おはようヘミングウェイ

インターネット時代の暗夜行路。一灯の前に道はない。足音の後に道ができる。

秋日和でない天と地 4

2016-10-20 | Weblog
空を見上げる。曇り空がある。電柱が立っている。電線が上下左右に走っている。大きな空を細い電線が仕切り、切り分けている。空と電線という具体が同居して新たに抽象の世界を創っている。自然と文明の対照という実に簡潔な構図。図柄は単純でないが。



電線と空の組み合わせに味をしめて、他の電柱を探す。変圧器付きがあった。どっしりとしていいねえ。3000ボルトか。数字の大きさにビリビリッとくるねえ。触れれば体がビリビリに裂けちゃうね。図柄のごちゃごちゃ感が妙にいい。文明には無くてはならない醜悪さだが。



天を見上げた後は、地を見まわしてみよう。蜜柑畑に白いシートが敷かれている。太陽の光を反射させて果実を熟し色合いを出す仕掛けだね。売りものにする蜜柑の糖度を増すために、多くの蜜柑が間引きされる。摘み取られて、その場に打ち捨てられる。



一将功なりて万骨枯る。累々と転がっている蜜柑の実、実、実。市場に出ることなく、土くれとなって、この世から消え去っていく。



沿道の空き地に置かれていた耕運機の後ろ姿。土埃で汚れ労働の大変さがしのばれる。今は休息状態にある。がたいの頑丈さは農耕牛を思わせる。この逞しい姿には、トヨタであれベンツであれ、どんな自動車も叶わない。高速道路を走ることもなく、コンビニに出向くこともなく、農地で動めき、農地で役目を果たし終える。
コメント    この記事についてブログを書く
« 秋日和でない天と地 3 | トップ | 秋日和でない天と地 5 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事