韓国ドラマ「イケメン(美男)ですね」第12話(16)
Korean drama "You're Handsome" Episode 12 (16)
それはミニョが時々見せていた奇怪なしぐさだ。
フニはミニョを真似して人差し指で自分の鼻を押し上げた。
「何やってるんだ?」
テギョンは不快そうに訊ねた。
「何だよ?」
「コ・ミナムが時々見せていた所作だが、いったい何なのだ?」
「ああ、知っていたのか」
それならという調子でフニは説明を始めた。
「じつは気功の一つなんだが、俺が教えたんだ。好きな人の前で気持ちを抑えられない時、やれと教えた」
「何だと!?」
「見てみろ。信じきってまだやってるよ。そばにシヌがいたんだな」
テギョンはフニの手から写真を奪い取った。
「・・・そうだったのか」
確かめるためにミニョのとほかの写真を並べ、つき合わせてみる。
「俺を見てる・・・」
「お前がいじめるからだ」フニが言った。「何が悲しくてブタ鼻だよ。少しはミナムにも優しくしてやれ。お前がくれたピンもどれだけ大切にしてるかというんだ」
「何?」
「どうせなら、もっといいピンを買ってやれよ。あんな安物を買い与えるから壊れるんだ」
テギョンは今までに起こったミニョとの出来事を思い浮かべた。
急いで席を立った。
ワンのところに顔を出し、そばにあったミニョのリュックをつかんだ。
「これ、ミナムのだな?」
「ええ」
テギョンはすかさずジッパーをはずし、リュックをひっくり返した。中身がテーブルに投げ出される。テギョンはそれらを調べだす。思い当たるものはなく小箱が残った。手にしてフタをあける。
そこから例のピンが出てきた。
「探したのか、あそこで?」
あの時、あそこにいたのか・・・?
では、あのキスの時も・・・?
子供の頃から辛い時にはそうしていたようにミニョは院長の懐に抱かれていた。
「ジェムマ・・・つらいんですね」
ミニョは涙を浮かべて答える。
「あの人は・・・光り輝く星です。その光を受けて私の気持ちも一喜一憂するんです。ある時は期待し、ある時は落ち込んで・・・そんな自分がとても恥ずかしいんです」
院長は笑みを浮かべ、ミニョの背を撫でた。
「私は、愛を知ったジェムマをとてもいとおしく思えますよ」
それから優しく、そして強くミニョを抱きしめた。
コ・ミジャはあきらめずにモ・ファランのもとを訪れていた。弟の著作権料を我が手に収めるためだ。
そのためには手段を選ばない。ミニョの居所さえ彼女に教えるのを控えていた。
「ファランさんはどうして弟の子供たちの行方を捜しているのですか?」
「私はあの子等に大きな借りがあるんです」
コ・ミジャは上目遣いでモ・ファランの表情をさぐっている。
「実は・・・私、見てしまったんです、手術の跡を・・・出産されたことがあるでしょう?」
モ・ファランは怪訝そうにコ・ミジャを見た。
コ・ミジャはすかさず訊ねた。
「弟とはどういう関係でした?」
「・・・」
「もしかして、あなたが双子のお母さんですか?」
予想外の質問だったらしく、モ・ファランは明るい表情で笑い出した。
「だって、人気絶頂の時に突然姿を消しましたよね。子供を産んだんでしょう。そうでしょ?」
モ・ファランはおかしさをこらえて答えた。
「確かに休みました」
「必死で双子を捜すのは母親だからじゃないですか? 母親!?」
「違います」
モ・ファランはきっぱり答えた。
「私じゃないわ」
「違う? じゃあ、どんな借りがあってそんなに必死で捜しているんです?」
「私のせいで・・・あの子らは母親を失ったから」
「えっ?」
「私のせいで・・・あの人は死んだんです」
これにはさしものコ・ミジャも言葉を失った。
その言葉は母親の自殺を暗示するものだったからだ。
ミニョは一人夜空を眺めている。
「じきに涙が出てきて星が見えない。ずっと見えなければ期待もせず、落ち込みもしないのに・・・いっそ、見えなければいいのに」
悲嘆に暮れるといっそう涙の量は増える。
悲しみを制御できないでいると車のライトがミニョの顔を照らしだした。
顔をあげると車はすぐそばで止まった。
車から降りてきたのはテギョンだった。
「兄貴?」
「コ・ミナム。俺にはお前がよく見える。いつもと逆だ。お前、隠れて泣いてたのか?」
ミニョは手で涙を拭った。
「見なかったことにしてください」
「そんなお前を見てできるわけないだろう」
「・・・」
「コ・ミナム。お前が見えなくてその気持ちに気付かなかった」
「やめてください。もう見ません」
顔を背ける。
「見てなきゃダメだ」
ミニョは顔を上げる。テギョンを見た。
「勝手にやめるな。ずっと見てろ。今までのように俺だけを見てろ」
「テギョンさん・・・」
「コ・ミナム。俺を好きになることを・・・許してやる」
車のライトの中で二人はじっと見つめあった。
(続く)
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