自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

マンサク,そして昆虫(2)

2016-01-25 | マンサク

1月15日(金)。厳しく冷え込んだ朝でした。地面では霜柱がずいぶん成長していました。氷のカーテンが出現,といったところ。瞬間,柱状節理を思い浮かべてしまいました。縦方向で1cmの視野です。この微細風景,毛細管現象のしわざであることを見事に物語っています。


近くにあるマンサクの枝を見ると,お馴染みのハナバエが冬芽に1匹。たぶん,寒い中ここで一夜を明かしたのでしょう。陽が当たりかけた影響なのでしょう,すこし動きかけました。

 
外界を認識しようとしているらしく,わたしの動きに応じて遠ざかろうとしました。指でそっと触れたのですが,飛び去ろうとはしませんでした。活動するには,まだ体温が不十分のようです。

 
撮影を終えた段階でも,結局,ずっとそこにいたままでした。ハエも寒さには勝てないのです。 

 


冬,ツマグロヒョウモン(4)

2016-01-24 | ツマグロヒョウモン

1月24日(日)。午前9時,-1.5℃。快晴。大寒波が来るという予報。わたしの住む地方は低温ながら降雪はどうかなといったところ。プランターに植えたパンジーの株脇にツマグロヒョウモンの幼虫が1匹。ぎゅっとかたまったような姿です。以前ここに置いていたのが,まだ無事にいてくれました。「ほっ」。

 


これを入れて今確認できている個体は6体。そのうち,道の隅に2個体。こんな低温でも,もっと低温でも,環境に対応できるしくみをちゃんと備えているということですから,スゴイ!

 

 

付け加え話を一つ。これらの写真を撮っているとき,乾燥中の野草紙の上を訪れたのがユスリカのなかま。体長5mm。寒い中,活動中なのです。


今日の最低気温,最高気温はそれぞれ-5.4℃,0.9℃でした。夜は晴れ渡って,オリオン座がきれいに見えます。ついでながら,奄美大島の名瀬では115年ぶりに降雪(みぞれ)を観測したとか。氷点下の気温にはならなかったものの,湿度がかなりあってみぞれが降ったといいます。自然現象は多様です。明日は今日よりも冷え込みそう。水道の凍結防止対策もしなくちゃ。たいへんたいへん。  

 


冬,ホシノヒトミと訪花昆虫(続々)

2016-01-24 | 昆虫と花

1月16日(土)。最低気温-4.3℃,最高気温10.0℃。昼,見たのがハナバエ。これまでに何度となく登場した昆虫です。にもかかわらず,繰り返し記事にするのは,こんなに寒くてもまだ生きて活動している成虫がいるという事実を確認しておきたいからです。ほんとうにいつまで記事にできるやら,というのが正直な気持ちです。

食餌中でしたが,わたしの気配を感じたのか,急に止めてなんとなく警戒している模様。


そのあと,わたしはそっと後ずさりをしてからぐるっと回って,ハエの後方に。

からだに付着した花粉のなんともスゴイこと。葯からこぼれ落ちた花粉のスゴイこと。ハナバエからみると,今の時季に口にできる貴重なエネルギー源なのでしょう。

 


もっと近づこうとしたら,パッと花から離れました。

 


クロヒラタアブ,1月の卵(続々々)

2016-01-23 | ヒラタアブ

1月10日(日)。飼育ケースに入れた幼虫を探すと,すぐに見つかりました。ちょうどタイミングよくアブラムシを食しているところでした。

 
体長は1.3mm。自身のからだに匹敵するぐらいのアブラムシを口で持ち上げています。大した力! 自分のからだを支えるだけでもたいへんな格好! 体液を吸っているので,体内が黒っぽくなっています。

 
時間がかなり経ってから見たら,やっぱり同じように口で獲物をくわえたまま。


もっと近寄ってみれば……。

 

 
撮影している途中,獲物をパッと放しました。もうじゅうぶん体液を吸い取ったといわんばかり。

 

 
この後,飼育ケースにアブラムシの付いた葉を追加しておきました。 

 


我が家のフキノトウ

2016-01-23 | 日記

1月23日(土)。一昨日の記事と関連した話題です。

「それで,我が家ではフキノトウはあるのか。あるとすれば,どんな様子かな」。そう思って,確かめることに。フキの生えている広さは一坪余り。先日の雪は完全に解けています。枯れた葉,緑の葉が重なるように地表を覆い,地面が見えにくい状態です。

