お寺さんぽ Ver.03

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木彫の技法について (お父さんのための仏像講座) 

2009年07月12日 | 仏像
のんびり気軽にさんぽがてら。
本日はかなーり久しぶりに仏像講座です。
前回やったのが…08年5月でした!
前にも書きましたがめんどくさいとはいえ、ずいぶんこのネタほったらかしたものです。

そんなこんなで、
「お父さんのための仏像講座ぁ」 (※鼻にかかった声で読んでね)
…そういえば、元ネタ番組は終わっちゃったんだっけか?
まぁ、いいか。

仏像と言えば、やっぱり木像でしょう。
たぶん。
インドでは石像多く、中国では石像・銅像であるようですが、日本で最も多く現存しているのがこの木像なのでした。

仏教が伝来した初期頃から銅像と共に制作され、奈良時代には一時的に少なくなるものの、平安時代以降は”仏像彫刻の主流”となっていくのでした。
なんと、国宝・重文指定された仏像のうち、87%ほどが木像仏なんだって
では、なんとなく見てみましょう。

【 一木造 】
一木造(いちぼくづくり)です。
一本の木から丸彫りされた彫刻で、”一木彫成”と言います。
完全に一本だけと感じるかもしれませんが、実は頭部から胴体までが一木であれば一木造とされるようです。
素材などによって腕や膝を共木で接合する場合も多いのでした。
材料からの制約が逆に重量感を生み、迫力ある作品が多いのです。
奈良時代の後期から盛んになっています。

【 寄木造 】
寄木造(よせぎづくり)です。
一木造と違い、主要パーツを複数の材料から彫刻する技法。
藤原時代「定朝」によって完成されたと言われており、これは日本独特の彫刻法なのでした。
(※平等院の阿弥陀仏は「定朝」作です)
平安時代中期頃から発展。
あらかじめ複数の材料を集め、内刳(※うちぐり)して接合するのです。
こちらによって巨像製作が簡単になったほか、分業製作が可能になるんですが、熟練した技術を要するため京都・奈良で多く、地方では一木造が多かったようです。

※「内刳(うちぐり)」
 木彫の内側をくりぬいて空洞にすること。
 重量の軽減、乾燥の促進、表面の千割れ防止などのほか、体内に物を納めれるようになるのです。

【 鉈彫 】
鉈彫(なたぼり)です。
①木取り(※木から用材を得るため、位置などを決めること)
  ↓
②荒彫り(※細部まで手を加えず、ざーっと彫ること)
  ↓
③小造り(※細部を彫ること)
  ↓
④仕上げ
…という仏像の制作過程において、「荒彫り」時点で終えた技法。
彩色も施しません。
ノミの刻み目をはっきりと残し、素朴な美しさがあるのでした。
東国を中心に行われ、未完成とする説もあります。
⇒こちらは、以前「ちょっと特殊な仏像 「鉈彫仏」」にて紹介してます。

【 壇像 】
壇像(だんぞう)です。
厳密には彫り方でないですが…まぁ、いちおう。
白檀(びゃくだん)のような、きめ細かく・芳香ある材料(一木)から像を彫りだした小仏像のことです。
堅木であるため細かく彫刻されているのが特徴で、彩色を施しません。


…以上です。
とりあえず仏像の種類から彫り方まで知っていれば、どの仏像もそこそこの解説することができます。
たぶん。
お寺でモテモテですよ!
「以上、お父さんのための仏像講座でしたぁ」 (※鼻にかかった声で読んでね)



[関連記事] 【仏像講座、ほか】 
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