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人間ポンプにはなれなかった(その2)

翌朝すぐ会社にとって返し、診療所に駆け込んだ。レントゲンのフィルム机にを並べて医者が言った。『ここの白いところがどうも気にかかる。もう一度バリウムを飲んでも、この程度の写真しか撮れないので、胃カメラで直接チェックします』胃カメラ?なんですねんそれ

甘くない粉末ソーダの元みたいなもんを飲まされ、肩には胃の活動を抑える注射。最後は喉に麻酔をかけると言われ、透明な液体を喉に一匙たらされた。飲まずに喉の奥に貯めておけと言う。それも5分。それが済むと横に寝かされ、真ん中に穴のあいた牛の骨髄のようなものを咥えさされた。すると医者はその穴にゴムのガス管ほどある黒いチューブを差し込んだ。

思わず吐きそうになるが、『つばを飲み込め』と言われる。ためらっているとどんどん管を腹の中に押し込んでいる。管には潤滑材が塗られ、痛くは無いのだがとにかく気持ち悪い。口には例のマウスピースが噛まされており、ちゃんとしゃべることも出来ない。それをいい事に医者はどんどんホースを突っ込んできた。

暫くし、画像を見ながら『うーん』と医者がうなる。『う~~~ん』・・さっきより深刻そうやんけ。思わず『しぇんしぇい(先生)おーなんでうか(どうなんですか?)』すると医者それには答えず『うーん。なんなんだろうな、これ』・・えーそんなに重症??? すると『きれいなもんだよ。・・なんともない』この時、ドツクぞ、ボケが・・と心の中で息巻いていたぼーずだが、本心は『やったー、無罪や』である。

照れ隠しなのだろうか、医者はぼーずの口の周りを拭きながら横目でレントゲン写真を睨んだ。『いやね。この白い部分が腫瘍に違いないと考えたんだけど、その跡すらないよ。なにがこう写ったのかなぁ?』と自分に言い聞かせるように言った。兎に角これで治療の必要は無い。大喜びで酒を飲みに行った。

それから20年。ぼーずの胃にはバリウムを飲むと怪しく見える所があるのが判った。毎年要検査と言われるのだ。案の定、今年も見つかった。『そこね。毎年言われてます。けど調べると何ともないんですよ』いつものようにそう逃げようとした。『そうか、毎年ねぇ。もう君も若くないんだし、一度安心料だと思って胃カメラ飲んどこう』・・・安心料であんなもん飲ますな!!

再び胃カメラの前に立った。科学の進歩か技術の革新か。以前よりチューブが細くなって、ガス管からサインペン並みに見える。幾分飲み込むのには楽になったが、やはり飲みにくい。聞く所によるとチューブの替わりに大きめの錠剤並みのカメラが出来たそうだ。飲み込んだ後、食道から順番に画像データを送り続け、最終的には体外へ出ると言う。

これの優れた点は咽頭から直腸まで一度に検査でき、おまけに再使用が可能なんだそうだ。口から飲み、体外に出た後で回収するのだ。しかし、ぼーずは強く言いたい。『いくらその後で洗浄、消毒するとはいえ、他人の〇〇から出たものを俺の口に入れるのは勘弁してくれ。』
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