 


それで,ようく探してみました。はじめは見つかりませんでした。「それでも」と思って,探していきました。すると見つかりました。当たり前ながら,ちゃんと春の準備をしているのです。まだ硬く閉じていて,花芽はまったく見えません。

 


目が慣れてくると,あちこちで見つかりかけました。

 

 
小さくても地表ででんと構え,堂々としている様はさすがです。地下茎のたくましさを彷彿とさせます。近く,春を味わう珍味としていただくことにします。 あの独特の苦味がなんともいえず,味覚を誘います。

 


今どきの大型蛾,アケビコノハ

2016-01-22 | 日記

1月22日(金)。つい先日,ある会の新年会でSさんと同席。そのとき,以下のような情報がもたらされました。併せて,スマートフォンで撮った写真を見せてもらいました。

「職場にあるサザンカの下で掃き掃除をしていたら,からだの大きさが5cmほどの,褐色をしたガがいたんです。葉だと思い掃こうとしたんですが,動かないので,おかしいなと思って確かめたんです。名前はわかりませんが,今頃にいる昆虫というのは珍しいと思います。もしまだいたら連絡しますから,実物を見てください」

写真はピントがぼけていてよくわかりません。冬のガは珍しくはありませんが,そうかといって,よくお目にかかるというわけでもありません。それで,できれば見たいものだと思っていました。そうしたら,昨日,電話がかかってきて「まだいるので,見に来てほしい」とのこと。こうなると,わくわくしてきます。

以上の経過をたどって,今日22日を迎えました。Sさんの職場に行くと,ニコニコ顔で「名前がわかりましたよ。ネットで調べたんです。アケビコノハというガらしいです。プリントをしておきました」とおっしゃいました。見ると,そのとおりアケビコノハです。わたしはこれで二度目の対面です。「翅を拡げたとき,こんな模様でした。……」と,Sさん。特徴をしっかり見ておられました。 

今どきにしては大きめの体形です。まるで枯れ葉そっくりのからだつきは自然の妙を感じさせます。大した戦略の持ち主です。この姿で枯れ葉に紛れ込んでいたら,大抵は見つからないでしょう。鳥の目はもちろん,人間の目も誤魔化せそう。

成虫で越冬しますから,触れてもいかにも今はお休みという感じです。口吻がわずかに震えていましたが,自力で立つ気配はありません。

それで成虫をもらい受けました。飼育ケースで越冬させてみようと思っています。もちろん,その前に撮影しておかなくちゃ。

持ち帰っても,休眠状態。脚は完全にからだにくっ付いたようにして折り畳まれたまま。


頭部辺りを撮りました。さすがにガらしく,毛が密生しています。寒くても,保温効果は絶大かな?


先端に突き出た器官は感覚機能を担っているのでしょうか。おもしろいかたちをしています。アップで撮りました。まるでハタキか,なにかのよう。


指でからだを起こすと,なんと突然翅をばたつかせてよみがえったかのように動き出しました。そして指にくっ付いたのです。そのときに現れたのが,後翅のびっくり紋様。これで天敵に「近づくなよ!」と警告しているのではないか,そんなふうにいたって常識的な解釈がなされています。しかし,そうではあっても,この生存戦略を有するこの種だけが本種として保存されてきた生命史は,心底ふしぎを実感させます。


からだをそっと下に置いて,翅を拡げているときに写真を撮りました。後翅の紋様がきれいに見えています。こうして見ると,前翅は枯れ葉にそっくり!


やがて翅を閉じました。立った状態の枯れ葉と瓜二つ。


アケビコノハは周りの環境に似せて身の安全を確保しようとしているのです。擬態のふしぎがじわっと伝わってきました。ガ自身の意志でつくり出した結果でもないでしょうし……。それはともかくとして,Sさんに感謝。

 


ロウバイの花と昆虫(3)

2016-01-22 | ロウバイ

1月8日(金)。最低気温-1.8℃,最高気温10.6℃。平年並みの気温というところでしょうか。花はあちこち続いて咲きかけています。今日は訪花昆虫は1匹見かけただけ。小さなからだを花弁の間に入れてじっとしていました。芳香が充満していて,申し分ない感じです。頭部が見えないので,同定はできません。


