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『大黒屋光太夫』(上・下) 吉村昭 著 (新潮文庫版)

2005-08-05 00:13:20 | 
 この物語は、18世紀後半、三重県白子の船乗り大黒屋光太夫たちが嵐に遭いカムチャツカ沖の島に漂着してから、帰国するまでの10年間を描いた実話である。

 私は20年ほど前に井上靖の『おろしや国粋夢譚』を読んだことがあるので、話の流れは知っていた。それでも、2年ほど前に毎日新聞の書評で本書『大黒屋光太夫』が大きく取り上げられているのを見た時に「書店に行かなければ!」と思ったほど、大黒屋光太夫は私の人生において興味のある人物なのである。
 その書評は切り抜いたものの、時間はズルズルと流れてしまった。この2年間、巨大書店では、『大黒屋光太夫』に偶然出会うこともなかった。 しかし、出張先で目を通していた新聞に文庫本の広告が出ていたので、仕事が終わると書店に急行した。店員の話によると、その日、大量に売れたらしく上巻が最後の1冊。下巻は売り切れていた。

 本書を手にした時の第一印象。活字がデカイ。活字がデカイので2巻で600ページだが量も気にならなかった。
 読み始めてからの第一印象は、艶話が目立った。最初、少し抵抗があったが、事実に基づくようなので結果的には楽しめた。機会があれば、本書の参考文献にあたる『極珍書』という書も見てみたいが、こういう思いが湧いてくると、古文の時間に怠けていた自分が悔しい。
 とにかく、井上靖の『おろしや国粋夢譚』とは結末が違うので、それだけでも一読の価値はある。私自身、これを機会に『おろしや国粋譚』を再購入し、読み比べてみようという気になった。

 ロシアのエルミタージュ美術館の奥深くに、大黒屋光太夫が置き土産にしたと思われる「根付」が展示してある。大黒屋光太夫の名前は記されていなかったと思うが「白子」か「津」の地名が記されていた覚えがある。興味のある方はぜひ。(常時公開されていますが、団体旅行では、この展示場所まで足を運ばないと思う)

 ところで、インターネット上のレビューを見ていると、この話を安易に「北朝鮮の拉致問題」と同一視しようとするものや、ロシア人の親切さに懐疑的な見解を投げかけるものを見たが、かわいそうな人たちである。 一度、言葉の通じないところを旅して、人の優しさに触れてみるべきだと思った。


(個人的評価:★★★★)
(おすすめ度:『おろしや国粋夢譚』の結末がイヤだったという人はぜひぜひ)


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4 コメント

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教えてください (金田良一)
2005-08-17 09:29:35
トラックバックありがとうございます。とても素晴らしい書評ですね。貴方の洞察力に感動しました。



吉村先生は鈴鹿に来られて、やっとこの本を書くつもりになられたそうです。



エルミタージュ美術館にあると言う根付なる物はどんなものなのですか。教えていただければ、幸いです。
TBありがとうございます (カプリ)
2006-08-29 22:37:57
Blog初心者ですので、TBを受けどうしようという感じで書いています、違っていたらご免なさい。

1年前に読んだ「大黒屋光太夫」が懐かしいばかりではなく「おろしや国粋夢譚」との混同が始まっているなと改めて感じました。読む先からどんどん忘れて来ますがなんとか書いて忘れないようにしたいものです。
TBお礼 (matsubara)
2006-10-12 18:35:39
このたびはトラックバックありがとうございます。

エルミタージュ美術館の根付のことは初めて聞きました。ガイドのロシア人は知らなかったのでしょうね。説明はなされませんでした。日本語はうまかったのですが・・・
TBありがとうございました。 (ほたる)
2007-06-16 11:49:41
はじめまして。
トラバ、ありがとうございました。
この物語は、今から映画の方のDVDを観ようと思っています。
私は、音吉、万次郎らの事にも興味があり、
その事についても書いてます。
後、宣伝みたいですが、ミラノ在住の友人…スピンさんが、
彼女は学生時代からヨーロッパに居ますので、
日本の歴史には詳しくないですが、
ヨーロッパの歴史の知識には逸脱したものがありますす。
その彼女の協力で、エルミタージュ美術館で撮影して来た根付なども、載せています。
カテゴリ「スピンさんの欧州便り」を見て頂くか、
ブログ内で検索なさって、
ご覧いただけると嬉しいです。

これからも、寄せて頂きます。
どうぞ宜しくお願い致します。

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