故郷へ恩返し

故郷を離れて早40年。私は、故郷に何かの恩返しをしたい。

やましき沈黙

2020-04-03 10:42:20 | プロジェクトエンジニアー

絵のタイトルは、「命の水」です。
戦時下、常に水争いが絶えない島に、水が年中湧く洞窟を掘らせた海軍大尉の記念碑です。
(短編小説「さなさん」より)


NHKスペシャルで、日本海軍の特集をやった。
戦後、反省会と称して日本海軍のトップ集団が集まって話したテープが出てきた。
第二回のタイトルが「やましき沈黙」であった。
やましい(疾しい・疚しい)とは、
病気の感じである。気分がすぐれない。
あせり・不満・腹立たしさなどを感ずる。心中おだやかでない。じれったい。
良心に恥じるところがある。うしろめたい。
(広辞苑より)
天皇直属の軍令部(海軍)の話が中心であった。
それはおかしいと思っても言えない空気があり、悪い方向にみなが流された。
勝てる見込みのない戦争の話であり、死ぬことを前提とした特攻作戦などである。
海軍は、陸軍と違って良識のある組織と感じていたが、違った。
「やましき沈黙」とは、戦争のすべてにおいて考えられる、組織に属する個人の責任のことである。

私達は、生まれてから死ぬまで組織に関わって生きている。
家族、学校そして会社や町内会である。
自由にものが言える時代に、忖度や長いものには巻かれるみたいな大人の行動が求められる。
わが身可愛さの「やましき沈黙」について考えてみたい。

群れて生活するのが私たちの生き方である。
人と違うのが、気になるものである。
いじめにあい転校をする。転職をする。
つい最近まで落ちこぼれ(負のイメージ)と扱われた。
NHKのナレーターも言われていたが、私も「やましき沈黙」に陥る危険性を抱えている。

権力とは、
他人をおさえつけ支配する力。
支配者が被支配者に加える強制力。
(広辞苑より)
戦争被害について語る番組は多い。
転げ落ちるように権力に座していったのか、知らせてはくれない。
戦争を進めたもの、戦争に参加したもの、被害にあったものすべてが語らなければならない。
権力を目の当たりにし、「やましき沈黙」に陥った。
おかしいと思いながらも、誰も反対できなかった。
作戦会議で特攻作戦(100%死ぬ攻撃)を決めた経過を誰も語らない、責任をとらない。
私で最後にしてほしいと学徒出陣で特攻志願した。(実際は、断れない命令があった)

私は、転職を繰り返した。二回もリストラされた。
こんなことではいけないと、会社を辞めた。
新しい職を得るのに苦労した。新しい職場の村意識に嘆いた。
それでも食いつないだ。
私にとっては、ささやかな抵抗の歴史である。
抵抗は、傷を伴います。
抵抗してスピンアウトすることになっても、「やましき沈黙」の悔恨からは逃れられる。

上の者は、自由に発言できる場を作らなければならない。
下の者は、その場で自由に発言しなければならない。
(NHKの朝ドラより抜粋)
議論は、どこかに落ち着くものです。
長い時を必要とするかもしれない。
その時は、馬鹿者と怒られるかもしれない。
しかし、怒られる分無視はされていない。

桜咲き すべての人に とき分かつ

2020年4月3日
コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 春が来た | トップ | できることがある »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

プロジェクトエンジニアー」カテゴリの最新記事