1月11日(月)。開花状況は3分咲きといったところ。日中は風がほとんど感じられず,比較的穏やかなでした。新しい訪問者は思ったより少なく,2種。 

一つは花の奥で見た,ごく小さなハチのなかま。シルエット風に口器が動くのがそれとなく見えました。バリバリ食いちぎるといった感じ。


二つめは,ハナバエのなかまらしきハエです。開きかけた花弁の周辺を歩きながら一度頭を入れようと試みましたが,結局やめました。それでも,しばらくとどまっていました。開花している花なら他にもあるのに,ここの匂いがもっと魅力的だったようです。

 

 

 


クロヒラタアブ,1月の卵(続々)

2016-01-21 | ヒラタアブ

1月8日(金)。室内に移した日の午後9時。確かめておこうと思ってルーペで見ると,なんと誕生した幼虫が卵の殻の脇にいたのです。すいすい事が進んだので,もうびっくり。惜しくも孵化場面を撮ることは叶いませんでした。それでも「この直後を撮っておきたい!」と思い,大急ぎで撮影準備にかかりました。

 


卵の付いた面は,実際は葉の裏側です。幼虫は間もな下側,つまり葉の表側に向かいました。身を隠す行動だとみてよいでしょう。 

 


下側に回ったときに,葉を裏返して観察しました。幼虫は葉の端のほうでじっとしていました。 

 


このままにして時間が経ってから見ると,幼虫はまた下側,つまり卵殻がある側に移動していました。やはり身を守る行動なのでしょう。殻のすぐ傍にいたのはまったく偶然だと思います。

 
上写真をトリミングしておきます。


せっかくなので,このまま飼おうと思います。手のひらサイズの容器に入れ,ときどきアブラムシの付いた葉を入れればいいでしょう。葉が少ないと,個体を探すのに時間がかからないし,継続観察が容易でしょう。

 


厳冬,生きもののいのち

2016-01-21 | 日記

1月21日(木)大寒。勤務日。寒波が去ったとはいえ,厳しい寒さの一日となりました。たぶん,皮膚感覚では日中の気温は5℃を上回らなかったように思います。県北部のスキー場はほとんどが雪不足で休業中だったのが,今回の雪で滑降が可能になり,今日オープンしたところがいくつかあったとか。

朝,仕事場から見る近くの峰は雪雲にすっぽりと包まれていました。結局,一日中山頂を眺めることはできませんでした。


近くにある自動車工場の軒で出合ったフキノトウの頭。数個見かけました。なんだか,春の匂いがしてくるようでこころがほわっとなりました。フキノトウ自身は,暖冬傾向で早く顔を覗かせていたものの,この寒さに身震いをしているかもしれません。「春よ来い,早く来い」と,つぶやいているかも。ここがこうなら,我が家でもフキノトウが出ているのでは? 探してみます。


昼休みに見かけたのがヨモギハムシ。近頃よく見かけます。今日は背の低いヨモギの茎先にいました。交尾中でしたが,撮影しようとしたらパッと離れてしまいました。「申し訳ない」。


先日記事で書いたとおり,ヨモギハムシは越冬態が成虫及び卵であるのは確かです。今の気温での活動振りからみると,成虫越冬というのはじゅうぶん理解できます。温度耐性が相当にあるにちがいありません。交尾場面から,卵越冬も納得です。厳しい冬を複数態で乗り越える戦略は,変温動物としては順当なところでしょう。環境への適応,種の維持という観点からみても,理にかなっています。

明日はどんな匂いが自然から届くやら。

 


冬,ツマグロヒョウモン(3)

2016-01-20 | ツマグロヒョウモン

1月20日(水)。昨日の強風に続き来たのが,今朝の降雪。朝起きると積雪5cm。近くの国道はノロノロ運転で渋滞発生。今冬初めての本格的な雪景色となりました。


観察中のツマグロヒョウモンの幼虫で,所在がはっきりしているのは2個体。ともに,何日も何日も同じ位置でじっとしています。完全な休眠状態のようです。


そのうちの1個体は雪に完全に埋もれていたので,雪を取り除いて写真を撮りました。


併せて,アゲハの庭園にある蛹の今を載せておきます。クロアゲハです。こちらは上の葉がすこしは役立っているようで,着雪していません。