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韓国ドラマ「病院船」から(連載20)
「病院船」第2話➡劣悪な手術室⑦
★★★
しかしこの時はもう現場で手術が始まっていた。
「クァク先生」とウンジェ。
応じるヒョン。2人で患部を押さえる。手で患部を開く。血が勢いよく噴出する。ウンジェは強引に手を押し入れた。
そこへ海洋警察がやってきた。
「待ってたわ。このまま移動します」
患者はヘリコプターに向けて運ばれた。
患者移送の電話は巨済第一病院に入った。
「電話です。大動脈瘤の患者を移送してくるとのことです」
「大動脈瘤だ? 無理だ。断れ」
電話はウンジェがじかに入れた。
「すぐ処置しないと15分持ちません」
「しかし、外科医が不在です」
「…他の病院までは?」
「40分です」
ウンジェは目をつぶった。強引に着陸して自分が執刀するほかない。
「巨済第一病院に略陸する」
ヘリコプターは巨済第一病院に着陸した。
医者が対応に出てきて怒鳴った。
「外科医がいないと伝えたはずだ」
「手術は私が執刀します」
「…」
「患者を死なせるか? 私を信用するか決めてください」
「成功させる自信はありますか?」
「100%はない。こうしてる間にも成功率は下がります」
ドクターは悩んだ末にウンジェたちを迎え入れた。
「こちらへ」
★★★
「ああ、疲れた」とアリム。
「そうだ」と事務長。「今日もかなり無茶な決断だったな」
「そうよね。今日は久しぶりにアドレナリンが出まくったわ」
「あはっ、やれやれ」と事務長。
ゴウンもアリムも充実感を味わっている。
事務長は後ろを来る者に手を挙げる。
「チャ先生、頼みますよ」と事務長。
「えっ? 何を?」とゴウン。
「せっかくだ。歓迎会は盛大にやらないとなあ」
「わかりました。先輩と準備します」
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力なく答えるジュニョン。
しかし、ジェゴムは冷たい。
「俺は巻き込むな」
「そういわず、先輩も来てよ」
「断る」とジェゴム。「歓迎会なんて面倒臭い」
ジェゴムは先に歩いていく。
「待ってくれ先輩」
しかし、一番後ろを歩いてくるヒョンの表情は暗い。気管挿管でのミスをずっと引きずり続けている。
口から出てくるのはため息ばかりだった。
みんなから遅れがちに歩いていたヒョンは足を止めた。しばし物思いに耽った後、寮を目の前にしながら今来た道を戻りだす。
「ボングよ、一緒においで」
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ヒョンは子犬のボングを連れて夕暮れの砂浜を散策した。海に向かって腰をおろした。
― クァク先生!
―…。
― クァク先生、どうしたんです!
あの時のウンジェの言葉が何度も脳裏に戻って来る。
ヒョンは手を見た。どうして動かなかったのか…。ヒョンは動かなかった手を握り締めた。動かして開いて考え続けた。どうして…?
大きくため息をついた。
一緒に散歩してきたボングとしばし戯れた。
「僕に何がおきたんだ…ボング、教えてくれないか…」
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巨済第一病院の院長が病院に戻ってきた。ウンジェの執刀を受け入れたカン・ドンジュンが院長の迎えに出る。
「病院船の医者に手術をやらせたのか?」
「それが…」
「事故が起きたら責任を取れるのか!」
院長はドンジュンをなじった。
ドアを押して手術室に向かう。ドンジュンは慌てて院長の後に従う。
院長のキム・スグォンは手術着姿で、手術の見学ルームに入った。モニタ越しに手術の様子を覗いた。
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ヒョンは子犬のボングを連れて夕暮れの砂浜を散策した。海に向かって腰をおろした。
― クァク先生!
―…。
― クァク先生、どうしたんです!
あの時のウンジェの言葉が何度も脳裏に戻って来る。
ヒョンは手を見た。どうして動かなかったのか…。ヒョンは動かなかった手を握り締めた。動かして開いて考え続けた。どうして…?
大きくため息をついた。
一緒に散歩してきたボングとしばし戯れた。
「僕に何がおきたんだ…ボング、教えてくれないか…」
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巨済第一病院の院長が病院に戻ってきた。ウンジェの執刀を受け入れたカン・ドンジュンが院長の迎えに出る。
「病院船の医者に手術をやらせたのか?」
「それが…」
「事故が起きたら責任を取れるのか!」
院長はドンジュンをなじった。
ドアを押して手術室に向かう。ドンジュンは慌てて院長の後に従う。
院長のキム・スグォンは手術着姿で、手術の見学ルームに入った。モニタ越しに手術の様子を覗いた。
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「何だ、どうなってる…? もう、縫合をやってるのか?」
「えっ? そうですか?」
院長はさらに細かくウンジェの縫合を観察した。
「何者だ? あんな怪物がいたとは…」
ウンジェは手術を終えて出てきた。その様子を取材班が撮る。
「ソン・ウンジェ先生」
キム院長がウンジェの前に立つ。
「私は院長のキム・スグォンです」
ウンジェは恭しく頭を下げる。
「整形外科の専門医でもあるので私も手術をこなす」
「初めまして」
「私の部屋でお茶でも」
せっかくの機会だとウンジェは自分の希望を願い出た。
「救急の当直をさせてくれと?」
「はい。病院船と両立できる範囲でお願いしたいです」
「フルタイムで働く気はないのか?」
「そうではありません。病院船の仕事を続けたいんです。ぜひ、お願いします」
「…」
「代わりに」
「代わりに?」
「手術はお任せください」
「ふむ~」院長はコーヒーカップを置いた。「私にとって、悪い話ではない。わかった。それでいってみよう。よろしく頼む」
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