おおさか佳巨 街頭演説のブログ

減価する地域通貨ですべての改革

西洋の価値観に支配されたアジアの国家観

2005年08月22日 12時35分13秒 | Weblog
平和党http://www.heiwatou.jp

 人類は国家(Nation)という統治方式をとっている。今日まで、政治は特定の集団や階級の利益、あるいは様々な立場の主義主張を擁護するため、闘争を繰り返し、国家は育成されてきた。世界史は、武力が支配していようと、宗教が支配していようと、経済力が支配していようと、常に、特定の利益に向けて政治支配がされてきたし、今日においても同様である。

 国家の最終目標は、「毎日めしが食えて、家族と団欒でき、戦争や犯罪その他災害危機に脅かされることなく安全に暮らすことができる」ことに尽きる。これは古代においても、現代においても、洋の東西も、文明の進展度合いをも問わず共通の、人類永遠普遍の政治課題であるということに異論はなかろう。すなわちこれこそが国家の目的である。

 この目標を達成することができたのならば、人類の苦悩はない。その手段は君主独裁であっても民主制であっても構わないはずだ。古代国家は君主国家が多くあり、その強大な権限が専制国家を導いた。

近世封建社会の時代まで民は苦しめられてきた。それゆえ、西洋ではプラトンやアリストテレスが、東洋では孔孟老荘などの諸子百家が君主のあるべき姿を説いた。古代ギリシアでは民主主義的政治方法がとられたが、没落し、古代ローマ帝国では武力が支配した。絶対君主、封建制は様々な国々で存在していた。その圧政は、市民を反発させ、一揆などがあいつぎ、やがてはヨーロッパを手始めに市民革命が起きた。

 君主制を議会制にすることのできた要因の一つに産業革命が上げられる。それまで手作業であったものが機械を導入することで、効率が図られ、経済的に豊かになり、人間は労働によって拘束されてきたが、ある程度解放された。さらにヨーロッパ列強諸国の場合、アジアやアフリカなどに植民地支配の手を広げ、過酷な労働も被支配国の人々に押し付けることで楽になった。

こうして資本主義経済という力を身につけた市場の民「市民」は、国家に束縛されていた民「国民」から脱却し、封建主義的君主国家にまさったのである。当初は武力によって政治権力を獲得した絶対君主たちは、その後権威化されて知識人的富裕階級となり、経済力の備わった「市民」によって、打ち倒され、議会制民主主義が誕生する。

議会制民主主義が誕生しても、戦争は起きた。それは土地、食糧、資源の奪い合いである。それはヨーロッパ内での戦争だけにとどまらない。ヨーロッパ人は、植民地とされたアジア・アフリカ人、インディアンなどの有色人種を、文明の遅れた低レベル民族との認識しか持たなかった。彼らヨーロッパ人は、次々と略奪、支配、虐殺、改宗など様々な強制的行為をした。

さらには北米大陸に移住し、独立国家として、アメリカ合衆国が発展する。世界を支配するアングロ=サクソン文明の中心は、二〇世紀に入ってからはイギリスからアメリカへと移行していく。

ヨーロッパ各国内では資本主義が進み、工業化・都市化がなされた結果、資本家と労働者という二つの階級が対立するにいたった。こうして欧米列強各国の資本主義は発展していくが、貧富の差が高まり、搾取される側であった労働者階級は立ち上がり、社会主義運動が各国で起こった。

ソ連、東欧、中国と社会主義国家が次々と樹立され、彼らは東側に陣営を張る。資本家の立場に立つか労働者の立場に立つかという二者択一が世界の中での選択肢となった。アメリカや西ヨーロッパの西側陣営に身をおく資本主義諸国は、市場だけではなく、政府で社会保障をするという福祉国家制度が生まれた。ここに、近代国家という概念がほぼ完成される。このとき、アジアやアフリカには近代国家の概念は薄く、自然の中に溶け込んだ生活をしていたゆえに、欧米列強に支配されることとなった。

二度の世界大戦のあと、アメリカを中心とした西、ソ連を中心とした東がお互いににらみ合い、東西冷戦が生まれた。二〇世紀末に入り、社会主義国家はその不自然性から次々と崩壊し、自由化され、かつての植民地だった国々は、次々と独立し、植民地を支配してきた国家が引いた国境を受け入れざるを得なくなり、そして資本主義をとりいれ、経済発展を進めるようになった。経済の動きが国境を越えるようになり、国家とは別に市場という枠組みが生まれた時代でもある。

ここまでの歴史の流れは、主に西洋の論理で動いている。東アジアは日本だけが、いちはやく欧米化したため、我が国だけが先進国に名をつらねたのを除き、後から台湾、韓国が台頭し、これからは中国が経済成長していくと見られている。西洋諸国や日本に植民地として苦い経験を持つ東南アジア・南アジアも歴史の脇役であったが、今後は中国などと同様に経済発展が期待されている。

アジアの時代とは言われるが、それは西洋論理の経済優先主義がアジアにおいて発展するという意味で使われている。西洋天下の時代から東洋時代に変わりつつある今、アジアの中で日本は唯一、西洋諸国と同様の位置、西洋文明国の一員として考えた場合、アジアの中では日本だけが欧米とともに没落していく運命にある。

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