食材の冷凍保存、間違ってませんか?
知っておきたい3つの基本ルール…
これさえ守れば「貯金」が増える!?
買ってきたらすぐ冷凍に
物価高の折、スーパーのバーゲンセールで生鮮食料品などを
まとめ買いし、食べ切れなかった分を冷凍庫に保存しておく。
そうやって家計の節約を図っている人も多いのでは。
冷凍保存する前に、ちょっとした手間を加えることで、
食材のおいしさを保ったまま長期間保存できるようになるといいます。
「冷凍生活アドバイザー」として活動し、
『冷凍王子の冷凍大全』(サンマーク出版)などの著書がある
西川剛史さんに、冷凍保存の基本や、食材ごとに適した
冷凍のノウハウを教えてもらいました。
「食材の冷凍保存には『基本ルール』があります。
解凍後においしく食べるために、ぜひ基本ルールを守ってほしい」。
西川さんはそう話します。 基本ルールは三つ。
一つめは、食材を買ってきたら、なるべく早く冷凍すること。
「野菜や肉、魚などの生鮮食料品は、新鮮であればあるほど、
おいしくて栄養価が高い。しかし、冷蔵庫に入れておいても、
1日もたてば鮮度がかなり落ちて、おいしさも失われていきます。
だから、鮮度の良いうちに冷凍することが最も大切です」
二つめは、空気をしっかり遮断すること。西川さんによると、
冷凍した食材にとって大敵なのは「乾燥と酸化」。
とりわけ冷凍庫の中はとても乾燥しており、
乾燥による食材の劣化を防ぐためには、
食材をラップでぴったりと包んだうえで冷凍用保存袋に入れ、
袋の中の空気をしっかり抜いて、なるべく
「真空パック」のような状態に近づけることが重要です。
三つめは、食材をできるだけ早く凍らせること。
冷凍に時間がかかると、食材に含まれている水分が
大きな氷結晶になって細胞を壊し、
食感が悪くなるうえ栄養分が流出してしまうといいます。
「食材をカットするなどして、なるべく薄く平らな状態にし、
冷凍庫に入れておくと、上下から均一に冷えて
短時間で効率的に冷凍できます」
緑色野菜は軽く下ゆでして冷凍
(上)アスパラガスの冷凍保存例
(左下)スナップエンドウの冷凍保存例
(右下)たけのこの冷凍保存例
スーパーなどの食品売り場には、春が旬の食べ物が並んでいます。
西川さんに春野菜などをおいしく冷凍するノウハウを教えてもらいました。
【 アスパラガス 】 ブランチング(軽く下ゆですること)
してから冷凍します。アスパラに限らず、
緑色野菜はブランチングしてから冷凍保存した方が、
おいしさが長持ちしやすくなります。
アスパラの下の硬い部分(はかま)を取り、
塩を少々加えた熱湯で硬めにゆでてください。
ザルに上げて粗熱を取り、ペーパータオルでしっかり水気を拭いたら、
3等分の長さに切り、冷凍用保存袋に入れて冷凍します。
料理に使う時は、凍ったまま、調理の仕上げの時に加えてください。
【 スナップエンドウ 】 へたと筋を取り、塩を加えた熱湯で
硬めにゆでた後、氷水か流水で粗熱を取ります。
ペーパータオルでしっかり水気を拭き取ったら、
数本ずつラップで包んで冷凍用保存袋に入れ、
空気を抜いて冷凍します。鮮度が落ちやすい野菜なので、
買ってきたら早めに冷凍しましょう。
【 たけのこ 】 ゆでてから冷凍しますが、
その際には薄くスライスするか、小さくカットしてください。
カットサイズが大きいと食感が悪くなります。おすすめは、
冷凍用保存袋にだし汁を入れて冷凍すること。
たけのこは水分が抜けると筋っぽくなってしまうので、
水分と一緒に冷凍した方がいいです。凍ったまま、
だし汁ごと加熱すれば、煮物や炊き込みご飯などに使えます。
【 新たまねぎ 】 冷凍すると、繊維が壊れて甘みや
うまみが出やすくなります。切り方は、みじん切りでも
くし切りでも何でもOK。冷凍用保存袋から
しっかり空気を抜いて冷凍してください。
調理の際、凍ったままいためると、
短時間であめ色に変わるので時短になります。
【 新じゃがいも 】 皮つきのまま丸ごと蒸して
冷凍保存するのがおすすめ。蒸した後に粗熱を取り、
