションで詩的な言葉を言っており、それはいちいち良かった。
テキストの使い方がポップ。

唯一大好きなシーンは、ルーヴルを3人で走るシーン。可愛いなー。

私にとっては特筆するべきこと無き作品だった

ジャン=リュック・ゴダール『はなればなれに』