洋楽な日々

洋楽を中心とした音楽の紹介。海外サッカー、格闘技等の雑文も。

ヒルデ・ルイス

2004-10-13 | CD
Hilde Louise / Eleven Nights

 ノルウェーのジャズシンガー、ヒルデ・ルイスの1st。ジャズシンガーといっても Jane Monheit のような流麗な本格派でもなく Cassandra Wilson な感じでもない。ロリータ度を落とした Lisa Ekdahl みたいだ。邪道系というか。まあ、ジャズというよりも2~30年代のスタンダードと言ったほうがシックリくる感じである。

 ポロロロロンというピアノの前奏から、蜂蜜をかけた練乳のような甘いヴォーカルがけだるそうに歌い出す。アンニュイなメロディを。かなり良い。おまけに泣きのトランペットも大盤振る舞いである。ピアノソロもディープにいかず、ポップミュージックとしてもちょうどいい按配だ。

 ジャケットのイメージ通りというか、2~30年代のアメリカの酒場でブロンド美女が歌ってるような、そんなアルバムである。また、こんな言い方はかなりヘンなのだが、ちょっと前に流行ったいわゆる「昭和歌謡」な色合いもかなり濃い(ソウルを聴いてスタカンみたいと言ってるようでやや気が引ける表現なのだが)。

 異質なキューバテイストの⑩もイイ出来だし、この手の人で全曲自作というのも珍しく、今後もかなり幅広くイケそうである。

R.E.M

2004-10-12 | CD
R.E.M. / Around The Sun

 REM3年ぶりの新作はポスター封入・デジパック仕様という実に保管しにくい形となった。おまけに英詩がポスターの裏にあるのでいちいち見ずらい。大体こんな折り曲げられまくりのポスターなんて壁に貼る人がいるのだろうか。しかも裏に英詩が書いてあるというのに!だ。 はっきり言って普通にしてほしいって感じである。

 「アップ」「リヴィール」の延長線上にある静かなるポップソングアルバム。なんだけど前2作とは少し印象が違っている。静けさの中の緊張感があまり感じられないのである。ゾクッとするような鋭利さが感じられない。確かに前作には「イミテーション・・・・」のような恥ずかしくなるようなベタサビポップなのもあったのだが、それはそれである。

 この路線って仮の姿というか、後の大爆発への助走というか、U2にとってのテクノ3部作みたいな位置づけを勝手にしていたのであるが、コレを聴くと後の大爆発への幻想が消え失せてしまった感じである。この路線に落ち着いてしまったような・・・・。

 まあ、勝手な思い入れだし、言うほどショックってほどでもないのだが。それにこの路線が悪いわけではなく、それどころか「アップ」「リヴィール」は大好きである。

 なんか矛盾したことを書いてるみたいだが、勝手な思い入れがあるとこうなりがちだ。期待しすぎたり、こうでなきゃいけないとか・・・・・・。

 で、このアルバムなのだが、楽曲は粒ぞろいであることは間違いない。前作がオール5だとするとオール4って感じだ(あくまで例え)。なのだが緊張感が感じられないので段々とダレてしまう。結局、REMの新作としての期待にギリギリ応えられたかなって内容である。う~ん、微妙だ。いや、はっきり言うと個人的には期待に応えてないぞ、REM。

 あと、歌詞についてだが、ダイレクトに反戦を歌っている作品は少なく、ほとんどが主語をアメリカやブッシュに置き換えると反政府的な内容となるくらいのものである。行動と作品とはある程度距離を置いたように思える。
 

ホルガー・シューカイ

2004-10-08 | CD
Holger Czukay / Movies

 今回はちょっと古風なものを引っ張り出してみた。ドイツの伝説的グループCANのオリジナルメンバー、ホルガー・シューカイの大傑作である。エラソーな書き出しだが実をいうとCANについては何も知らない。彼を語る際の枕詞みたいなものなので一応付けておいた。

 もう20年以上前のアルバムなのでピンとくる人はR35ってとこであろうか。サントリーのCMで流れていたアレである(←③ペルシアン・ラブ)。又、ジャケット写真がローラン・ボックそっくりなところもプロレス好きにはイイ感じであった。

