超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

世界一のカツ丼

2012-03-18 08:13:08 | 食べ物
「お店の料理だけを話題にする」ということは今まで無かったと思うのだが・・・県北東部にスティーブが偶然見つけたという店に行くことになった。狙いはただ一つ、「世界一のカツ丼」に挑戦するためである。周辺地域はなぜかトンカツ屋がやたら多いところで、何軒か「美味しい」という店に入ったことはあった。「馬鹿旨」というトマトラーメンをはじめとするゲテモノで有名なラーメン屋もこの道沿いにある。その店は今まで何度も前を行ったり来たり通り過ぎたのに名前くらいしか知らなかった。メニューにそのような「ゲテモノ王」があるとは看板などでは宣伝していなかったのである。「お箸で切ることができるトンカツ」という看板を見て試しに入ってみたスティーブ達が発見したという。。。
単品のカツ丼でさえ普通の大盛り以上のボリュームを誇り840円、値段だけで言えば世界一のカツ丼は8400円だから10人前に相当する。しかし推定使用米量1升以上、味噌汁4リットルにほぼ同量のキャベツだから間違いなく値段以上の量はあるだろう。

「関連会社にも兵隊出してもらいますから、挑戦しましょうよー。とにかくすごいですよ!」スティーブはやる気満々だった。その週は久々に「夜の部」が全くなく、私はスポーツクラブの「スロー・ヨーガ」と3月になって課題曲が「きゃりーぱみゅぱみゅ」になったJ・POPダンスに明け暮れる「デトックスウィーク」と位置づけていたのだが、どうにも好奇心に勝てなかった・・・
近くの現場で「謎の現象」が起きているので見て欲しいというリクエストと午後からの拠点マネジメント会議のスケジュールを調整し、昼飯に乗り込むことになったのである。
10人で取り掛かれば一人当たりの分担は1合ちょっと、まあ体調を整えておけば何とかなるな・・・たぶんあまり味は期待できないが話のタネとしては楽しみにしていた。前夜、私は季節的なイベントで待機仕事があったのだが、さっさと時間になったら出かけて「シェイプ・ボクシング」で汗を流す予定だった。ところが同じ待機組だったスティーブに捕まったのが間違いの元だった。
ちゃっかり近所のデパ地下で餃子やコロッケなどを買い込み、「ちょっと軽く行きませんか?」と悪魔の囁きだ・・・職場での待機だから隅っこで相撲を見ながらちびちび始めたのだった。
最初から何となく予想はできていたのだが、気が付いたら一緒にいたグッチーも帰り、隊長も帰宅してスティーブと二人で浴びるほど日本酒を飲んでいた。「明日、世界一だから軽めにしようねー」と言っていたのに・・・

翌日、スティーブはけろっとしていたが(サシでなんか飲むんじゃなかった・・・)、私は絶不調で出社するだけでやっとの思いだった。
現場調査のため朝10時くらいが出発予定だったが「すいやせーん。無理かもしれらいっす・・・オレいないと完食できねえかなー」頭を抱えていた。スティーブは一瞬寂しそうな顔をしたが「大丈夫ですよ。12人集めましたから」作業着に着替えてヘルメットを小脇に抱え部屋を出て行った。
私は覚悟を決め「待てぃ!オレも行く!」(こんなチャンスを逃したら次はいつになるかわからぬ)慌てて着替え階段を駆け降りた。
県北部は太陽が出ているのに小雪が舞っている氷点下の気温で、冷風に当たって二日酔を覚ますにはちょうどよい。現場調査を終えて作業場を撤収したのがちょうど正午くらい、昨年から関連会社側に転職した「きのこ王」テラピーが予約を確認し、11名で件の店に向かうことになった。
車で走ること約15分、到着して店内に入ると予約席として既に巨大なお椀がテーブルに並んでいた。人数分ある大きめのお椀はたぶん取り分けて食べるための器だろう。皆で巨大椀を囲んで箸をつつくわけにはいかないからな。中央にとりわけ大きな椀が置いてあった。

  

「これか・・・さすがにすげえな。」とは言ったものの、内心(11名で食えば大したことなさそうだ)と思って蓋を開けてみると、なんとぎっしり詰まったキャベセンの塊り!「これ全部キャベツか!」なるへそ、真打はまだってことだな。
席に着いてから出てきたのが、4リットル以上はあろうかという超巨大味噌汁・・・一人一人の器もでかいから、全部に配り終えてもラーメンスープくらいの量はありそうだ。

    

前日にわざわざやってきて、ノーマルカツ丼を食べ敵前視察してきたというテラピーは「カツが足りないかもしれないから2,3枚追加しとく?」(何を言ってやらがるんだ?このオヤジは?)
「若いモン」とスティーブは言っていたのに、見た目私より若いのは10人のうち二人しかいない。それも体格と年齢から3人前を期待されていたたかぴょんは前日の深酒が祟って私同様「戦力外宣言」。。。回復の遅延度から言って実物見ただけで調子悪くなっちゃうかもなー。