一個一個ラップに包んで冷凍用保存袋に入れてください。
蒸さずにそのまま冷凍すると、解凍した時に水分が出てしまい、
食感が悪くなります。冷凍したじゃがいもを使う時は、
ラップをしたまま電子レンジで加熱すれば、
ホクホクの状態で食べられます。
【 キャベツ 】 ひと口大にカットして冷凍用保存袋に入れ、
空気を抜いて保存します。使う時は凍ったまま、
炒め物にしたり、スープやシチューなどに入れたりしてください。
細切りにして冷凍し、電子レンジで軽く加熱して粗熱を取り、
水気をしぼれば、サラダやコールスローに使えます。
【 カツオ、サワラなど 】 魚は切り身にせず、
丸ごとグレージング(氷漬け)にすると、
乾燥や酸化を防ぐことができ、鮮度が保てます。
魚を保存容器や冷凍用保存袋に入れ、
全体が浸るように真水を加えて冷凍してください。
切り身を冷凍するなら、
塩をふって身をしめてから冷凍してください。
塩をふってしばらくおくと水分が出てくるので、
ペーパータオルで拭き取り、その後、ラップで包んで
冷凍用保存袋に入れて冷凍します。
【 アサリ 】 やはりグレージングがおすすめです。
保存容器に入れ、全体が浸る量の真水を加えたら、
ふたをして冷凍します。アサリやシジミは冷凍すると、
だしが出やすくなります。調理する時は、
氷漬けのまま鍋に入れ、ふたをして強火で加熱してください。
卵の黄身が濃厚に
栄養価が高く、様々な料理に使えて便利な卵。
近頃、価格が高騰していますが、
「卵も冷凍することで長期保存が可能になるうえ、
食感の変化を楽しめます」と西川さんは説明します。
卵は冷凍すると、黄身に含まれる水分が白身に抜けるため、
黄身が固まって濃厚になるといいます。「解凍した後も、
黄身の硬さは維持されています。その黄身を、
しょうゆとみりんに10分ほど漬け込んでください。
ご飯の上にのせて食べると、とてもおいしいですよ。
もっとも、黄身が固まった卵だと、
溶いて卵焼きを作ることは難しいです」
卵と同じく、食卓に欠かせない健康食品の一つ・豆腐についても、
西川さんは「あえて冷凍することで、いつもとは
ちょっと違った味わいを楽しんでみてほしい」と話します。
冷凍すると、木綿豆腐は高野豆腐のような弾力のある食感に、
絹ごし豆腐は湯葉を重ねたような上品な食感に変化するといいます。
「弾力のあるしっかりとした食感の冷凍木綿豆腐は、
お肉の代わりにから揚げにしたり、
そぼろにしたりして楽しむことができます」。
冷凍する際は、水切りした豆腐を8~12等分に切り、
崩れないように冷凍用保存袋の中に並べて空気を抜きます。
そのうえで、丸1日以上かけてしっかりと冷凍。
使う時には、袋ごと流水で解凍します。
西川さんは、食材の冷凍保存について、
「冷凍貯金」という言葉を使ってそのメリットを説明します。
「冷凍貯金によって、たまるものが三つあります。
一つめは『時間がたまる』。食材をまとめ買いして
冷凍保存しておけば、毎日の買い物時間を省くことができます。
また、下ごしらえの済んだ食材や調理済みのおかずなどを
冷凍保存しておき、忙しい日に利用すれば、調理時間を短縮できます。
つまり、冷凍保存によって生活の時間にゆとりが生まれるというわけです」
「二つめは『栄養がたまる』。
冷凍によって食材の栄養価を長持ちさせることができます。
食事を作る際に、不足している栄養素があれば、
冷凍保存している食材の中からその栄養素を含むものを
献立に追加することで、栄養バランスの良い食事を取ることができます。
三つめは『お金がたまる』です。
スーパーのお買い得日などにまとめ買いし、
冷凍保存すれば、食費を節約できます。
冷凍保存できない食材はほぼないので、
家庭でのフードロスをほぼゼロにすることも可能なのです。
生活の中で、ぜひこの『冷凍貯金』という言葉を意識してほしいです」
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