見たかったというのは、雑誌等でストーリーは判っており、なかなか面白そうだったからだ。2022年、爆発的な人口増加に食糧の増産は追いつかず、人々は配給の食糧で生活していた。完璧な固形食糧ソイレントグリーンの配給は遅れがちで、人々は食い物をよこせデモを起こすようになる。
一人の富豪が強盗に射殺されるのだが、普通のもの取りではなく、なにか訳がありそうなのだ。捜査に乗り出したのがヘストン演じるところのソーン刑事。ソイレントグリーンの秘密を探り当てる。それからは命を狙われ、何度か危機を脱するのだが、最後に撃たれてしまう。血だらけの手を差し上げながら『ソイレントグリーンの原料は人肉だ』と叫ぶ所で物語りは終わる。
ストーリーは単純なのだが、描かれている未来がおかしい。食物どころか水までが貴重品。なのに富豪のマンションではお湯が豊富に出るし、家具と呼ばれる女性が建物に付いている。おいおい、奴隷制に逆戻りかい?刑事は殺人現場から役得と称し、食べ物や高価なものを勝手に持ち出すは、証人を拷問にかけるわとメチャクチャ(笑)
刑事の住んでるアパートの階段にまで、ホームレスらしき人間がびっしりと座っているのだが、裏通りの道路はガラガラ(笑)これを書いた作者は未来に希望を持てなかったらしい。時代はヴェトナム戦争の終わりを迎えていた。10年近く無駄な戦争を続けた虚無感が反映されているのかもしれない。
しかし、この主演のヘストンさんはよく死ぬなぁ。この頃のSF映画では主人公を殺すのが流行っていたのだろうか? 実生活でもかなりの高齢だ。ここはひとつ銃が蔓延した米社会は間違いであると宣言し、カッコ良く死んでもらえないかな。ライフル協会元会長が言えば反響は大きいだろう。本当は“汚れた顔の天使”みたいにわざとカッコ悪く死ぬほうが難しいのだが、まさか銃の暴発でアホみたいに死んでくださいとは言えないし。
※汚れた顔の天使(1938年、ジェイムズ=キャグニィ主演)
キャグニィ演じるところのカッコいいヤクザ、ロッキーが死刑判決を受ける。それに動じない彼を街の不良少年達はヒーローとあがめる。ロッキーの幼なじみである神父は少年達の将来を憂い、カッコ悪く死んでいくようロッキーを説得する。カッコ悪いカッコ良さを教えてくれた映画だった。
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