雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「病院船」から(連載179)

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      韓国ドラマ「病院船」から(連載179)




「病院船」第17話➡病院船の危機②


★★★


 ウンジェはカン・ドンジュンに訊ねた。
「非営利医療財団の設立ですか?」
 ドンジュンは頷く。
「ドゥソンと組んで?」
「そうだ。ソウルデハン病院とも協力関係を結ぶ」
「院長はなぜ急に提携を?」
「急ではない。以前から模索していた」
「理由は?」
「何だと思う?」
「経営の問題かしら・」
「そういうことだ」
「そこまで赤字が?」
 ドンジュンは思案投げ首で言った。
「赤字の原因は救急室だ」
「・」
「救急専門医の俺がここの閉鎖を進言したほどだよ。救急室がある限り、赤字は増える」
「でも閉鎖したら・」
「患者たちは路頭で死ぬだろうな」
 ウンジェは訊ねた。
「財団の設立で赤字を解消できますか?」
「そのはずだが・」
「条件は?」
「条件・?」
「ドゥソンの利益は?」
「利益も何も非営利財団だぞ」
「デハン病院も非営利財団です。でもデハンは必死で利益を追い求めてるじゃないですか。カン先生も知っておられるでしょ?」
 ドンジュンは下を向いた。何も返せない。
「ドゥソンの会長が何の得もなしにここまで出向くはずがありません」
 ドンジュンは遠くに目をやった。
「社会奉仕が目的かも・」
 ウンジェは呆れた。
「カン先生も意外と純真ですね」
「君の方は意外と政治的だな」
 ドンジュンはそう言って笑った。2人のやりとりはそこで行きどまりになった。
 ウンジェはひとりで思案に落ちた。


★★★


 チャン会長は案内を受けてリハビリ用のプールへやってきた。浮き輪が並んでいるのを見てそのひとつを手にした。皆にかざした。
「ここは私の泊まる場所か?」
「すみません」
 案内の秘書が頭を下げた。
「もっと豪華な所を探します」
 チャン会長は声を荒げた。
「私は豪華すぎて不満なんだ」
「えっ?」
 病院のスタッフは声も出ない。頭を下げたまま動かない。
「オ秘書」
 チャン会長は秘書を振り返った。
「はい」
「私がここでスパを楽しむような人間に見えるか?」
 浮き輪で下腹を叩いた。
「まともな宿泊先を探せ」
「すぐ手配します」
 秘書は90度に頭を下げた。
 チャン会長は浮き輪をプールに叩きつけた。




 雨が激しく降り出す中、建屋の広い軒下でチャン会長は新聞を広げて休息を取っている。数名の部下は建屋の外で傘をさしてチャン会長を見守っている。
 雨中を配下が駆けてくる。
「来るのが遅いぞ。何してたんだ!」
「すみません」
 頭を下げた配下にチャン会長は訊ねる。
「どうなった?」
「本部長の取材が終わり、記事が出ました」
「見せろ」
 秘書は持ってきたタブレットタブレットPCを見せた。
 開かれた画面にはチャン・ソンホの写真入りで、”遠隔診療次世代ケア”を銘打った記事がアップされていた。
「こいつが、だらしなく笑いおって…何がうれしいんだか」
 チャン会長は部下たちを見やった。
「全員、気を引き締めろ」
 部下たちは神妙に頭を下げる。
「これから始まるのは生き残りをかけた戦いだ。遠隔診療法案を大統領選挙前に通過させろ。もし、法案成立前に福祉の充実や―医療制度
に注力する大統領が誕生してみろ。ヘルスケア市場は崩壊する」
「…」
「パク常務」
 1人が前に一歩踏み出す。頭を下げる。
「はい」
「糖尿病の患者数は?」
「約、700万人です」
「その通り。最低でも700万だ。遠隔診療法案を成立させ、患者に壱台ずつ血糖測定器を売れば、収益は3兆ウォン。ヘルスケア市場こそ、金の卵を産むガチョウだ」
「…」
「我がドゥソンの新たなる―成長の原動力になる。わかったな」
 部下たちは元気よく返事する。
「はい、わかりました」




 その頃、ウンジェもドゥソングループの”遠隔診療”の記事にPCで触れていた。
「”遠隔診療”か。まさかね…ドゥソンが望んでも院長が同意するはずはない」
 しかし、ウンジェの心では疑念が残った。




 チャン会長は病院船の停泊する場所へやってきた。すぐそばで釣り糸を垂らした。
 そのまま腰を上げる様子を見せない。秘書の一人が声をかけた。
「会長」
「ん? 何だ?」
「病院船はどうしますか? 遠隔診療の障害物は排除すべきかと…」
「何の問題もない病院船をいきなり廃止にはできんだろ」
「では、放っておくのですか?」
 チャン会長は秘書を見上げた。
「お前はバカか?」
「…?」
「方々に餌をまいたから、ひとつくらいは食いつくだろう…」
 チャン会長の後ろで御付の3人はじっと立ち続けた。

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