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賞味期限切れの絹ごし豆腐を湯豆腐で食べた。美味しかった。
と書けば、
「そう?」
で終わる話かもしれない。
賞味期限の判断基準はどこにあるのか知らないが、それで区切りをつけてる人は素直で正直、その先はあまり考えない人と言えるだろう。 食べ物は作りだされたその時から腐敗を始めてるようなものだから、賞味期限の基準内なら安心して美味しく食べられるなんてことはあり得ない。それを計算してうんと手前に基準を設けているにしても味は時間を追って変わり続けている。
スーパーなどで賞味期限のシールを貼りかえるような騒動も起きているから、賞味期限そのものが信用できない現象だが、表示されてるだけで少しは安心できる気持ちになれるのはせめてもの救いか・・・。
ただ、味の感じ方も人によって違うように、食べ物も作りだされたその時から腐敗を始める見方もあれば、同時に美味しさを作り出していく側面も否定できない。漬物などはその代表例と言える。
普通の料理などは作り置きしておくだけならどんどん味は変わっていき、ある瞬間、とんでもない腐敗臭に襲われるわけなのだが・・・。
僕は鮮度の落ちた食品をすぐ捨てたりはしない。賞味期限が過ぎていても匂いや味で食べられると思えば、ためらわずに食べている。餅などに青カビがついていてもそれを水に浸し、フォークやナイフでその部分だけ削り、オーブンで焼いて食べたりするほどだ。
これで少々腐った物を食べても平気だということにはならないのだろうか。できれば飲食に関してもそういう生命力がほしいと思うが、世間一般では気味悪がられるようである。
死肉を食べる獣やハゲタカなどは卑しい生き物と見てしまうところがどこかにないだろうか。彼らのおかげで腐敗した屍がそこらに散乱しないですむとも言えるだろうが・・・
昨日、会社から帰宅した際、車の助手席の下に絹ごし豆腐を見つけた。賞味期限を確認して驚いた。2月16日、すでに一カ月が経過しているではないか。
てっきり痛んでいると思って匂いを嗅いだ。腐敗臭は感じないし、冷蔵庫から出したみたいな冷たい手触りである。冬なので車の暖房を入れて会社の行き帰りをしていた。
果たしてまだ食べられるだろうか? 普通の感覚の人ならたぶん捨ててしまうだろう。いわゆる汚い生ゴミと化してしまうことになる。
傷んでいたら捨てようと思い、夕食のおかずで湯豆腐にして食べてみた。すると問題なく食べられた。口に含んだとたん、ぺっと吐き出す感覚はぜんぜんなかった。
防腐剤のおかげ? それとも今は冬だし、外に置きっぱなしの車はちょっとした冷蔵庫の役割を果たしてくれていたのか?
冬でも食べ物は冷蔵庫に入れてないと不安でならないが、賞味期限切れの絹ごし豆腐のおかげで、外の物置の中に保存してもおおかたの食べ物は大丈夫なんだ、と少しほっとさせられた次第である。
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