自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

キタキチョウ,孵化!(3)

2020-04-25 | 昆虫

この度,キタキチョウのふしぎな光景を目撃しました。それは共食いです。孵化数日経ってやや黄(黄緑)色を帯びた初齢幼虫が,別の産付卵に近づいて食べ始めたのです。偶然一部始終観察したので,報告しましょう。

たまたま卵のところを通りかかりました。色が黄(黄緑)色なので写真に収めようとしたら,卵に寄りかかり,そのまま食べる動作に。「まさか」と思って見ていたら,「まさか」が本当に!

卵殻だけなら中が透きとおっています。この卵は明らかに中身が詰まっていて,いずれ幼虫が誕生するものです。

ぐいぐい食べるので,そのまま事態の観察を継続。卵に触れ,前に食べた卵殻の感触がよみがえったのでしょうか。

 

上部から食べるのはいつものとおり。

 

できた切り口の辺りが黄色に。誕生することになっていたいのちの名残りでしょう。

 

どんどん食べていきます。

 

半分はなくなりました。

 

勢いはふつう。いえ,誕生したての幼虫より大きい分,たくましい感じ。

 

ここまでくると,なぜか食べるのをやめました。そうして,この場を去りました。

 

それにしても,スゴイ場面を目撃しました。例外ゆえに強烈な印象が残りました。

 


キタキチョウ,孵化!(2)

2020-04-24 | 昆虫

孵化とか羽化とかで,タイミングよく撮影できれば理想的。タイミングを逃す方がはるかに多いですね。よいタイミングとは,昼間,その上時間がある程度あるときです。

今回のキタキチョウの孵化は朝でした。時間帯が出勤時と重なり,冷や冷や。やむなく1時間の時休を取得して,とにかく撮影に集中することにしました。なんとか納得のゆく画像が得られました。

顎がくっきりと見えてくると,孵化間近。顎が動きかけると,繰り返し確かめます。肝心な場面を見逃してはたいへん。

 

殻の皮を内側から食いちぎる行動が始まりました。その一口目。

 

もぐもぐという動きが数度繰り返されます。

 

また噛みちぎる行動。

 

こうして皮が破られ,顎が現れます。

 

穴が少しずつ大きくなって,側単眼が見えかけます。

 

頭部が出ることを感覚毛で確認したはず。すると,ゆっくり,ゆっくり殻から出始めます。初々しい,澄んだ白っぽい頭が姿を現します。

 

無事に誕生しました。わたしにはこれが今春に観察・撮影できた第一例になります。

 


春! 虫の目写真シリーズ(40) ~続 モモ~

2020-04-23 | 

栽培農家の方が摘果作業をなさっているのをお邪魔して撮影させていただきました。

作業は,わたしには手間のかかる仕事に見えました。畑によっては,年配女性が梯子を使って行っている姿がありました。高齢化問題がモモ畑の維持・管理にも影を落としている様子。

 

撮影取材をした方は脱サラで,若く,まだ経験が浅い方でした。ご夫婦で200本ほどの木を世話していらっしゃるとか。

 

摘果のみならず,剪定も消毒も,下草刈りもしなくてはなりません。外仕事とはいえ,生きもの相手。台風による被害もあります。栽培には苦労続きです。

取材・撮影をしたのは,新型コロナウイルス感染防止対策が実施されていて学校が休みになって間もない頃。子どもさん二人が農園で過ごされていました。親子の語らいがある風景です。

「おもしろいレンズ! どんな写真が撮れるの?」。そんな質問をされて,とっさに撮ったのが下写真です。

 

タンポポあり,ヒトあり,モモの木あり,山林あり,です。

また来年も訪ねたいなと思った,この日の取材でした。

 


リーダー性に見た慮り度(続)

2020-04-23 | 随想

こういうことを書く機会は,これからまずないと思います。それで,記憶にとどめておくためにもきちんと書き記しておこうと思います。

 

その2。生死の境から回復した英首相ジョンソンさんの慮り。

新型コロナウイルスに感染して入院。一時はICUで治療。報道によると,退院後すぐツィッターで発信したのが,献身的に働く医療関係者たちへのこころからの感謝の念でした。

