お寺さんぽ Ver.03

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大谷観音 大谷寺 (栃木県・宇都宮市)

2010年06月20日 | お寺
のんびり気軽にさんぽがてら。
本日は餃子で有名な栃木県宇都宮市の「大谷観音(おおや・かんのん)」です。

ネットで一目見た時から狙っていました。
周囲の風景を飾る独特な石が見事なこちら、通称「大谷観音」は「大谷寺」です。


正式名称は「天開山大谷寺」
歴史は古く、なんと平安時代の初期頃にまでさかのぼります。

大小の独特な岩が広がる、大谷の地。
その岩下からは水が湧き出していました。
がしかし、そちらに住んでいた毒蛇のため、水は毒気を含んでいたのです。
鳥獣ほか人がコレに触れると病気になるほか、最悪の場合は死んでしまうこともあったようなのです。

弘仁元年(810)
”もうこの地を捨てなければいけない”
そんな里人の憂いを聞きつけたのが、「弘法大師」こと「空海」さま。
ちょうど東国を旅していた彼は、毒蛇を除くべく谷へと入って行ったのです。

…それから、十日余り。
無事に谷から出てきた大師は、毒蛇を退治したと告げ、去って行っていきました。

おそるおそる人々が谷へ入ってみると、光輝く「千手観音」と、その脇侍として「不動明王」と「毘沙門天」が岩山にあったのです。
大いに感謝した人々は、仏教に帰依していったのでした。



と、こんなんが大谷寺の始まりのようです。
仏教絵本みたいなストーリーですねー。
ひでるさんは昔そんなん見てましたよ。

とりあえず確かなことは、平安初期にはこの地に千手観世の磨崖仏(まがいぶつ)があり、深い信仰があったらしいこと。
こちらの宝物館には縄文時代のものとされる人骨がありましたが、付近にはその頃から人が住んでいたようなんですね。
(※お寺の防災工事の際に、お堂下から発見されたようです)
そりゃー、仏教信仰があっても不思議ではありません。たぶん。

江戸時代になると、「徳川家康」の五女「亀姫」が住職「伝海僧正」による中興を援助。
現在の大谷寺の基盤を作っています。
徳川家の庇護を受けて大いに繁栄し、西の大分県は「臼杵磨崖仏」に対して”東の磨崖仏”として広く知られることとなるのでした。



そんなこんなで、「弘法大師」の作と伝えられる「千手観世音菩薩」
天然の岩壁に直接仏像を刻んだ、「磨崖仏」ですね。
古くから「大谷観音」と呼ばれ・親しまれ、鎌倉時代には坂東十九番の霊場として定められています。
日本初の”二重指定”の仏像としても有名で、”日本の石仏中で最優秀な技巧を究めたもの”として、特別史跡と共に重要文化財に指定されているのです。

見事な石仏ほか、岩山に張り付いたようなお堂、周囲の奇妙なな奇岩群なども独特で、楽しめると思います。
規模は小さいですが、先の人骨が展示された「大谷資料館」も見どころですよ。


[住所]
 大谷観音 大谷寺 栃木県宇都宮市大谷町


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※こんなアニメちっくなのでなく、リアルな絵だったと記憶してます。
 なんだっけかなー。
 最後のエピソードで、子供たちにいろは歌を教えるのよ。