 当時は歴代ベストソングとかいってBスプリングスティーンの「涙のサンダーロード」などを差し置いてかなり上位に③をランキングさせていた覚えがある。ウルトラボックスの「ニュー・ヨーロピアンズ」と共にかなり聴きまくっていた。ところが、ウルトラボックスはすぐ飽きたがホルガーは何回(何百回)聴いても全く飽きないのである。その後大学時代にも留守電のバックミュージックに使っていたくらいだ。ちなみに最近着メロにしようと思ったがさすがに見当たらなかった。

 全4曲。40分。ほとんどインスト。

 絶対買わないパターンだ。いかにも聴いてる途中で退屈しそうだし。CMに使われなかったら絶対に手を出してなかったと思う。最近よく出ている「CM曲集めましたアルバム」などには「んげっ」って感じであるが、振り返ればこの生涯級の名曲③を知ったのもCMのおかげだったワケである。安易感丸出しな企画物なんかも、音楽との出会いということからすると良いのかもしれない、などと思い直してしまう。

 それにしてもサントリー、恐るべし選曲である。

 う~ん、長々と書いたが肝心のアルバムの内容がサッパリわからんな。いかん、いかん。


クリス・ヴォン・スナイダーン

2004-10-06 | CD
Chris Von Sneidern / Knight Of Lines And Proses

 サンフランシスコのポップ職人の99年発売のベスト盤である。今年になって「Headful Of Words - Best Of Vol.1」 という違うベストがリリースされたがこちらはまだ聴いていない。

 ベスト盤をとりあげるのも何なんだが、初めて彼を知ってのがコレであり、その後全作を集めた(1枚だけ未聴)のであるから入り口としては良いかと思う。とにかく良い曲ばかりである。

 クリス・ヴォン・スナイダーンは93年に1stを発表、その後6作品(CD-R発売2枚含む)をリリースし本作に至っているのだが、そのうち1枚はライブであるしCD-R作品からの曲は入っていないので実質4枚からの選曲ということになる。

 彼の特徴は1にも2にもメロディセンスである。このベストに収録されている曲が全曲良いのは当然としても、他も名曲揃いなのである。これほど高水準のポップソングを連発出来る人はそうそういない。若かりしコステロ+ニック・ロウといったところか。彼らのポップな部分を抽出した感じである。とにかくポップ、恐るべきポップセンス。音的には10年前に聴いても10年後に聴いても違和感がなさそうな「普通」のバンドサウンドである。ヴォーカルもクセがなく、とりたてて特徴的ではない。全てがメロディを普遍的にするように構成されているように思える。

 最初はもう少しロック色が強ければ、と思ったがそれは贅沢。最高級のメロディメーカーのベスト盤なのである。

  

ジョンスペ改め

2004-10-05 | CD
Blues Explosion / Damage

 大絶賛発売中のJSBE(ジョンスペ)改めブルース・エクスプロージョンの新作。前作に続きカッコいいロックンロールアルバムである。しかも、なんと、あの、ジェームス・チャンスまでもが参加しているという。「ノー・ニューヨーク」随一のイカれた(もちろんホメ言葉)サックス奏者だ。

 相変わらず「何でこんな曲をカッコよく鳴らせるんだ」な曲(特に②)が並ぶ。③から④への移行も抜群。⑦⑧の流れも良い。そしてハイライトはもちろんジェームス・チャンス参加の⑩である。ダントツにカッコいいぞ。なんとなくポップ・グループ(生涯最強バンド)みたいだし。

 確かに絶賛されるべき良いアルバムだと思う。ところがだ、なんかしらんがあんまり繰り返して聴く気にならないのだ。アレっ?て感じだ。ズバリ言うと琴線に触れてこないのである。げげっ。⑩は別だけど。

 そういえば最近、好きだった作家の新作をあまり面白く感じずにちょっとショックをうけたのだが(R・N・パターソン、S・ハンター、G・ペレケーノス)、ストライクゾーンが変化してきたような気がする。歳かもしれんな。

