お寺さんぽ Ver.03

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三好一族の末路 (三好家の人々)9

2009年07月09日 | 歴史
のんびり気軽にさんぽがてら。
戦国時代に”三好政権”を築き上げた、畿内の覇者「三好長慶(みよし・ちょうけい ※写真)」
しかし、その晩年から広がった暗雲は、三好家の前途に暗い影を落とすのでした…。
そんな訳で今回も「長慶の死後にいったい何が起こったか?」…の、最終回をお送りいたします。

永禄十一年(1568)
上洛した「織田信長」に対抗した三人衆らは阿波へ逃れ、「松永久秀」はいち早く降伏。
三人衆らは元亀元年(1570)の「野田・福島合戦」にどうにか勝利したものの、将軍「足利義昭」の描いた”信長包囲網”は大盟主である「武田晴信」の死によって崩壊してしまうのです。
討死した「岩成友通」ほか、「三好長逸」、「三好政康」も歴史から姿を消し、後継者「三好義継」も敗死。
残った一族の「安宅信康」、「三好康長(笑岩)」、そして元重臣「松永久秀」も信長に降伏するのでした…。


一方、彼らより先に織田家へ接近していた「篠原長房」は、阿波にてますます存在感を見せていました。
しかし、補佐していた「三好長治(みよし・ながはる)」は遊芸・酒色にふけるほか残虐であるという”典型的の暗愚な将”で、たびたび行状について諫言していた「篠原長房」と不和になっていったようです。
そこに、一門衆であった「篠原自遁」の讒言が決定打となり、先んじて長治が挙兵。
この動きに彼の弟「十河存保」、そして雑賀衆らも同調したため、長房の居城である阿波・上桜城は大軍に包囲され、ここで敗死してしまうのです。
崩壊の第一歩ですね。

天正五年(1577)
倒れた武田に続き、今度は「上杉謙信」が上洛を開始。
対織田家の初戦となる「手取川合戦」では織田家を存分に蹴散らし、変わらぬ強さを見せつけたのでした。

ここで「松永久秀」は再び織田家より離反。
以前やっているので詳細は省きますが、またまた謙信の突然死によって余裕のできた織田勢は、嫡男「織田信忠」の率いる大軍にて信貴山城を囲み、久秀はここで爆死。

また、長房を討った「三好長治」は弟存保の言葉にも耳を貸さずに強権を振りかざして、多くの離反を招いたほか、天正三年(1575)には阿波全土へ法華宗を強要して、より多くの恨みを買ってしまうのでした。
はちゃめちゃです。
こうして、打倒三好氏のために挙兵した阿波守護「細川真之」は、土佐「長宗我部元親」の支援を受けて長治勢と荒田野にて戦い、これを討ち取るのでした。
享年二十五。

こうして、讃岐にあったその弟「十河存保」は、四国制覇を目指す「長宗我部元親」の矢面に立つこととなったのです。
ここで「織田信長」と結び、阿波は勝瑞城へ入った存保はそれに抵抗。
信長より阿波を与えられていた「三好康長(笑岩)」は織田勢の先鋒となり、血縁である彼を支援すべく阿波へ渡海。
戦況は阿波守護「細川真之」を攻め滅ぼすなど、次第に十河・三好勢に有利だったんですが…。

天正十年(1582) [中富川合戦]
その後に勃発した本能寺の変によって、存保は敵中にて孤立してしまうのです。
(※「三好康長」は、変後に堺へ戻っていました)
上杉家同様、変によって滅亡の危機を脱した「長宗我部元親」は、逆に阿波へと侵攻。
高い士気と兵力に勝る長宗我部は中富川の渡河を強行しました。
勢いそのまま十河勢を破って、さらに一ヶ月後には勝瑞城をも陥落させたのです

この「中富川合戦」にて敗北した存保は、大阪へと逃亡。
後に秀吉に従って活躍し、三万石を安堵されましたが…前にも書いた「戸次川合戦」にて討死。
享年三十三。

織田勢の先鋒であった「三好康長(笑岩)」は本能寺の混乱を生き残って秀吉に仕え、後に「三好信吉(みよし・のぶよし)」こと「羽柴秀次」を養子とさせられ、ひっそりと歴史から姿を消しております。

なお、織田水軍に組み込まれた「安宅信康」は三十歳で病没。
その後を継いだ弟「安宅清康」は毛利氏に内応したことから織田勢の攻撃を受けて降伏し、彼の一族も歴史の表舞台から姿を消すのでした。

名将「三好長慶」の活躍から、戦国の世に一時代を築いた三好家。
しかし、相次ぐ兄弟の死から晩年に衰退したそのまま、残った子、そして一族らも悲願を達することはありませんでした…。


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