平方録

身辺をつれずれに

尽く尽く…だと? けしからん!

2018-08-06 06:18:18 | 随筆
門前に着いた時は開門まで4、5分あった。

横須賀線の下り電車が通り過ぎた後すぐに上り電車がやって来て踏切が閉まり、それが開くのを待ってから踏切を渡ったのだが、門前に行列は皆無である。
誰も並んでいないのだ。
……?

普段の日曜日だと午前8時の開門前あたりから電車が着くたびに横田南嶺管長の説教を聞き、坐禅をする人々がぞろぞろ降りてきて長い列を作るはずなのに…
最初は開始時刻までまだ1時間ほどあるのでボクが来るのが早すぎたのだと思った。
で、1番乗りで境内に入り、会場の大方丈の玄関に立ってみると寺の人は誰もいない。
「休みのはずはないんだが…」

玄関を上がって方丈内に入ってみると、内部はがらんとしていて何の準備も整っていない。
本来なら500人くらい集まる人たちのための椅子の準備やら座り切れない人たちのために廊下の板敷部分に座布団が並べられるのだが、それらがないのだ。準備をする雲水たちの姿がないのもおかしい。
その情景を見るに及んでようやく今日は休みなのだと悟ったのだが、それにしてもおかしい。
ホームページには休会などと一言も書かれていなかった。

仕方なく静寂そのものの境内を散策し、観光客がまだ到着する前の目覚めたばかりの鎌倉の中心部を自転車で抜けて海岸まで出た。
普段は大渋滞の道路もさすがに朝の内は空いているので車を気にすることもなくのんびり走れる。
ちょうどよいエクササイズだと思い、帰り道はわが家への道でも一番長く、しかも急坂がある道をわざわざ選んで帰ったのだ。
びっしょりの汗をシャワーで流している時も、ベランダの木陰にイスを出してクールダウンしている時もまだ気づかないままだった。

それが「アッ! 」と天啓のように思い至ったのは夕方、ヒグラシの声を聞きながら涼んでいた時のことである。
「今日は第1日曜日じゃん」
休みだったはずである。8月だけ奇数日曜の坐禅会は夏休みになり、偶数日曜日の説教坐禅会だけが開かれる。
暑さでヤキが回ったか、古希だ、めでたいなどとおだてられてのぼせたか、それらも全部合わさって知らず知らずに忍び寄っているボケのせいに違いない。

人は誰でも間違いや勘違いはあるだろう。でもその間違いや勘違いになかなか気づかなかったというのが忌々しい。
オイオイッ! ってな気分である。ヤレヤレも加えておきたい。

昼下がり、ツクツクボウシの鳴き声を聞いた。
こいつの鳴き声はけしからんのだ。「(夏は)尽く尽く」と鳴きやがる。
夏は終わりだ終わりだ――とは小っちゃいくせに小賢しいセミであることよ。

すっかり暮れた庭からは虫の鳴く声まで聞こえてきた…
何だよ急に。
暑さはこれからだろう。まだまだ終わんないよ、夏は!




大方丈の内部はガラ~ンとしていた


境内の奥へ向かう


最奥部の黄梅院の門から朝陽がもれる


2度の元寇と対峙した北条時宗を祀る仏日庵


ピンクのムクゲが1輪
コメント (2)