南海泡沫の後で

貨幣収集を時代背景とともに記述してゆきます。

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ポーランド・ウッジ・ユダヤ人ゲットー10マルクアルミ貨

2011年10月19日 00時30分07秒 | 投資
クラシックのピアノ曲が好きなのでyoutubeでもよくショパンを聞く。バラード、エチュード、ノクターン、プレリュード。好きなのはバラードNo1ト短調。エチュードは大洋、木枯らしなど。プレリュード4番も。

ショパンは御周知の通りポーランド人。

ショパンと関係してであるが、2002年の映画「戦場のピアニスト」(原題「The Pianist」仏独英ポーランド合作)も好きな映画だった。
ロマン・ポランスキー監督、エイドリアン・ブロディ主演で、ポーランド人のピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマンの実話に基づいた映画である。
シュピルマンはユダヤ人で大戦中のナチのユダヤ迫害によって家族全員強制収容所行き、シュピルマン自身も九死に一生を得るような流転の末、廃墟と化したワルシャワで生き残った稀有な運命の持ち主である。

戦前はピアニストとしてポーランドで活躍していたが、第二次世界大戦でナチドイツ軍ポーランド侵攻により家族もろとも
運命が一変する。当初は家族ともどもワルシャワ市街に作られたユダヤ人ゲットーに居住するも、ナチにより家族は皆強制収容所送りとなる。シュピルマンのみ逃れ、荒れ果てたワルシャワで息を殺すように隠れ住み、飢餓と摘発の恐怖に耐えソ連軍開放まで生き延びた。

物語は「戦場のピアニスト」をご覧いただきたい。いい映画だと思う…映画の中で演奏されるショパンのピアノ曲も美しい。
シュピルマンのレパートリーとしてはラフマニノフもバッハもシューマンもクライスラーもあったので
劇中ではショパンが象徴的に使用されているが実際にはショパン専門ピアニストというわけではないようだ。
しかしショパンの憂いを含んだ旋律がマッチし感銘を与える。ピアノ曲ファンとしても、歴史好きとしてもとても
引きつけられる良い映画なのだ。もちろんポランスキーの力量も高い…

シュピルマンの演奏は、ノクターン「遺作」などホロヴィッツより少し速めな感じか、やや素朴な感じか?とわずかに思わせるが曲が進むにつれ味わい深さを増す…シュピルマンの辿った運命も重ねてしまうのだが…
演奏は…蘊蓄を語れるほど聞いてないが、誰がいいとかどの曲が誰がどうのとか考えても、またしばらくすると気が変わっているのが
正直なところである。いつぞやはアシュケナージ以上はいないはずと思っていたのにコルトーの方がアジがあっていいとか思うようになったり。
その時その時の気分とか発見、出会いによって変わるものだと思う。


さて・・・
今回のコインはポーランド・10マルクアルミ貨、ポーランド中央に位置する都市ウッジ(英語名ロッツ)のユダヤ人ゲットー用。大戦中のユダヤ人ゲットー内で使用されるために使われたいわば特殊通貨、戦争通貨、トークンとでもいうか、その存在が悲痛なコインである。シュピルマンのいたワルシャワのゲットーではないが、同じくポーランドの都市ウッジにあったユダヤ人ゲットー内用のコインである。発行はナチの傀儡・ユダヤ人評議会であろう。

粗雑なコインで軽く安っぽい。プレスもいい加減なのかバリ?も表面に残ったまま。
他に10ペニヒ、5マルク、20マルクのもあったがいずれもアルミやアルミ・マグネシウムなどで作られていた。
発行枚数は10万枚。若干のバリエーションがあり、アルミ製のものとアルミ・マグネシウム合金のものとがある。後者はレアで高価であるが前者は安価で売られているようだ。ワールド~カタログにもさほど高い値で書いてはいない。他の額面のものは高いモノもある。
ワールド~によると発行は1942年から開始、写真の10マルクアルミ貨は1943年のみ作られた。流通量は少なかったものの今日でも普通に見られるとか。亜鉛含有により変質があるとか。

ウッジのゲットーについては、東大助教授の鳥飼行博氏のサイトに詳しく載っているので参考にされたい。写真も掲載されており
かなり詳しく見ることができる。このゲットー、占領後にはドイツ語でリッツマンスタッドと都市名も変えられた。
ゲットー内には20万以上のユダヤ人達が押し込められ、ゲットー内での死亡、殺害、または強制収容所に連行などによって、ソ連軍開放時には800人弱しか生き残っていなかった。当然ゲットー内での生活は飢餓と伝染病、ナチによる殺害などユダヤ人には悲惨そのものであった。

このコインもシュピルマンとショパンが重ね合わされ感傷から買ったものである。ショパンはユダヤ人ではないが、悲哀と憂いに満ちた旋律が
このコインを見ているとまるで悲劇を物語り、ユダヤ人たちを弔うかのようだ。

このコインは私がコイン収集をやめた後、もしくは鬼籍に入った後でも誰かしら後世に受け継いでいって残してほしいコインである。
輝きやデザインが美しいから、発行枚数が少なくレアとかなどで残したいといったものとは全く違う意味で、である。
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