東の方に出かける用事があってバス停でバスを待っていました。
ベンチに白っぽい帽子をかぶった老人と私と同じくらいの女性が3人ほど
何か話しています。
老人は海に行きたいのだそうです。
どのバスに乗ってどこで降りたら海に一番近いか、女性達に聞いています。
「OOで降りるといいね」 「△△が海に近いよ」と意見が分かれました。
「食べるところはあるかね」と老人。
「海と反対側に歩いていくとお寿司屋さんがあるよ」とだれか。
「この時間店は開いているかしらね」
女性たちは グループでもなく 知り合いでもなく 行先は別々のようです。
そんな会話を 私は脇できいていました。
私は自分が乗るバスはまだ来ないので駅の2階のコミュニティプラザにいって
事情を話しました。
そこはバス券も売っているし インターネットもできるし、本も置いてあるし
観光パンフレットも置いてあるところです。
係りの人は地図とバス時刻をもって
「私もバス停まで一緒に行きます」といってくれました。
老人はまだいました。
「91歳だって。一人暮らしだって。耳が遠いから耳のそばでしゃべらないときこえないよ」
と女性たちは教えてくれました。
耳は聞こえないだけで他はしっかりしています。
老人は言います。
「病院に近いから ある所から こちらに移ってきた。どこにいたかは言えない。
マンションの壁だけ見ているのはイヤになったから、今日は海を見に行くことにしたんだ~」
「海のザブ~~ン ザブ~ンをききたいんだね」と誰かがあいづち。
「世界二十何カ国、旅行したんだって」と誰か。
「学者かしら」
老人が話すのを聞きていると物書きらしい。
バスが来て同じ方向だった皆はバスに乗ったけれど私は一番早く下りました。
「今日は海がみたいのです」
と何度も言っていたあの老人は無事 海を見ることができたかしら?
美味しいものを食べることができたかしら?
水分補給のペットボトルはもっていたのかしら?
91歳という高齢ということで 気になりました。
気温の割に蒸し暑くなく、さわやかで気持ちの良い日でした。
老人のように私も海を見に行きたくなりました。(2010・6・24の記録)
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