雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「病院船」から(連載180)

  <script type="text/javascript" src="//translate.google.com/translate_a/element.js?cb=googleTranslateElementInit"></script>  google-site-verification: google3493cdb2db9ede



      韓国ドラマ「病院船」から(連載180)




「病院船」第17話➡病院船の危機③


★★★


 その頃、ウンジェもドゥソングループの”遠隔診療”の記事にPCで触れていた。
「”遠隔診療”か。まさかね…ドゥソンが望んでも院長が同意するはずはない」
 しかし、ウンジェの心では疑念が残った。




 チャン会長は病院船の停泊する場所へやってきた。すぐそばで釣り糸を垂らした。
 そのまま腰を上げる様子を見せない。秘書の一人が声をかけた。
「会長」
「ん? 何だ?」
「病院船はどうしますか? 遠隔診療の障害物は排除すべきかと…」
「何の問題もない病院船をいきなり廃止にはできんだろ」
「では、放っておくのですか?」
 チャン会長は秘書を見上げた。
「お前はバカか?」
「…?」
「方々に餌をまいたから、ひとつくらいは食いつくだろう…」
 チャン会長の後ろで御付の3人はじっと立ち続けた。


★★★


コードブルーが流れた。ウンジェはNICU(新生児集中治療室)へ駆けつけた。
 当該乳児の前にスタッフが集まっている。
「この子ですか?」
「そうです。病院船から搬送された乳児です」
 1人が手指で胸骨圧迫(心臓マッサージ)を続けている。
 他のスタッフから医療カルテが示される。
「呼吸不全?」
「熱も高い」
「原因は?」
「一つに断定できません」
 ウンジェはモニタを見る。目をつぶった。




 チャン会長の秘書に連絡が入った。
「分かりました。では、そのように」
 秘書はチャン会長のそばに立った。
「会長…」
「餌に食いついたようだな」
「手を汚さずに解決できそうです」
 チャン会長は口元で笑った。


 
 ウンジェはヒョンと散歩に出た。樹木に囲われ、十数メートルおきにベンチの並ぶ散歩コースだ。
 途中、ウンジェの歩みが緩む。左脚の痛みで顔を歪める。
「どうしたんだ?」
 ウンジェは左脚に手をやった。
「脚を痛めたのか?」
 足を引きずるウンジェの腕を取る。足を止めた。
「この前、ひねったせいかしら。ズキズキするの」
「ちょっと座って。僕が診よう、座って」
「大丈夫よ」
「そうでもない」
 近くのベンチにウンジェを座らせる。
「ここか?」
 左足のくるぶしを握る。足首を動かしてみる。
「骨に異常はないな」
「当然でしょ」
 ふくらはぎなどの感触も確かめる。
「筋肉痛かな…」
 ヒョンは顔を上げた。
「病院船と病院で昼も夜も働いてたら故障だって起こすよ」
「…」
「ランニングは休んでシップを貼った方がいいな」
「湿布はいらないわ」
 ヒョンは口を鳴らした。
「聞いてくれ。筋肉痛は早く治さないとダメだ」
 ウンジェは黙ってヒョンを見つめる。
「どうした?」
「私の母並みに小言が多い」
 ヒョンは苦笑する。
「何? 親のつもりはないけど…」 
 ウンジェも笑いを返す。
「行きましょう」
 ウンジェはベンチから立った。ひとりでそろそろと先に歩き出した。


 
 ウンジェたちは寮に引き上げた。ウンジェが先に入ってきた。
 ヒョンは切り出した。
「33回だ」
 振り返ったウンジェに答える。
「君のため息を数えてた」
 ウンジェは厨房内に入っていく。お茶を淹れた。
「心配事でも?」とヒョン。
「ファンさんの赤ちゃんよ」
「何があった?」




 ファン・インギョンは母親に車いすを押され我が子のもとへやってきた。両手で口元を押さえ、悲痛な面持ちだった。
 乳児は命の際でひとり闘っている。
 何も出来ないインギョンは泣きながら見ているしかなかった。




「呼吸不全?」とヒョン。
 ウンジェは頷いた。
 ヒョンは腕を組む。
「原因は何だろう…どう考えても吸引は成功したはずだけどな」
「…」
「まさか、あの時の処置に問題が?」
「搬送前は熱もなくバイタルも安定してた」
 ヒョンは頷く。
「そのはずだった」
「低出生体重児であることが一番の問題かも…あの子を応援する意味で手を握ろうと―保育器に手を入れたの」
「…」
「そうしたら手を強く握り返された…」
「頑張ってるんだな」
「だから、それ以上何もしてやれない自分が惨めだった」
「…」
「あの小さな身体で生きようと頑張っているのに、私は医者として力になれずにいる。それがほんとに情けなくて―苦しかったわ」
 ウンジェはまた大きくため息をついた。




「ファン・インギョンさんですか?」
 NICUから出て来たファン・インギョンに声がかかった。
 車いすが声した方に反転する。
「そうですが」
「お子さんを見に?」
「はい」
「容体は?」
「…どなたです?」
 男は名刺を差し出した。インギョンは名刺に見入った。顔を上げた。
「弁護士さんですか? 私に何か?」
「病院船で帝王切開したとか」
 インギョンは頷く。
「産科医でなく外科医の執刀で?」
「ええ、そうです」
「私はその手術が原因で重体になったと思うのですが、その点をどうお考えで?」
 突然の話にインギョンらは返事に窮した。


名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「韓国ドラマ「病院船」」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事