『三つ目がとおる』《オリジナル版》大全集、完結

 三ヶ月も、このブログの更新をお休みしてしまった。
 基本的に、このブログは一ヶ月に一度の更新を目安にしているのだが、最近は体調を崩したり忙しかったりと色々と重なったために、10月・11月は更新できなかったのだ。
 そんなわけで、三ヶ月ぶりの更新ではあるが、ネタは10月に用意していたものなので、若干旧聞に属する感はあるかもしれない。その点は、ご了承ください。

 さて、10月に『三つ目がとおる』《オリジナル版》大全集の第8巻が刊行されて、これで全8巻が揃うこととなった。
 刊行が開始されたのが昨年8月なので、足かけ1年と2ヶ月に及んだわけだが、無事に全巻が揃って非常に喜ばしい。

 この《オリジナル版》大全集は、なんと言っても『週刊少年マガジン』掲載時の状態で作品が読めるというのが最大の売りであったわけだが、連載の前半はやたらと雑誌→単行本で修正が多かったのに対して、後半になるとそうでもなくなり、雑誌と単行本の差異はせいぜい扉絵と広告の有無くらいになっていった。
 『三つ目がとおる』は7本の長編エピソードが存在するが、連載順にそれらを並べて雑誌→単行本の改変度を私の主観で示すと、


・「三つ目族の謎編」◎
・「グリーブの秘密編」○
・「怪植物ボルボック編」△
・「イースター島航海編」○
・「古代王子ゴダル編」△
・「地下の都編」△
・「怪鳥モア編」△


と、なる。◎が一番改変の度合いが激しく、次に○、そして△が一番改変が少ないという具合だ。
 一番最初の長編「三つ目族の謎編」は、週刊連載の最初期にも当たるためか、実にダイナミックな改変が行われており、続く「グリーブの秘密編」もそれに準じるので、「手塚治虫の編集癖」目当てで読むには、この《オリジナル版》大全集の1~3巻が一番面白いだろう。
 逆に言えば、4巻以降はそれほど改変が激しくないので、単に作品を楽しみたいだけなら既発の単行本でも十分だ。「イースター島航海編」はけっこう変わっているが、これに関しても《オリジナル版》大全集以前にKCDXで単発で雑誌掲載版が出ているので、そちらを読むという選択肢もある。
 ただ、この《オリジナル版》大全集は原稿+雑誌復刻の「コラージュ方式」を採用しているので、雑誌サイズできれいな絵で見られるというのは利点なのかもしれない。

 『三つ目がとおる』は長編だけでなく1話完結の短編エピソードも描かれているが、こちらに関しては雑誌→単行本での改変は、あまりない。目を引かれるのは「キャンプに蛇がやってきた」と、最終話「スマッシュでさよなら」くらいだろうか。
 特に「スマッシュでさよなら」は、最終話ならではの趣向がいくつかあるにもかかわらず、単行本ではそれらを外した形に改変されており、今回の《オリジナル版》大全集で、ようやく最終回らしい最終回として読むことができるようになったと言っていいだろう。
 なぜそんなことになっているのかと考えると、最初に「スマッシュでさよなら」が収録された手塚治虫漫画全集版の第13巻では、なぜか巻末ではなく全7話中の第5話という中途半端な位置に収録されており、そのため最終回らしさを消すことになったのだと思われる。
 しかし、そんな収録位置を決めたのも手塚先生であろうし、なぜそんなことをしたのかはもはや永遠の謎と言うほかない。

 と、言うわけで全8巻が揃った『三つ目がとおる』《オリジナル版》大全集。読み応えのある本であることは間違いない。今後も、面白い手塚作品雑誌連載版の復刻が続けばいいなあと思っているのだが、最近の復刊ドットコムは『奇子』『MW』『人間昆虫記』『I・L』と、大人向けの比較的単行本での修正が少ない作品ばかり出しており、これらにはあまり惹かれない。
 そんな中で、立東舎は『ダスト18』『アラバスター』と、手塚治虫の悩める時期の問題作を立て続けに雑誌連載版で刊行しており、非常に頼もしい。この流れだと『サンダーマスク』とか『ブルンガ一世』あたりも出るんだろうか。
 個人的には『マグマ大使』のサイクロップス編も含めた雑誌連載完全版をぜひ出してほしいが、代筆が多いと言うことで難しいんだろう。もし実現したら、どの出版社でも間違いなく買うのだが。
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