平方録

身辺をつれずれに

普段とは違う姿

2018-08-03 05:15:28 | 随筆
水族館で「相模湾大水槽」という映画のスクリーンのような大きくて全面ガラス張りの水槽の前に立って相模湾の魚たちが群れを成して泳ぎまわる様子をじっと見ていたら、いきなり後ろから人がぶつかってきた。

振り返ってみると中学3年生か高校1年生くらいの女の子である。顔はあどけないが体はもう立派にデカイ。
男友達など数人でやって来てふざけ合っていてボクにぶつかったらしい。
振り返って見た瞬間にその子と目と目が合ったが、特段恐縮するわけでも謝るわけでもない。、

普通はぶつかった瞬間に「スイマセン」とか、少なくとも目と目が合えば反射的に何事か声に出さなくとも頭くらいは下げるだろう。
それが全くないまま、ぼんやりボクの顔を眺め返すばかりである。
それで瞬間的にキレた。
バカヤローそれがぶつかってきた人間の取る態度か! そう思ったのである。

一瞬、知恵遅れとか何か通常とは違う状態の子なのかと思ったのだが、それはそれで関係なしに、注意すべきはきちんと注意しなくてはと思ったのだ。
「コラ! 人にぶつかったらどうするんだ。ただ黙って突っ立ってるのか? 謝るんじゃないのか? 」と少し強い口調で言うと、その瞬間言葉は通じたと見えて頭は下げたが「すみません」とか「ゴメンナサイ」という言葉は返ってこなかった。無言である。
一緒に来ていた男友達たちも一瞬凍り付いたようだったが、「なにやってんだよ」とか言いながらその場を離れ、件の女の子も後を追って去った。

今の子は他人に対して何事か尋常ならざることをしてしまった時に、それに関して責任を取るというか、きちんと面と向かって謝罪したりすることも出来ないんだろうか。
いくら何でもそれじゃぁ世の中に出たら通用しないだろうし、そんなことでは生きていくうえで困る事ばかりになるはずである。
ボクのすぐ脇には姫がいた。
一瞬、怒ろうかやめておこうかと逡巡しかけたのは、姫の目の前だったからだが、姫の目の前だからこそ怒ろうとも思ったのだ。

案の定姫はびっくりした顔で他人を怒るボクの顔ををチラッと覗き込んだようだが、黙って一部始終を見ていた。
ぶつかってきた子たちが去った後、姫には「人に迷惑をかけるようなことがあったら恥ずかしいかもしれないけど、きちんと謝るんだぞ」というと何も言わずにこくんと頷いた。
穏やかで優しいジイジでいたかったのだが、致し方あるまい。怖い側面も持っているジイジなのだよ。

夕食の後、寝るまでの間人生ゲームをした時のことだ。
姫の理解力についていけないバアバが何のことか分からないままゲームを進めるに切れて声を荒げたのだ。
妻が声を荒げるのは極めて珍しいことで、これには姫もボクもビックリして顔を見合わせるほどだったが、「もっと親切に説明しろ」とか「何が何だか分からないじゃない」とか、とにかく怒っている。

後で妻に聞いたら、あれじゃぁ友達と遊んだ時に友達から嫌われちゃうでしょ、だからあえて苦言を呈したのだと。
子供同士の方が理解力は早いだろうし、高そうでもあるので必ずしも同意できない部分もあるが、ともかくバアバは珍しく怒ったのだ。
姫は翌日ボクに「あんなバアバ初めて見た」とチョッピリ驚いていた。

どちらも、いつもは優しいジイジとバアバが見せた「いつもと違う顔」であり、姫がどう受け止めたのか、本心は分からない。
しかし、どう受け取られようが、そういう側面も又現実に持っているということであって、何事かを感じてもらえればそれでいいのだ。
夏休みは学校とは違ったものが学べる季節でもあるのだ。

夏が過ぎようとしている…




毎年夏休みに泊まりにやって来ると、帰る前の晩は花火をする






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