自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

秋の“虫の目”写真(16)

2015-12-05 | 随想

あれだけ繁茂したカラムシがずいぶん弱ってきました。気温が低下して,すっかり勢いを失ってしまいました。そうして,枯れかけた群落が目立ちます。目立つというのは,たとえば風が吹き抜けるような環境でなくて,斜面に生えていて比較的風が当たりにくいところではまだ緑を維持しているからです。

葉が枯れると,これまで見えてこなかった様子がすこしだけくわしく見え始めます。11月26日(火)のこと。カラムシ群落の脇を通りかかると,茎一本一本が立つ姿が際立って見えました。それで,立ち止まってなにか生きものの気配はないか,目を向けました。


簡単に見つかったのが,アカタテハの蛹です。それは葉の裏に付いてぶら下がっていました。しかし触ってみると,もういのちが絶えているようでした。自然界では,こんないのちの閉じ方もあるのです。卵のときから考えれば,無事に成虫になる方が珍しいほどですから,当たり前といえばそのとおりなのですが。

 


もっと見ていくと,今度は,茎の先端にフクラスズメの幼虫がいました。丸々と太った姿からは,間もなく蛹化することが窺えました。からだは,光を浴びて輝いていました。寒風が吹くなかで,幼虫はぐっと身が引き締まっていたかもしれません。

 


こんなふうに,どんどん自然は姿を変えていきます。「それなら,前に虫の目写真に収めたアカタテハの蛹はどうなったのか」と思い,しばらく歩いてからそれがあった群落を調べました。お目当ての個体は,前と同じようにありました。触ったところ,まだ硬い感じがしました。発見してからもう1カ月は経つでしょう。気温からすると,羽化する可能性はかなり小さな気がしてきました。

たいていの昆虫にとって,厳しい寒さがとうとうやって来たのです。わたしにとっても,また同じです。 

 


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