駄楽器駄日記(ドラム、パーカッション)

ロッキンローラーの打楽器日記

男前の小説

2008年01月30日 | 読書
1月30日(水)
「男前の小説」などとなかなかシャレたテーマで書き始めたのはいいが、その前に思い出したことがあるので一言述べてみたい。
オレのブログの文体というのは開始当初から比べると随分と変化している。
どうでもいい人にとってはどうでもいいことだが、中には気付いている読者もいるかもしれない。
開設当時はこのような言い切り型の文章だったが、最近では「ですます調」の文章が多くなってきている。
な~んでか?
それはね?
最初は読む人のことなんか特に意識しないで、大好きなハードボイルド風の文体や少年時代に読み耽った筒井康隆氏のギャグっぽい文体を意識して遊びながら書いていたからなんだけど、途中からライブ告知やらライブレポ、更には友人の葬儀などという悲しいお知らせなどの周知事項があったりして、人様に読んでもらうって事を意識しだしたからなんだ。
だから、これからも時にはハードボイルドチックに遊んでみたり、会話調な文体にしたり「ですます調」に報告させてもらったりするんだろうなと思うのであります。

ってわけで、今日の話題は自分の大好きなハードボイルド小説なんだな。
写真の本は去年の暮れに出たばかりの“ロバート・B・パーカー”の新作、「ドリーム・ガール」であります。
この人の小説は出会ってから何ともう四半世紀になる。
そして和訳されて出版された作品は全て読んでいる。
最初はオレが20代だったんだけど、その当時の「スペンサー」は甘いも辛いも知り尽くした30代後半から40歳ぐらいに感じて読んだ。彼が何とも男前なのである。当時、読者のみんなが惚れたキャラなのだ。
それからオレもスペンサーも25年ぐらい経ったわけだから、もう彼はとうに還暦を迎えているはずだ。
だが、小説の中の彼はとてもタフで鍛えて節制していつまでも強く、そして甘く優しい。強靭な肉体と体力は衰えることがなく、読者のオレ自身の衰えがスペンサーをいつしか追い抜いてしまった。それが癪である。オレより年下のスペンサー。
ありえんのだけど。。。

この本は暮れに本屋で見つけて即買いし正月休みに読んだんだけど、出来はフム、まあこんなもんかって感じだ。
まあ、出来というか評価は作者の思いと読者の主観が必ずしも一致するとは限らないので感じ方は人それぞれだが、テーマがアメリカにおける「売春宿」ということで、自分にとっては今ひとつピンと来ない部分だ。
肝心のマドンナ役?の「エイプリル・カイル」が久しぶりに登場したにもかかわらず、父親代わりのはずだったスペンサーにとっても読者にとっても魅力的でないのが惜しい。
そう思うと、前作の「スクール・デイズ」が大変謎と緊張感があって面白かった。
テーマも高校での銃乱射事件という、現代の重大な問題に取り組んでいて非常に興味深かった。細かい点は「ムムム・・・」と納得いかない点も多かったけれど。
しかしなんといっても、ストーリーに盟友「ホーク」と恋人「スーザン」が不在だったことが非常に話を面白くしていたような気がする。どうも、最近のスペンサーはホークにべったりで、気持ちが悪いのである。「こんな友情ありえないぞ!」と言いたいくらいべったりである。
それと、前作から邦訳の訳者が“菊池光氏”から“加賀山卓朗氏”に変わっているせいなんだけれど、洒落た会話のニュアンスが何となく変わってきて、何となく慣れない。しかしそれはまあ個性なので仕方がないとは思う。
こういう連続物は、読み終えるとすぐに次が待ち遠しくなるのが不思議だ。
この作家は大体1年に1冊新作を出しているので、次の作品は今年の暮れになるのだろうか。
頑張って男前の小説を書いてくれ、ロバート・B・パーカー!

さて、同じ暮れに出版されたもう1冊。

パトリシア・コーンウェルの検屍官シリーズの最新作「異邦人上・下」である。
お待ちかねって感じで、2冊組みで出ましたね。
まあ、この人の本も出ると即買いしちゃうんだけど、実はまだ読んでいない。
読み出すと面白いんだけど、内容が死人を題材にしているのでいかんせんどうにも暗い。なので気持ちが沈んでいるときには読まないほうがいいと思って、風邪で寝込んだときには手をつけなかった。ということでこのシリーズ、全部読んでいるにもかかわらず、読み始めるときには何となく躊躇するのである。
今、手元の本を読んでしまったら、或いは飽きたら読もっと。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする