テレビアニメの提供・EDフリップに思う事

 「エスパー魔美」DVDに関する記事を書いていて、あらためてテレビアニメのソフト化に関して、色々と考えてしまった。テレビアニメをどこまでDVDに収録するかとなると「本放送・再放送・DVDなどの視聴形態に関係なく、各話が成り立っている状態」として、OP・本編・ED・予告までは最低限必要だろう。この事は、魔美DVDの記事にも書いた。

 逆に、再放送やDVDでは無くても問題ないとして、切り捨てられてしまいがちなものとして、提供のスポンサー告知やEDフリップがある。1990年代前半くらいまでは、提供にはブルーバックが多かったし、EDフリップも本編画像の使い回しがメインだったので、別にソフト化でカットされていても気にはならなかった。
 問題は、21世紀に入ってから放映されている新作・準新作アニメだ。最近のテレビアニメは、本編に留まらず、提供やEDフリップにまでこだわりを持って作られている作品も、多く見受けられる。


 たとえば「おねがいマイメロディ」の提供バックは描き下ろしイラスト(毎回新作ではなく、基本的に何種類かの使い回し)で、気合いの入った見応えのある絵が多い。さらに、第23話や第37話のように本編内容に合わせてイラストを描き下ろしている場合もあり、そのような回は提供部分まで含めて一つの番組と言えるだろう。
 マイメロの提供絵は、DVDではカットされており勿体なく思っていたが、第10巻~第13巻にようやく映像特典として収録された。本放送とは異なる形式(OPテーマに合わせて次々とイラストが映し出される)だが、提供絵が捨てられることなくソフト化されただけでも喜ばしい。

 提供の細かいネタは、まだまだある。最近の深夜アニメでは、特にトライネットエンタテインメント作品が凝っており、「こいこい7」などは、全13話で毎回違うキャラクターが提供読みをしていた。私は「こいこい7」のDVDは持っていないが、提供クレジットは映像特典の形でDVDにも収録されているようだ。
 トライネット以外でも、「スクールランブル」シリーズの提供画面左右の煽り文句や、「ローゼンメイデン トロイメント」や「いぬかみっ!」など本編の映像をいじった小ネタ、「涼宮ハルヒの憂鬱」における平野綾の「ねこマン」イラスト、毎回のネタに合わせて提供の音楽を変えていた「げんしけん」など、挙げていくときりがない。 もちろん、私が観ていないアニメもたくさんあるので、ここに書いたのはごく一部の例なのだが、果たしてこれらの提供ネタのうち、どれだけがDVDに収録されているのだろう。


 EDフリップ関係では、「月詠 MOON PHASE」「ぱにぽにだっしゅ!」のエンドカード(毎回描き下ろし、EDにもクレジットあり)などが、よく知られていると思う。個人的には「マーメイドメロディー ぴちぴちピッチ」の「またみてね」が印象深いが、これは結局DVDには収録されなかった。「ピュア」BOXの映像特典に期待していたので、残念だ。ピッチと同じ枠で現在放送中の「ワンワンセレプー それゆけ!徹之進」も、EDフリップではキャラの声による「またみてね」の挨拶があるが、毎回違うキャラが担当してセリフにもネタが入っており、なかなか楽しい。
 ただ、スポンサー無しのアニメ以外では、提供画面は必ず付いているが、EDフリップはTBS・テレビ朝日およびU局深夜アニメの大部分では初めから存在せず、少々寂しい。また、テレビ東京系列で全国ネット放送の場合、EDフリップが次番組告知等に差し替えられてしまい、観られなくなる場合も多い。
 テレ東絡みでEDフリップがカットされた話題では「カレイドスター 新たなる翼」最終回の件が、記憶に新しい。本作のEDフリップは、普段は本編画像の使い回しだったのだが、最終回のみキャラクターデザイン・渡辺はじめ氏描き下ろしの、そらとレイラの絵が使われ、さらに画面下部に「1年間 すごい ありがとう」とメッセージが入れられており、最終回の締めくくりとしては最高だった。しかし、テレビ東京では次番組告知に差し替えてしまったため、関東の視聴者が本放送でこのEDフリップを目にする事はなかったのだ。なお、テレビ愛知は一日遅れの放送だったので、問題なくこのEDフリップは放映された。後から関東では流れなかったと知って、この件に限っては同時ネットでなくてよかったと思ったものだ。


 今回の記事は軽く書くつもりだったのだが、気が付くと、結構長くなってしまっている。
 以前にも書いた事だが、私はテレビアニメに関しては本放送の状態にこだわる、いわば「本放送マニア」なのだが、そうなったのは、提供やEDフリップがソフト化に際して切り捨てられて、再び観る事が出来ず、何度も寂しい思いをしたからだ。
 だから、特に気に入った作品は、DVDを買ったとしても本放送の録画は残している。DVDを買うほどの作品であればソフト化以前に本放送の録画を何度も観ているので、例えばOPテーマの終わった後には提供の音楽が続くものだと体に馴染んでしまっており、DVDではそれを再体験できないので、寂しいのだ。


 昔に比べて、制作者のこだわりが現れる部分が増えてきたにも関わらず、DVDの収録形態は必ずしも対応してはいないので、色々とネタを仕込んでも本放送限りか、よくてもAT-Xでの放送くらいでしか観られなくなってしまう場合が多い。最近の深夜アニメなどは、地元の局で放送しておらずCSで観ている人も多いと思うが、キッズステーションやANIMAXでは、EDフリップはともかく提供は絶望的だろう。
 だから、観るかどうかはともかく、テレビアニメは出来るだけ自分の住む地域で放映して欲しいし、それがダメならせめてCSはAT-Xに来て欲しいと思っている。せっかく、色々なところにネタが入っていても、観られなくては損をした気分になってしまう。あくまでスポンサー付きの放送用として用意された提供部分がDVDに収録しにくいのはわかるが、せめてマイメロのように映像特典としてでも収録して欲しいし、できれば「提供あり」「提供無し」の2種類の再生方法を用意して欲しいくらいだが、さすがにこれは需要はないだろうな。

 なお、提供等の小ネタまで楽しもうと言う気持ちになるのは、あくまで自分が気に入った作品であり、本編がつまらなかった場合は、提供にネタがあっても「こんな所に無駄に力を入れず、まずは本編を何とかしてくれ」と思ってしまうので、少なくとも私にとっては逆効果だ。
 何はともあれ、これからも本編・オマケともに面白い作品が観られる事を期待している。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
« 鈴置洋孝氏、死去 大阪で藤子フ... »
 
コメント
 
 
 
本編のみのほうがいい。 (ぱーまん)
2006-08-26 07:57:58
私は本編しか見ない、その他は早送りという見方をしているので商品には満足しているが高すぎOP,EDもなして安くしてくれというのが本音と言う方が多数だと思う。
 
 
 
もったいない (おおはた)
2006-08-28 21:57:57
>私は本編しか見ない、その他は早送りという見方をしているので商品には満足しているが高すぎ



 そうですか。個人の価値観はそれぞれですが、正直なところ「もったいないなあ」と思ってしまいました。

 ちなみに、アバンタイトルやエピローグがOP前やED後に付く場合は、どうされているのでしょう? これらは、直接OPやEDにつながっている場合も結構ありますが。



>OP,EDもなして安くしてくれというのが本音と言う方が多数だと思う。



 もし需要があれば、とっくにそのようなソフトは出ているのでは。「ドラえもんコレクション」のような傑作選でさえ、一応最初と最後にOPとEDは付いているくらいですから、本編のみのソフトを求めている人はあまりいないのではないでしょうか。

 どちらにしても、DVDならボタン一つでとばせるので、入っていても邪魔にはならないと思いますが。
 
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。