 まあ、ちょっと寂しい思いがするのだがそんな感じである。

 

 

 

 

ジョス・ストーン

2004-10-04 | CD
Joss Stone / Mind. Body & Soul

 17歳の白人女性ソウルシンガーの2ndである。1stがアリシア・キーズの隣に置いてあり、ジャケットも顔があまり写ってないアイドル臭のない方で、確か1690円のお買い得価格だったので何となく買ったのであるがコレが結構良かったのである。17歳らしさがまるで垣間見えない古典的なソウル・カバーアルバムだった。

 よく耳にするシングルの③が「むむっ」という感じで年齢相応な売り方にしたのかと不安になったのだが、またもや1890円という絶妙価格。ならばと購入。なんか迷ったときに2100円以内くらいだと大抵買っているような気がする。

 不安半分だったが①を聴いて安心した。少なくともアッチ側(聴かない音楽)ではない。それどころかこの落ち着きまくりのイントロは笑えるほど10代離れしている。

 ③以外はクラシックソウルの王道的なアルバムであるが、Ricky Fante ほどには針が振り切れてはいない。「今」が結構いい感じで混ざっている。落ち着いた良い曲が多く、逆に③が気に入った人からすると物足りないかもしれない。

 ヴォーカルにもう少し脱力感があれば言う事なし。エラソーだが聴いているとやたらと力んでるような感じなので・・・・。あと、いかにも安売りワゴンに入れられやすそうなこのジャケットはいかがなものだろうか。まあ、しかし相当に良いアルバムであることは間違いない。1stを聴かずにシングル③だけで判断していたらアイドル系だと思って確実に素通りしていたな。危ないところだ。

 

どえらい日々

2004-10-02 | 他いろいろ
 中日の優勝、イチローの記録達成と名古屋人的にはどえらい日々であった。中日の優勝の決め方が笑えるほど冴えなかったのでちょっとガッカリだったがイチローには感激である。豊山町からあんな選手が出てくるなんてって感じだ。恐るべしすぎるぞ。周囲でも話題は中日より断然イチローの方だ。

 ようやく怒涛の新作ラッシュも一息だ。かなりの散財、半分ヤケになって買いまくったがなんとか落ち着いた。怒涛のように聴きまくったのでまた改めてじっくり聴いてみようと思う。

 今後もREM、マニック・ストリート・プリーチャーズ、エリオット・スミス、U2、が控えている。うれしい限りだ。

  

トラキャン

2004-10-01 | CD
Trash Can Sinatras / Weightlifting

 グラスゴーのトラキャン久々の新作である。ぽーっとしたシングル「snow」を除けば10年振りくらいではなかろうか。待望というか、ほとんど忘れてた状態である。

 トラキャンといえば傑作デビューアルバム「cake」の①②曲目で Aztec Camera 1st級のインパクトで登場したのであるが、以降はずぶずぶと地味地味沼に陥ってしまっていた。

 いい曲もあるのだが(2ndの②などは名曲だ)基本的には「泣きメロじゃないのにゆっくりな曲」が多く、なおかつ全体的にこもった感じで「もっと元気だしてよ」な感じであった。

 ところがだ、聴いてびっくり。①がやたらパワフルなのである。間違ったCDを入れたのかと思ったほどだ(マジで)。ロックなトラキャン。なんか嬉しいぞ。得意の「泣きメロじゃないのに・・・・・」な曲もあるのだが全体的に突き抜けた感じがする。ジャケットのイメージそのまんまだ。アレンジもきらびやかだ。地味なバンドなのでこのアレンジは絶妙。Fountains Of Wayne のアダムなんたらさんの仕事らしいが実に素晴らしい。

 1st以来の傑作じゃないか、これ。感慨にふける。とは言っても実は買ったばかりでまだそんなには聴いていないのだが・・・・。まあ、大きく期待して聴いてしまうと「ふ~ん」なんて感じになりそうだが、トラキャンの新作に多大な期待をする人ってあんまりいないのではないだろうか。そんな人には嬉しい一品。秋晴れな一枚である。