内容を要約してしまったら,緊迫感がまるで失われます。抜粋で原文のまま転載します。

  • 7日間、私はNHSのスタッフがプレッシャーにさらされているのを見てきました。医師や看護師だけではなく、全ての人たちです
  • 清掃担当者や調理師、そして、理学療法士、放射線技師、薬剤師などのあらゆる種類の医療従事者たち。彼らは職場に通い続けながら、自分自身を危険な状態、恐ろしいウイルスのリスクにさらしています
  • 首相は、そういった状況で自身の治療や看護に当たった医療者たちの名前を一人一人呼んで感謝を示し、中でも2日にわたってつきっきりの看護をした二人の看護師に、命を救われたと語った。
  • 私が死ぬか生きるかという時に、ベッドの横に48時間付き添ってくれた、二人の看護師がいました。ニュージーランド南島のインバーカーギル出身のジェニー、そしてポルトガルのポルト近く出身のルイスです
  • 私が再び呼吸できるようになったのは、彼らが一晩中私を見守って、私のことを考え、看護し、必要な治療をしてくれたおかげです

事実にもとづき具体によって考え,方向を見定めながら事に当たる政治家のあり方が垣間見えます。個人的な情報発信でも質が高ければ,人のまことが感じられれば共感が広がります。

 

その3。給与一カ月分を減額すると表明した,ある県の知事の慮り。

県民に「不要不急の外出自粛」を求めた代わりとして,自らも痛みを共にするべきと考えた結果とのこと。記者会見での発言を新聞記事から引用しておきます。

  • (給与カットは)公務員はどうなんだ、という声には広げないでほしい
  • 国会議員は別だ。国会は立法府であり、実際に(緊急事態宣言で外出などを)制限をするルールをつくっている

よく似たことはいろんな方がいろんな場で発言しています。知事の表明はリーダーとして率先垂範する姿かと思われます。国政に携わる人たちは血税から経費を"いただいている"のですから,謙虚に慮れば,自らの処し方が見えてきそうな気がするのですが,どうも。

身を切る行動力を期待したいものの,今のところ程遠いですね。

その4。地方分権に見たリーダー性。

今いちばんご苦労なのが知事でしょう。的確な対応が刻一刻求められています。現場を知り尽くしておかねば陣頭指揮など取れるわけはありません。地方にあって,人のいのちを守り,おらが地方を混乱に陥らせないためにあらゆる手段を尽くして人々に理解・協力を求めなくてはなりません。

ある知事のある日の会見を見ていると,不眠不休かと思われる表情でした。「たいへんだなあ」と,多くの人が感じたのではないでしょうか。切迫感とスピード感のない多くの国会議員では到底太刀打ちできっこありません。リーダーはいつでも,どこでも自覚と行動と責任が求められます。

身をもって事に当たるとき,リーダーのこころの内に人はまことを見出すでしょう。それが信頼を醸成します。

(付記)写真は本文と関係ありません

 


キタキチョウ,孵化!(1)

2020-04-22 | 昆虫

草が刈り取られた山麓。ようやく草が伸びようとしているとき,キタキチョウが地面付近を舞っていました。産卵行動とみて,わたしは観察開始。

思ったとおり産卵を始めたのです。メドハギに産み付けられます。それまでメドハギを見かけていなかったので,「もう茎が出てきたのだろうか」と思いつつ,確認。地面から数センチしか伸びていない茎に,ちゃんと産卵。よくもまあ見つけたことよと感心。

それから一週間ばかり。孵化が始まりました。

殻から出終えると,さっそく殻を食べます。

 

できるだけ近寄って撮影。顎も見えます。

 

卵殻を食べるのは習性。

 

母親からの贈り物をしっかり口にしていました。

 

小さないのちの,見事なことよ。

 


リーダー性に見た慮り度

2020-04-22 | 随想

国民,とくに若者に向けて外出自粛のメッセージを届けようと,首相が発信したツイッターが大いに波紋を呼びました(呼んでいます)。内容は,私邸で愛犬とたわむれてくつろぐ姿も入れ,歌手・俳優の星野源さんの動画と合わせて紹介するというもの。

反応には「いいね」以上に,批判・反発が圧倒的に多かったとか。貴族気取りが,現場で汗水を流して動いている人や,家庭にいてもゆっくりなんかしておれないじれったさを抱えた人たちの気持ちを逆なでにしたのです。

動画の内容に無神経さを感じた人は,わたしも同様で多かったはず。雑巾を手にしているとか,トイレ・お風呂掃除をしているとかだったら,まだしも。

事あるごとに「医療関係者をはじめとしていとわずに全力で……」とメッセージを発しながら,庶民の生活感覚に思いを馳せるだけの慮りが見えません。身を切るような現場の悲痛さ,生活実態を理解しようする姿には程遠いのでは? いのち最優先のリーダーだったらなあ。

この出来事から考えたことを少しばかり書き留めておきます。

 

