おはようヘミングウェイ

インターネット時代の暗夜行路。一灯の前に道はない。足音の後に道ができる。

神の知恵より人の知恵

2016-02-13 | Weblog
マット・デイモン主演のSF映画「オデッセイ」(原題はThe Martian、火星人の意)を観た。火星探査の際、砂嵐に巻き込まれて1人取り残された宇宙飛行士の延命と生還を描いた物語である。宇宙、宇宙船、宇宙飛行士、惑星を描いた映画はハリウッド映画の独壇場である。映画づくりのための資金力と技術力がある上に、米国の科学技術を結集した機関であるNASAが宇宙開発の実績と歴史を重ねていることが、こうした迫力あるSF映画誕生の背景となっている。映画の流れと場面場面の描写の中に、われわれの時代の今が示されている。複数かつ多方面の視点から、この映画を読み解き探訪してみよう。

☆この映画は火星を舞台にした人類史を描いた物語である。

火星で1人ぼっちになった宇宙飛行士は火を使い、水をつくりだし、人糞を使って植物(ジャガイモ)を育て、農耕で食物を貯蓄し、機械を使って移動し、さらにはコンピュータで地球の人と意思疎通のやり取りをする。

☆宇宙船の司令官は聡明にして決断力と行動力のある女性である。

リーダーの適格性の項目に性別は無くなる時代となる。女性の大統領、女性の首相、女性の最高裁長官、女性のトヨタ自動車社長、女性の東大総長、女性の講道館館長の誕生は時間の問題となる。とすれば、男性による宝塚歌劇団も登場することにもなろう。

☆宇宙飛行士は火をつくり出すためにキリストが磔刑にされた木製の十字架を燃やす。

信仰より科学へ。祈りではなく、思考すること。論理の積み重ねが命ある時間を延ばしていく。

☆ジャガイモは非常食にして日常食である。

日持ちがする。手ごろな大きさ。レンジでふかすだけで食べることができるほどに手間がかからない。毎日食べても飽きない。万能食と言ってもいい。

☆コンピュータでビデオ日記を記録していくことは自身の存在をつくり出すことである。

時間のない世界に新たに自分の時間をつくって出来事を整理、報告する作業をすることは、生活にメリとハリを生みだすことになる。同時に生きた証となる。脳は記録することが好きである。

☆救援に向かう宇宙船の運航軌道を計算するのは変人の科学者である。

常識を超える天才は変人に見える。天才的な人物による計算の裏付けがなければ救援船の正しい飛行はできない。救援の最大の功労者かもしれない。

☆救援のために宇宙船の一部を手作り爆弾で爆破する。

科学的に正しい知識と見立てがあれば、仮説に基づいて実験を試みるのが科学者である。扱い方を知っているから水素も爆弾も放射性物質も怖くない人たちがいる。

☆救援のため中国の宇宙技術者たちが協力する。

映画製作に中国資本の出資があったか、もしくは中国市場を意識したのだろうか。人道的で立派な中国人民が描かれている。

☆宇宙冒険の行き着くところは家庭であり、わが家となる。

ここちよいソファーのある居間、夫、妻、子どもたちがいる風景。心と身が落ち着く場所でもある。これを超える宇宙空間は多分ないだろう。

☆この映画はNASA賛美である。

NASAは火星探査を計画しているからね。いろんな意味を込めたパブリシティー映画でもある。

☆フロンティアスピリットとハッピーエンドの映画である。

米国の映画づくりの定石でもある。これらをプラグマティズムが縁取っていく。

☆やっぱり地球が最高!

青い海、緑の樹木の美しさ。それに宇宙服なしで過ごせる気楽さ。地球こそ宇宙の中の天国だ。
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