老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

壊れかけの受信機

2020-04-26 05:09:01 | 老いびとの聲

蓄音機に耳を傾け聴くニッパー


1516; 壊れかけの受信機

人間は、発信機と受信機が備わっている。
発信機は、言葉を話し相手に思いを伝えること。
受信機は、耳を傾け相手の言葉を聴きとり感じること。

きょうは、受信機のことを書いていきたい。
受信機ではないけれど、ラジオを連想した。
徳永英明さんの『壊れかけのRadio』を聴くと
なんだかしんみりと聴こえくる。


テレビがなかった時代のラジオから流れてくる音楽に
昔の人は、耳を傾けたものだった。
トランジスタラジオを畦道に置き
聴きながら野良作業をしていた父親。

ある40代半ばの女性ケアマネジャーは
在宅訪問のとき
老妻や長男嫁から何度も何度も同じような話(愚痴)を聞くのは嫌になる。
そのような在宅は11時過ぎ頃に訪問し
「もうお昼が近いので、これで失礼します」と話を打ち切り、おいとまをする、という。
嗚呼、壊れかけの受信機を持つ人だな、と思ってしまった。

在宅介護者から同じよう悩みや愚痴を話されても
ケアマネジャーはジッと耳を傾け聴くことから
相手との信頼関係が築かれていく。

在宅介護者は、悩みや愚痴を聴いてくれるだけでも
気持ちが軽くなったりスッキリしたりして救われたりする。
それは、認知症老人も同じ。
認知症老人の話をじっくりと聴くことで、老人は心落ち着き、穏やかになる。

半分わかったような気持ちで、相手の話を聞いていると
相手はわかる。この人は、わたしの話を聴いてはいない、聞いているだけ。

相手の話を聴くということ
それは、相手の言葉を聴いた「わたし」は
もうひとり「私」と自己対話をとおし
相手の気持ちを(心情)汲んでいく。


ビクターのトレード犬 ニッパーを思い浮かんだ。
ニッパーは、蓄音機から流れてくる音楽に耳を傾け聴いている。
ニッパーに見倣い、耳を傾け老人やその家族の聲を聴く。

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
耳をかたむける (yasuragi)
2020-04-26 06:26:54
そうだ そうだ!
唯 聞くじゃないよね。耳をかたむけるってことは
そこに心があるってことですよね。
話しているほうは、相手がちゃんと聴いてくれてるか、聞き流しているだけか不思議と 判るもんです。
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7回聞くつもりで (otomechan)
2020-04-26 13:47:29
私の母が認知症が始まって、何度も同じことを繰り返すようになった時、
「3度は聞くんですが、それ以上になるとうんざりです。」
とケアマネさんに言った。
するとケアマネさんが「そうですね。7回聞くと思ったら良いですよ。」
そっか7回聞くと思えば、3回くらいなんてことない。
気持ちの持ちようですね。まぁ、お陰で母の話は愚痴では
なかったから良かったですが・・・・・・。
ケアマネさんには、本当にお世話になり有難かったです。
懐かしい思い出です。
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こんばんわ。。。 (kiyasume)
2020-04-26 17:42:27

昔、子供の頃に、私はラジオが買えなかったもので、
鉱石ラジオの三百八十円のものを玩具屋から買って来て、
電話線に、繋げてアンテナとして、音楽番組を聴いて居ましたよ・・・・・。

ラジオはいいですよね。。。。

ヘルパーさんとか訪問看護師さんに付いてですが、、
中には悪辣な人間も居るんです。困った事ですが、

その辺の話は私の「男の世界。。。」と言う記事にて克明に書いて居ますので、良かったら参考までに覗いてやって下さいね.....。

認知症は、恐ろしい脳の疾患です。
私も認知症の母を6年間面倒を見ました...。

母は今は施設におります。

何か書き込みたくなりました。
お邪魔しました。。。
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「聴」という漢字 (星光輝)
2020-04-26 18:07:10
yasuragi san
聞きながしなのか、聴いているのか
相手は感じますよね。

ドクターが診察のときに使う聴診器。
最近は聴診器よりもパソコンの検査データを見ながら
患者に話しかける医師が増えてきたのが気になる
ります 。
胸に聴診器をあてながら、患者に顔を見て、「大丈夫だ」、と話されるとホッとしますよね。
聴「心」器と書くとよくわかります。
胸に聴診器をあて心で患者の状態を診る。

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ある意味、忍耐を必要とする (星光輝)
2020-04-26 18:21:23
otomechan san
お母様の話を3回も聴かれたことは、凄いです。
7回聴くつもりで、と話されたケアマネジャーさんも聴き上手なのですね。
認知症老人の同じ話を聴くことは、
ある意味、忍耐を必要とします(誤解を招きやすい表現ですが)。

同じ話を初めてきくような態度(表情)で聴く。ある意味、聴き手は役者(俳優)になったつもりで聴くと、楽しくなります。
本当に在宅での介護お疲れ様でした。


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ラジオはテレビよりいい (星光輝)
2020-04-26 18:33:27
kiyasume san
小さいときから工作力というか創造力があったのですね。
昔はよく雑誌の付録にラジオ工作の部品が付いていましたね。
ラジオよりはテレビのほうが
視覚に映り、真実に見えます。
しかぢ、画像や映像は必ずしも事実とは限らず嘘の場合もあります。
でも、視聴者は目に映ったものは事実と思い込んでしまいます。
映像は次から次へと流れて、考える時間を与えてくれません。

その点、ラジオは耳から聴くことにより、
テレビよりも言葉が耳に入り、不思議と瞬時に思考することができます。
一度読まさせていただきます。

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