その1。民主国家ではリーダーは庶民の声を見失っちゃダメ。

首相の側近といわれる人が動画作成・発信に関わっていると想像できます。その人の慢心ぶりが見えて来ます。ただでさえ,森友問題,サクラを見る会,ヤジ問題等々,その驕りぶりが批判されてきた経緯があります。慎重な言動が求められてる中,どうして,みんなで多くの国民の共感が得られる内容に仕上げられなかったのでしょうか。庶民感覚との遊離が激しいですね。懲りない皆さんに見えます。

その証拠に,批判が巻き起こっとき官房長官はこれには一切コメントせず,開口一番がこんな説明でした。

「ツイッターで確認できる範囲では過去最高の35万を超える『いいね』をいただくなど、大きな反響をいただいており、多くの皆様にメッセージが伝わることを期待している」

首相を支える屋台骨なので,わからなくはありませんが,血の通わない紋切り型の答弁にわたしは「?」。自分(たち)に都合のよい部分だけを切り取る手はよくある話(後日,やむなく「批判の声は承知しています」と言わざるを得なかったのですが)。

 

あるネット調査の質問「コラボ動画」,あなたはどう思う?(47082票)」に対する結果は次のとおりです。

  • 問題がある  79%
  • 問題はない  18%
  • どちらでもない 3%

官房長官の弁は庶民の多くの思いとひどく乖離しています。リーダーは誠実で,信頼できる資質の持ち主であってほしいもの。明治時代,足尾鉱毒問題と真正面から向き合った気骨の政治家田中正造の義憤をついつい思います。

                           (つづく)

(付記)写真は本文と関係ありません

 

 


春! 虫の目写真シリーズ(39) ~モモ~

2020-04-21 | 

一年前,このモモ畑を訪ね,花が咲き乱れる光景にうっとり。一年後にぜひ再訪したいと思っていたのでした。

今年は花が例年より一週間は早く咲いたそうです。平均気温が高めだった冬の影響でしょうか。なんと,ちょうど満開のときを迎えていました。日をさんさんと浴びて,春を満喫しているような花々。

 

一枝に花がびっしり所狭しと付いています。

 

丘陵地を造成してモモが植えられのが40年ほど前。

 

雲一つない空に,ピンクの花が似合います。

 

ずうっと向こうまで畑が続いています。

 

花をこのまま放置しておくと,大粒の質のよい実が生りません。それで摘果作業が行われます。訪ねたとき,あちこちの畑ではちょうど作業が行われていました。この枝の花もまた摘果されていきます。

 


春! 虫の目写真シリーズ(38) ~続 ギフチョウ~

2020-04-20 | 昆虫

再びギフチョウ飼育ドームを訪ねました。どっさり浮かして,所狭しと待っていることを願って。しかし,そうではありませんでした。ほんの数頭が動いていただけ。

ムスカリの花で吸蜜をしているチョウを画像記録。

 

別の個体が舞い降りて,吸蜜に入ろうとするところです。

 

今年の羽化は例年より早めとのこと。そしてどっさり羽化する日と,そうでない日との差が激しいという話でした。なにか異変でも起こっているのでしょうか。

今季,成虫の撮影はこれで終わりです。

 


春! 虫の目写真シリーズ(37) ~ギフチョウ~

2020-04-19 | 昆虫

ギフチョウのドームを訪れました。自宅近くの公園に設置されているので,この時期になると毎年訪ねます。春の女神と呼ばれるチョウなのですが,人工飼育しなくては頭数を保てないいのちでもあります。大自然で思いっ切り飛び回りたいでしょうが……。

 

隣県から来られたアマチュアカメラマンが,ご自分で撮影されたという写真を見せてくださいました。写真にはカタクリの花で吸蜜するギフチョウが写っていました。これは山林で撮られたのだそうです。ついつい「うらやましいなあ。大自然の中で,そんな組み合わせを見られて」と口にしてしまいました。ほんとうにしあわせなカタクリとギフチョウです。

 

しばらく会話を交わし,撮影のたのしさをあれこれ語り合いました。

 

ギフチョウをこうした状況に追い込んだのは,もちろんヒト。ヒトのわがままな行動が現状を招いたのです。

 

この日は,仕事場においている食草カンアオイの植わった鉢を置いてきました。それに産卵させて,以降の成長を来館者に見てもらうためです。なんだか複雑な気持ちです。

 


春! 虫の目写真シリーズ(36) ~クビキリギス~

2020-04-18 | 昆虫

過日の夕方。温室から,鉢植えの君子蘭を外に出したときのことです。葉にクビキリギスがへばり付いているのを発見。わたしは,なんだかクビキリギスと縁があるなあと感じます。

たぶん温室内で越冬したのでしょう。まだまだ動きが鈍そう。

 

それでも少しは動いて花の方に歩いていきました。

 

このクビキリギスは,きっと元気に生き,いのちを次の世代につないでいくことでしょう。