故郷へ恩返し

故郷を離れて早40年。私は、故郷に何かの恩返しをしたい。

わからないことへの挑戦

2019-03-03 06:46:06 | プロジェクトエンジニアー

好奇心を追っていると、どうしてもこうなっちゃう。
「ウフフとオホホ」です。



永い事、プロジェクトマネージャーをやってきました。
多くの人の力を結集する仕事です。
あちこちに関心がある人を、ある時期だけこの仕事だけに集中するためにチームを作ります。
この人は、どこまでやるか。
この人は、何に向いているか。
この人に、何をしてもらうか。
初めて会って、その人の表情を見ながらおおよそ決めていました。
実際に仕事をやりながら、調整していました。
仕事が終わると、またバラバラになりあちこちに関心を示す人に戻りました。
それをプロジェクトごとに繰り返してきました。

今日のタイトルは、「わからないことへの挑戦」です。
少子高齢化が原因の過疎と世の中では言われています。
本当にそうだろうか。
私は、それを見極めたいと地域おこしの仕事に就きました。
少子高齢化は、ずーっと前から予測されていた。
人口統計からわかることです。
でも、なにも手を打たれなかった。
打っていても効果的ではなかったし、本気でもなかった。
その前にやることがいっぱいあったということでしょう。

物理学者村山斉さんの最後の講義をテレビで観た。
「好奇心が一番の食べ物」と色紙に書かれて番組は終わった。
地域に来て最初に感じたことは、「ここは困っていない」でした。
今思うと、これは間違いでした。
「困っていない」ことこそ、困ることの前兆だったのです。
空き家は多くみられました。
空き家が、草に覆われていました。庭木は剪定されないまま伸び放題でした。
延びた枝が、電線まで届き通りを狭くしていました。
だけど、持ち主以外誰も手を付けようとしていませんでした。
まずは我が家から、我が家が終わると近所の空き家からと自然に興味は移っていきました。
持ち主の許可をいただいて、草刈剪定を始めました。
空き家を隠そうか、見えるようにしようか悩みました。
見える方が、すっきりしてよいと判断し伐りに切りまくりました。
これが楽しいのです。
毎日、風景が変わっていく。
元の繁栄が見えてくる。
こんな楽しいこと、誰にもやらせない、一人でやろうと決めました。

ある日、うっそうとした通りを通って畑に行かれる近所のおばさんが、
「ありがとう。私も気になっとった」と言われました。
へえ、気にしてたんだと思いました。
通りがきれいになるにつれて、私の範疇外の場所の草刈や剪定が始まりました。
自分の家の前だけ、汚くしているわけにはいかない。
それまで、小学生しか通らなかった。
不思議なことに、きれいになった通りを散歩する人が徐々に増えてきました。

見つかりました。
「楽しいことを俺にもやらせろ」という人が現れました。
見つかったならしようがないと、手伝わせてやることにしました。
カフェの開店が間近に迫っていました。
一人では一週間かかることが予想され、どうしようもなかったものが、わずか一日で終わりました。
4人が自ら道具を持ってきて、手伝ってくれました。

これかなと感じました。
困っていないことを困ったことに変える。
開店当初のカフェには、もの珍しがって多くの人がきました。
2か月もすると、引き潮になるように来店客は少なくなりゼロになりました。
今度は、私たちが困る番になりました。
これじゃいかんと集客のためのあれこれを始めました。
夜の商売を始めたのもこの頃です。
勤めがあって、これまでのように「家飲み」ができない。
一組だけの予約客をとり、お任せ料理を出すことにしました。
飲み物も食べ物も持ち込みOKとしました。
地元に特化しました。
利益も確保しなければならないから、食材を余すことなく使える在庫処理のおまかせ料理、
注文生産に切り替えました。
見込み生産をできるだけ少なくし、二人で対応できるようピークカットしました。
安くて、癒されて、便利な隠れ家のようなカフェができました。
自分の都合で行ける。

さて、このカフェをやめたらどうなるか考えました。
地域の人は困るかもしれないし、困らないかもしれない。
三年が経ち、地域おこしの仕事も今月で終わりです。
これから、どうするのか。と聞かれます。
私は、相手の表情を見て笑って答えません。
この人は困るかな。を見ています。

何にもないところに、いや元はあったけど、何らかの理由で無くなった。
困るようで、困らない。
困ると気づくのは、無くなってから。
そして、困ったことも忘れてしまう。
そうして過疎は進んでいくのです。
どうしようもないほど荒れてしまって、開墾から始めないといけないレベルまで落ち込むのです。

実は困っているんだよ。
見せることが、地域おこしじゃないでしょうか。
就農したい若者が現れる。
若者に来てほしいとあんなに切望していた。
本当に現れると、やめた方がよいという。
親心です。
でも、どうやら本気らしいと分かる。
今度は、村人たちが困る。
空き家はたくさんあるけど、適当な家は一軒もない。
耕作放棄地はたくさんあるけど、この子に勧められる農地は一つもないことがわかる。
やれやれ、なんだよ。
あんなに移住を迫っていたのにこれかよとなる。

わからないことへの挑戦。
わからないことがわかりました。

山椒の 実を見てなんだ 食べてよし

2019年3月3日

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