南海泡沫の後で

貨幣収集を時代背景とともに記述してゆきます。

ドイツ・10マルク銀貨(ミュンヘンオリンピック記念)

2011年07月11日 01時25分32秒 | 投資
先週金曜日に、金ETFをほんの少し買った。
貴金属ETFを買うのは3月以来。金ETFは2月以来。
前買ったのはその後売っていた。

貴金属の5月崩壊前の急上昇には乗らなかった。GW三連休の商品下落は銀が特にひどかったが
また切り返してきている。

前は銀など他の貴金属も買っていたが今後は金のみにしようと思う。銀については再度5月のような上昇があるかどうかわからないからである。

金は今後また上がる可能性があるように最近思われている。欧州、米国もこのまま無事終了とはならないだろう。
きっとまた再炎上するはずだ。そのたびに金は少しづつ上がるのではないかと思っているし、世界中の人々が同じように認識していることと思う。特にギリシャはもう助からないだろう。
ただし一気買いはせずに時間分散で少しづつ押し目を買おうと思う。押し目など来ないかもしれないが。
欧州発か米国発かわからないが債務危機は金上昇を確実にする。しかもこれが重要なことだが…世界中の投資家が金の上昇はまだ続くと考えているはずだ。そのバイアスが続くと思われる。


今回のコインはドイツの10マルク銀貨、1972年のミュンヘンオリンピック記念銀貨だ。
ナセルで連想されたので次をこれにした。

ミュンヘンオリンピックについては十分ご存じであろう。イスラエル選手団がテロの標的になり、
ドイツ警察と銃撃戦になりイスラエル選手団11名、警察官1名、テロ組織「黒い九月」5名死亡。
結局悲惨な結末となった。またこの事件の後にイスラエル諜報部(モサド)は報復を開始、黒い九月の幹部を次々暗殺してゆく。
72年は他にも黒い九月はテロを起こしている。73年にもスーダンで米国大使をパーティ会場で殺害している。

このような残酷なテロの発生したミュンヘンオリンピックであったが事件後はすんなり再開している。
これは当時のIOC会長が反ユダヤだったためといわれている。
ちょっと前にスピルバーグがこの事件を映画化した。「ミュンヘン」というタイトルだったが自分はまだ見ていない。
暴力シーンも多く暗い映画だったかと思う。

で、このコインであるがΦ33、15.5g、品位0.625。ミュンヘンオリンピック記念10マルク銀貨は
5種類のデザインが用意された。また、それぞれにプルーフも作られた。また頒布というか、発行も5回に分けて行われた。
写真のコインは第一回発行のもののうちの一種で、プルーフ仕様である。
このデザインのコインは第一回のもののみ表面の表記が「インドイチュランド」で、次回からは「インミュンヘン」表記に改められる。

陰惨なテロが起こったミュンヘンオリンピックだが、このコインは美しい。
数多いドイツの記念コインだが、特にこれはドイツ的なデザインセンスが優れており完成度が高い。余計な装飾がない。
このコインは容易にネットなどで手に入るがどうせ買うならプルーフがお勧め。このデザインとプルーフの鏡面仕上げが実にマッチしている。
しかも価格も手ごろだ。私もミュンヘン表記のものも買い増ししたい。

このコインを作り上げた人々にとって、尽力した記念コインが本来華々しいオリンピックのイメージを想起させる筈なのに、むしろ陰惨な死の重苦しい記憶を刻み込まれることになったことは意図せざる結果であり、おのおのの努力が徒労に感じられたかもしれない。美しい螺旋のデザインのある鏡面の背後に死んだ者たちの無念が払拭され難く隠れているのである。
しかし39年後の今、このコインを手にとって眺めるとき、他のオリンピック記念コインとはかけ離れた特別な美と重量感を感じる。それは歴史の重厚感からであろう。

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