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韓国ドラマ「病院船」から(連載193)
「病院船」第18話➡医療空白⑥
★★★
電話を切られ、ヒョンもため息をついた。ドゥソン電子のいい加減で無責任な対応よりも、患者たちのことが心配だからだった。
「どうする?」
そばにきてやり取りを聞いていたジェゴルが言った。
「どうするも何も行ってあげなきゃ…」
「しかし、間に合わない」
「何かできるだろ」
「わかった…退勤時間にロビーで待ち合わせを」
2人のやりとりにジュニョンは言った。
「ああ、もう…船長と事務長はまだ解決できないのか?」
「…」
船長たちは道庁でガードマンを睨みつけ、座り込みを続けていた。
★★★
ゴウンは長いすから立ち上がって叫んだ。
「面談をお願いします」
「知事、話し合ってください」
通路ではガードマンが立ちはだかって動かない。
「頑固な人だ…」
「どこに行ったの?」
「どこって、知事室にいるだろ」
「ひどい人だ…」
そこに中年の女性がやってきた。事務長の前に立った。
「ご立派ね。ここで何してるの?」
事務長は驚いて言った。
「ここまで何しに来たんだ」
「私と一緒に来て」
「どこへ?」
「早く来て」
事務長は船長らをチラ見し、女性の腕を取った。離れた場所に連れて行く。女性は少し歩いたところで事務長の手を振りほどく。
「どうしたと言うんだ」
「一緒に来て」
女性は同じ言葉を続けた。
「行けない。病院船に問題が…」
「二言目には”病院船”ね。それしか頭にないの?」
2人のやりとりを見ていて船長はゴウンに言った。
「どうする?」
「…」
「このままじゃ暴力沙汰になりかねない」
「…」
「私が行って止めないと」
立ち上がろうとする船長をゴウンが制した。
「座っててください。2人の問題よ」
「だよな…」
女性は言った。
「我が子より病院船が大事なの?」
「子供に何かあったのか?」
ため息が入る。
「学校に呼ばれたわ」
「…!」
「ドンミンが同級生を殴って問題になったの。そして懲戒委員会に…」
女性はこめかみをおさえ、崩れ落ちそうになる。事務長が腕を取って支えた。
「お前、体調が…そういえば顔色が悪い」
女性は事務長の手を振りほどく。
「思いやるフリなど結構よ。私と一緒に学校に、学校に行って…」
女性は口を押える。押さえた手の隙間から血が流れ出た。
手を放すと口の周りはどっぷり血で塗れている。
2人のやりとりを見ていたゴウンらは立ち上がった。
「お前!」
事務長は叫ぶ。
女性はその場に崩れ落ちる。事務長がすかさず腕を肩に回す。頭部を保護して叫ぶ。
「ソンヒ、しっかりしろ。どうしたんだ!?」
ゴウンらが駆けつけて来る。
「大丈夫ですか?」
女性は目をつぶって反応しない。
事務長は女性の身体を抱き留めて泣きそうな声になる。
「どうしたんだ、ソンヒ。ソンヒ…!」
強く抱き寄せて何度も叫ぶ。
「ソンヒ、ソンヒ、どうしたんだ!」
女性は救急車で病院に運ばれた。
ドゥソン側の弁護士と話し合いを行っているファン・インギョン母娘の横をウンジェが通り過ぎていく。
解雇を通知されたせいか、心ここにあらずの表情でインギョンらには気付かなかった。
しかし、弁護士と話し合ってる中で、インギョンはすぐウンジェに気づいた。
樹脂の箱を両手で抱えている。
「どこへ?」インギョンは訊ねた。「ソン・ウンジェ先生は異動するんですか?」
「クビになりました」
2人は驚く。
「私たちのせい?」と母親。
「母さん」とインギョン。
「気にしないでください」と弁護士。
しかし母親はウンジェが気になる様子だ。インギョンはそんな母親に苛立ちを見せた。
ウンジェが身の回り品をかかえて玄関に出て来ると、救急車が到着したところだ。
事務長の姿を見てウンジェは身の回り品の箱を足元に置いた。搬送されて来た患者のもとへ駆け寄った。
「患者はどなたですか?」
事務長が答えた。
「元妻ですが何が何だか…」
「こちらへ」
「はい」事務長は応じる。
患者を乗せたストレッチャーは玄関へ向かう。
ウンジェは事務長たちを振り返った。
自分はこの病院を離れた身…―しかし、ウンジェは数秒の思案で病院内に駆け戻った。
受付に身の回り品とバックを預けるとスタッフの声も聞かずに患者の後を追った。