駄楽器駄日記(ドラム、パーカッション)

ロッキンローラーの打楽器日記

セックスボランティア

2006年11月18日 | 駄日記
11月からオレはスローライフを心がけ、車通勤をやめた。
面倒ではあるけど電車通勤での楽しみもあり、ちょっとだけ寄り道をして駅前の本屋で新刊書などを眺めるのも癒しのひとときである。
そんな新刊の中に、この文庫本を見つけたオレは躊躇することなく買った。
そして帰りの電車の中で夢中になって読み、駅を乗り過ごしそうになったが何とか気付いて家にたどり着き、そのまま仕舞いまで読み切ってしまった。
この本はベストセラーになったので、読書好きの人はご存知だと思うし、購入した方も多いと思う。
だが、オレはこのセンセーショナルな題名の中にある重いテーマが引っかかり、読みたい気持ちはあるが本を買うまでには至らなかった。
そんな「気になっていたが買えなかった」本が、新潮文庫の11月の新刊として店頭に並んでおり、またハードカバーと比べ格安で買えるとあって、これはもう買うしかないと思ったのである。

読んでみて、やはりテーマは重い。
「性」は生きるもの全ての「生」の根源であり、切り離すことなど絶対できない。
だが、性の営みについては健常者が個別に極秘に行うものであり、手足の不自由な人たちが自然に発生する性の欲望は、始めからないものとして無視され続けてきたという。
人間にとって、性は神様の与えてくれた最高の喜びでもあり、最大の苦しみでもある。それは身障者であろうが健常者であろうが、永遠の苦悩だと思う。
もし、自分がある日突然全身が動かなくなり、妻や恋人もそれが原因で離れてしまって独りぼっちになって、しかし肉体は健全な性欲を持ち続けていたのならどうだろう。
手が動かなくて自慰行為すらできなくなれば苦しいに決まっているが、その苦しみを解消することは勿論、誰かに打ち明けることすらできないというのが現実であろう。
この件に関しては、ニッポン政府はどう考えているのだろうか。「福祉充実は最大の必須課題」と言ってはいるが、性の問題はわかってはいるんだけれど「見ざる聞かざる言わざる」を決め込んでいるのだろうか。
本を読んだところでは「寝た子は起こすな」というのが今の日本の現状のようだ。

どうやら海外にはその身障者の性について補助金を税金から捻出する仕組みがある国もあるらしい。
だが、その制度が完全に機能するのにはやはり大きな壁があるようだ。
それは心の問題だ。「感情」のコントロールである。人間である以上「性」に「恋愛感情」は当然結びつくし、割り切れないのである。
もし自分の恋人や配偶者がセックスボランティアをするとしたら抵抗はないか。
いくら割り切って「仕事」をしても、相手は感情を持つ人である。
何をどう考えてみても、これは非常に難しい問題だと思った。
そこにスポットライトを当てたこの本は、大いに考えさせる本である。
大人への性教育書だ。
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