飛騨さるぼぼ湧水

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小さな小さな人間の世界 理想世界の創造

2016-10-16 23:27:20 | エッセイの部屋

昔々、創造の神が、それは大きな大きな盥(たらい)のような器の世界を造った。
そして、大地の代わりに食物で、その器の半分くらいまで満たした。
そして最期に、小さな小さな人間達を造って、その中に住まわせた。
小さな人間達には、それぞれ一人一人に自由が与えられていた。
この世界では、大地が粉状の食べ物だったので、人間達は働かなくても食べていく事ができた。
しかし、自由が与えられていたので、欲ばりに生きる人間達は悪人になり、仲間や他人のために生きる人間達は善人となった。
創造の神は、その世界が平和で幸福な世界になるように、すべての小さな人間達に神の心を与えた。
そうして、しばらく傍で見守っていた。
やがて小さな人間達には、その神の心が表れて、皆が互いに助け合い、善人となった。
そして、その人口がどんどん増えて良い香りを放つようになった。
「おお、これならば大丈夫だろう」
多忙な創造の神は安心して遠くへ去った。
やがて数百年も経った頃、様子を見に傍らまでやって来た。
ところが、創造の神の期待とは反対に、その盥の世界には、悪人達があちこちにはびこっていて、争いや戦いを起こし悪臭を放っていた。
「おやおやこれは何としたことか!」
驚いた創造の神は、その原因に目を向けた。
すると、気温が暑過ぎた事と、雨が多過ぎた事が悪人達を増やす事につながったと分かった。
つまり、暑過ぎたため小さな人間達がイライラし怒りっぽくなり、次第に悪人に変わった。
また洪水に会って生活に困ったため、盗みをして悪人に変わってしまったのだった。
「そうだったのか。気温や雨でこんな風になるとは、想いもしなかった。これは見守らなかった私のミスだ」
創造の神は、そう反省すると、早速、自らの手で、その世界を造りなおす事に決めた。
まず盥の器の世界を詳しく知るために覗き込んだ。
悪人達が住んでいた地帯は、盥の端や表面と底部だった。
そこは食べ物の大地も堅く固まっているか、湿っていて、悪臭を放っていた。
一方、大部分の盥の中央部は、善人達の世界で、柔らかく乾いていて良い香を放っていた。
明らかに、善人達の中央部の量の方が、悪人達の端部より圧倒的に多かった。
「悪人達の巣靴を取り除いて棄ててしまえば、すぐ善人達だけの理想の世界ができる」
初めに、創造の神はそう思った。
「しかし、それでは盥の世界の食べ物の大地も小さな人間達も七割ぐらいに減ってしまう。それに捨てられる悪人達も元々は善人だったのだ。環境さえ良ければ悪人になる事はなかったかも知れない」
と哀れに感じた。
それに、パーフェクトが建前の創造の神としての誇りが許さなかった。
「やはり、棄てる事なく、すべてを善人の世界にもどそう」
と創造の神は決断した。
やがて、創造の神は、盥の中に手を入れて、堅い悪人達の巣窟をバラバラに砕き始めた。
そうして、それを善人達の柔らかい世界へ混ぜ込み始めた。
また雨が浸水している悪人の世界も、バラバラに砕き、乾いた善人の世界に混ぜ込んだ。
つまり、創造の神は、集まっていた悪人達をバラバラに離して、多くの善人達に囲まれるような環境に配置したのだった。
そうして、暑過ぎず寒過ぎない春のような気温に保ち、雨も適度に降るように見守り続けた。
すると、盥の中の世界は、悪人達が周囲の善人達の感化を受けて、徐々に善人になっていき、悪臭も消えて良い香りを放つようになった。
そして、最後には、盥の中すべてが香ばしい香りを放つ、柔らかい善人達の平和で幸福な理想世界となった。
すると創造の神は満足そうにうなづいた。
「さあ、これで、すべての悪人達も捨てる事なく善人に変わる事ができた。私の望んだ理想の世界が完成したのだ。今度は、もう大丈夫だ」
そうつぶやくと、創造の神は、また遠くへ去ってしまった。仕込んだボカシ発酵堆肥を

「ああ、良かった良かった!これで、一部が腐りかけていたボカシ肥も回復した」
臭いをかぎながら湧水が安堵した。
実は、長雨のため放置していたところ、大きな盥の中で仕込んだボカシが腐敗し初めていたのだった。
特に、盥の上下や縁部で多湿のため腐敗して固まっていたのだ。
その頃、湧水は、友人に紹介されたネットの「レムニア ルネッサンス」の神々のメッセージを読んでいた時だったので、ボカシ作りも、この神々のこの世の理想世界造りのように思えてきたのだった。
もちろん、上記の小さな善人とは、乳酸菌や酵母や放線菌、光合成細菌等の善玉微生物の事で、悪人とは悪玉腐敗菌の事である。

(おわり)

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