やがてカツ丼「世界一」が恭しくおばさんによって運ばれてきた。そして店じゅうのお客さんが珍しがってカメラを持ち出し、写真を撮りに寄って来たのである。むろん我々もカメラ片手に色々な角度で「世界最大」と言われるカツ丼を撮りまくっていた。最初に超巨大椀を持たせてもらったから、みんなが私の姿を写真に収めることになってしまった。。。「しまった!」と思ったときはもう遅かった。めいめい席について取り分けが始まったときに「米粒ひとつ残すなよ!社名が背中に入っちゃってるんだからな。『アイツら残して行きやがった』と言われるとちょっと調子悪いぜ」
まじまじと巨大椀の中を見つめると「んっ?」と思った。テラピーの言う通りご飯は一升以上もあろうか、対照的に巨大カツが乗っているが4枚だけ。。。分厚い肉だからボリュームはあるが、巨大丼をカツで埋め尽くしているわけではなくところどころに隙間があり、カツは一人当たりにすると2切れくらいになってしまうのである。

    

私に回ってきた丼は「ちょっとご飯が多いかなー」というくらいの盛りだったのだが、隊長は「どう見てもオレの器にご飯多すぎだろ?!」とぶーぶー言い出したし、しもやんに至ってはカツが無くなってしまったために卵とじカツの煮汁丼という世にも寂しいスタイルになってしまった。。。
我々は慌てて特大カツ煮をもう2枚追加することになる。どうも取り分け係りが二人いて、他社のこばさんの盛りは普通なのだが、たかぴょんの盛る丼は無茶苦茶にご飯が多くなっているらしい。
「アイツ、自分が調子悪くて食えねえからって、人にご飯ばかりよそいやがって・・・」隊長はまだぶつぶつ怒っていた。肝心の味そのものだが、中々のものだ。肉はジューシーで確かに「箸て切れる」ほど柔らかく上品だ。

早々と「戦力外宣言」した私だが、いざとなると意外に食べられて器が空っぽに近くなってきた。(丁度一人前分くらいの量だろうか)そーっと巨大丼をのぞくとあと三分の一くらい残っている。。。まずいな・・・誰よりも先に御代わりなんかしてしまったら「あの人は戦力だ!」ということで「これでもか」と盛られてしまう恐れがある。意外にも悩ましかったのが取り分け用大型丼の蓋にノルマとして山のように盛られたキャベセンで、生野菜を普段あまり食べない私にとってはこちらの方が拷問に近かった。ドレッシングも食堂にある安っぽいフレンチの1種類しかないし・・・
カツ丼側の丼を少し残しておいて、よく見るとかなり切り方も荒っぽく、人参やピーマンも微妙に混じっているデトックス料理のようなキャベセンに取り掛かった。
本体よりも苦戦を強いられていると、一番若い者が御代わりをし始め、カツ煮汁丼を食っていたしもやんにも新しいカツとおまけにご飯も優先的に盛り、どうやら終着駅が見えてきた。しもやんは意外にも大盛り野郎だったのだが、概してそこにいたメンバは年齢の割りには大喰らいが多かったから皆が御代わりしだして、もう少しで完食というところに漕ぎ着けた。私も「じゃあ、オレも少しだけ御代わりね。目一杯盛っちゃやだよ」

      

こうして見事に跡形も無く平らげることになるのである。11人で臨むと一人当たりにすれば大盛りカツ丼一杯分くらいか?以前八兵衛が撃沈した巨大カツ丼に比べれば大したことないな。(つまり何人で完食するかが大事だ)
翌日、昼食を共にしている同僚に「昨日、『世界一のカツ丼』食べたんだよ。すげえヤツでさー」と話してみたら「あー、それI勢崎のD松食堂でしょ?有名なんですよ」「えっ?・・・・・他にもあるの・・・?」
味自体も結構よいものだが、食については内心ゲテモノ王国と思っているこのエリアには他にもその名の通りのものがたくさんある。D松食堂では普通の丼だが人の頭と同じくらいの高密度ご飯が盛られている特盛りカツ丼があるというし、同じ市内にチェーン店を出したというラーメンK生のスタミナラーメンはスティーブも玉砕した。マンション近くの環状線沿いには八兵衛が撃沈したという巨大野菜ラーメン・・・駅前に洗面器サイズのソース焼きそばを出す店があると聞く。いずれ全て制覇することになろうが、自分がデトックスとはどんどん離れて行ってしまうようで心配だ。


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2 コメント

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Unknown (KICKPOP)
2012-03-19 12:30:55
これが噂の「世界一のカツ丼」だったんですねーーー!日記を読ませていただくまでは、「世界一美味しいカツ丼」だと勝手に思い込んでいたんですが、「世界一大きなカツ丼」だったとは(いかにも北関東の人の発想っぽいです・笑)。

磯辺さん、デトックス回復食中だった(過去形となりました)私は、今日、近所のブレックファーストのお店で「オートミール」をオーダーしたんです。そうしたら・・・世界一のカツ丼の多分3分の1くらいの量のオートミールが運ばれてきました(一気に食欲減退しました)。アメリカ人だったら「世界一のカツ丼」、2、3人でぺろりと平らげてしまうかもしれません・笑!
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Unknown (磯辺太郎)
2012-03-19 12:49:20
KICKPOP様

カツ丼のメニューが「世界一」なんですよ。正しくは「世界最大」ですねー。ホントに世界一美味しかったら、一旦デトックスお休みしてもOKなんですが・・・でもかなり美味しい方でした。

ちなみに「デトックス回復食」というのが本当にあるのですか?それほどまでに過酷な修行を全うされたとは敬服です。
しかし何と!朝ごはんにあのカツ丼(推定10000カロリー以上)の1/3ですと?!アメリカ人恐るべし!
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