キネオラマの月が昇る~偏屈王日記~

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読むべきは「動物農場」

2009年01月26日 | 
最近、小林多喜二の「蟹工船」が売れているというが、その状況が非常に薄気味悪い。
今、日本人が読むべきは、むしろジョージ・オーウェルの「動物農場」じゃないのか?
マスコミという名の“豚”に踊らされている人があまりにも多すぎて不安になる。

動物農場 ― Wikipediaより

【概要】
飲んだくれの農場主を追い出して理想的な共和国を築こうとした動物たちであったが、指導者の豚が独裁者と化し、恐怖政治へ変貌していく過程を描く。スペイン内戦に自ら参加した体験を持つオーウェルが、人間を豚や馬などの動物に見立てることで20世紀前半に台頭した全体主義やスターリン主義への痛烈な批判を寓話的に描いた物語である。


【あらすじ】
人間の農場主が動物たちの利益を搾取していることに気づいた「荘園牧場」の動物たちが、偶発的に起こった革命で人間を追い出し、「豚」の指導の下で「動物主義」に基づく「動物農場」をつくりあげる。動物たちの仲間社会で安定を得た彼らであったが、不和や争いが絶えず、最後は理解できない混乱と恐怖に陥っていく。結果的に支配者が入れ替わっただけで、人間が支配していた時以上に抑圧的で過酷な農場となる。

最近読んだ本

2009年01月26日 | 雑感
「生きてるだけで金メダル」 樋口強 春陽堂

「つかむ勇気 手放す勇気」 樋口強 春陽堂

「アントニオ猪木の人生相談 風車の如く」 集英社

「アルケミスト 夢を旅した少年」 パウロ・コエーリョ

2009年01月26日 | 
ネタバレあり。ご注意下さい!

「アルケミスト 夢を旅した少年」 パウロ・コエーリョ 角川文庫

「ホワンの物語」の作者が、この本から自作のインスピレーションを受けたというので、手に取ってみる気になりました。
以前からタイトルだけは知っていて、気にはなっていたのですが・・・。
翻訳はホワンの物語同様、山川夫妻。

非常に思索的、哲学的な物語。
そのスケールの大きさには圧倒されます。

カート・ヴォネガットの「ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを」や「タイタンの妖女」を読み終わったときのように、一種眩暈に似た感じに襲われます。
凡庸な人間には、この宇宙の成り立ちや仕組みは解らないし、解ってはいけないと個人的には思いますが、そんな私のような唯物論者さえ、一瞬神の衣の裾に触れたような思いがする ― そんな広大で深遠な物語です。

特に羊飼いの少年サンチャゴが大変な苦労をしてピラミッドに到着するシーン。
砂を掘り始めたが何も出てこない・・・さぁ、一体この旅の結末はどうなる?と固唾を呑んで読み進めた193ページで明かされる衝撃的な真実には思わず唸らされました。
196ページの物語で、“その話”をあと3ページのところで持ってくるセンス!
いやはやパウロ・コエーリョは希代のストーリーテラーです。