キネオラマの月が昇る~偏屈王日記~

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息詰る密室劇 「SLEUTH スルース」

2008年07月05日 | 雑感
大きなネタバレあり。ご注意ください!


「SLEUTH」公式サイト


今頃、四月に観た映画の感想を。

トリッキーな物語が好きだ。
小説であれ映画であれ、最後の最後に「あっ!」と驚かせてくれる話が。

この映画の粗筋を聞いて、漠然と「デス・トラップ 死の罠」を連想した。
これは私の好きなタイプの映画かもしれないとの期待を胸に、劇場まで足を運んだ。

世界的に有名な老推理作家(“サー”・マイケル・ケイン)のところに、妻の愛人と名乗る美貌の若い俳優(ジュード・ロウ)が訪ねて来る。
愛し合っている我々二人の結婚を認めろ、と。

もう出だしからして不穏である。

登場人物は作家と俳優の二人だけ。
もともとは芝居の本作は、この二人の男の息詰る密室劇である。
諍いの発端となった若く美しい妻は、劇中登場しない。
(家の中に飾られた大きな写真パネルでその存在を誇示するのみ)

妻を寝取った男と寝取られた男が丁々発止の化かし合い。
果たしてその結末は、といえば・・・。


とにかく美しいクイーンズ・イングリッシュ。
さすがイギリス。
さすがマイケル・ケインにジュード・ロウ、と感嘆する。


作家はまずは嫌味のシャワーを俳優に浴びせるが、嫌味や皮肉に関して、世界で最も洗練されてるのはイギリスだという確信を新たにする。
大好きな「銀河ヒッチハイク・ガイド」も「モンティ・パイソン」も、「ビートルズ・アンソロジー」に収められた4人のインタビューだって、洗練された嫌味や皮肉に満ち溢れている。


本作はジュード・ロウの魅力が遺憾なく発揮されている。
「妖艶な」とは、美女を修飾する言葉かと思うが、この映画のジュード・ロウはまさに「妖艶」以外の褒め言葉を思いつかない。
マイケル・ケインを誘う場面は、娼婦もかくや、というほど。

それにしてもあまりにも美しいというのも、俳優として不幸なことなのかも。
「ガタカ」のときもしみじみ思ったが、ジュード・ロウはこんなに演技が上手いのに、ほとんどの観客は、多分演技より彼が如何に美しいかしか問題にしないだろうから。

作中、「薔薇の素顔」を連想させるとんでもないどんでん返しに驚いた。

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