夕方、ハヤコと散歩に出かける。今日は「休山」、シゴトから帰りながら散歩の方向は決まっていた。
「休山」への入り口には「危険」がある。登山道への一本道なのだが、ある程度の住宅を過ぎて百メートルあるかないかあたりに、ひょこり座っている黒犬がいる。この黒犬は、飼い犬。
ノーリードどころか、ノー首輪。
・・・、自戒を込めて・・・、まるでハヤコだ。
自宅から歩く時はその登山道入り口まで。今日は、登山道の少し先に行きたかったので、黒犬ラインをぶっとばすため、ハヤコを車に乗せてインチキをした。
これは、愚かな私の、他人が現れないだろうという根拠のない自信が前提で、また、ハヤコは私から離れないという驕りからくるものなので、万一の時には、なんの意味も持たず、自分の愚かさに打ちのめされることのなので、自分でやっといてなのだが、止したほうがいい。
そのハヤコと、また登山道から少し逸れた里道に入る。
それまでに、犬の吠え声が聞こえていた。人間の私には遠く数方向から、ほとんど人里から聞こえていた。
ハヤコが里道を少し離れて谷側に身を乗り出した。私は、鳥でもいたのかと放っておいた。
ハヤコは谷下に視線を向け、何かを見ている。時折耳元を動かす、微妙に首を傾けて。
山犬が吠えた。近かった。
私の危険察知能力が点灯した。
「ハヤコっ!カム!!」
ハヤコ、耳を私の言葉にとられるも、谷下を見ている。
「ハヤコっ!カム!!!」
まだ、身をこちらに向けない。
「ハヤコっっ!カムっっ!!!」
ハヤコ、身をこちらに反転させ戻ってくる。
「ハヤコっ、帰るよっ、危ないっ、危険っっ!!」
ハヤコ、私を目指して戻り、「かあさんっ、うん、かえろうっっ(あせっ)」と私に伝えて、来た道を走って帰る。
私、ハヤコの速度に追いつくはずがない、「はちゃん待ってよっ(汗っ)」。
真面目に、山犬が縄張りを犯すことを嫌い、追いかけてきていないことを願い、私なりに走って逃げた。
登山道へ出る、私は一安心。ハヤコは、少し息を切らしている。
「はちゃん、危なかったねぇーーー」
ハヤコ、「うんっ、あぶなかったよっ」息を切る。
心は、伝染するのだろう。
か:はちゃん、今日さ、じいちゃんとばあちゃんが買い物に行こうって誘ってくれたんだって?
は:・・、うん。・・・じいちゃん、いっしょにいこうっていってた。
か:ばあちゃんは?
は:・・・、じいちゃんとかいものいくからいっしょにいこうっていってた。
か:はちゃんどうしたの?
は:アタシ?いかなかったの。おうちでおるすばんしたの。
おひるからさ、かあさん「おしごとだ」っていっておしごといったじゃないっ!
あたし、おうちでおるすばんしたの。
か:ばあちゃんに聞いたよ、はちゃん、首輪してもらってリードつけたんだって?
は:うん。じいちゃんがいってたよ。「ひも付けたら付いてくるよ。」って。
でもね、アタシ、行きたくなかったの。
か:そうね、お留守番したんだね。えらかったね。
ハヤちゃんさ、じいちゃんとばあちゃんにひも引っ張られたの?
・・・・・ま、少々じゃ力づくでハヤちゃんを動かせないだろうけどね・・・・・・・・。
は:?? うん。
アタシ、かあさんもとうさんもいないから、じいちゃんとばあちゃんにはついていかないよ。
アタシ、かあさんもとうさんもいないから、おるすばんのほうがいいの。
かあさん、ひどいんだよ。
かあさんとゆうがたさんぽにいったの。きょうはね、あめコンコンだったけどね、さんぽにいくときはあめじゃなかったのっ。
アタシきょうはね、どろんこで「まっくろ」だったんだ。
さんぽからかえったらね、かあさんいつも「あっち、あっち」っていってね、アタシのあしをあらうの。
きょうはね、「まっくろ」だったからね、おそとのすいどうでかあさんアタシのあしあらったの。
でもね、かあさんはそれじゃゆるしてくれないよ。おうちのなかでもね、ちゃんといつものとおり「あっちだ」っていっておふろばにいくの。アタシ、ついていったよ。
かあさんはね、アタシのあしをね、せっけんつけてあらうの。アタシ、しってるの。
かあさんね、にほんめのあしにせっけんつけてたらさ、きゅうに「おなかもまっくろっ!!」っていってね、アタシのせなかにみずをかけるのっ!!!!!
きゅうにね、「シャンプーだハヤコ」って、アタシびっくりだよっ!!!!!
アタシ、シャンプーあんまりすきじゃないの。
シャンプーのひはね、かあさんちゃんと「きょうはシャンプーだ」とか「きょうはシャンピーね」っていうからさ、アタシちゃんとこころのじゅんびしてるのにさっ!!!!!
びっくりだよっ!!!!!
ひどいんだっ!!!!!
一介の勤め人に必ずある「歓送迎会」。先週か、このフレーズを打ち込んだ記憶がある。
今日も同じく「歓送迎会」。なぜか、何度もある。
私は、時に、非常に甘えたくなる時がある。「衝動」。
それを少し酔った脳ではっきり認識した今日、気が付いた。
ハヤコは、ずっと、私に甘えたいのだ。
ハヤコは、私がシゴトへ行くことを、離れる時間があることを知っている。
我慢をしている。
先週末久しぶりに3日間行動を一緒にした。ハヤコはいつものおでかけと同じく車で待つこともしばしばあった。それでもハヤコといられる時間は休日とシゴト日では格段に違いがある。
ハヤコは、休日が明けた朝、いつもの「お留守番」の言葉を聞くと、休日の3日間聞いていなかった溜息をやはり吐き出す。
そして、私が帰ってきた時には、緩んだ我慢を再度締め直しきれないハヤコがいた。
我慢が緩いから、嬉しさが溢れ出ているのだ。ただ、うれしいと。
時に、折れそうになるのだ。「甘えたい。」
ハヤコも、ずっと我慢しているから、時に折れそうになるのかもしれない。
だから、「甘えたい」のかも知れない。
隼人さんからのメール。
「僕たちこんなになりました。」
仕事中のメール受信。一応真面目にシゴトしていた顔は、あっけなく崩れほころぶ。
ああぁ、カワイイ。ああ、さわりたーーーーーいっ!!!いいなぁぁぁあああああっっ。
写真の左から3番目というのか2番目というのか、顔のセンターに白ラインが入っているコの正面顔が気になる・・・。それに一番左の足先だけのコ、隠れている。
男系の中の唯一お姫様はどのコかな?
私には真ん中にいる赤鼻の横に顔が大きい、他のコ一匹を踏んづけているコは、何回見ても一番ワルそうに感じるのは気のせいだろうか・・・。
僕ちゃんたちの行く手。聞けば、僕ちゃんたち9匹はうまくいけば、みんな貰い先が決まるよう。
よかった~よかった~。僕ちゃんたちの幸せを願う!!!
可愛さは、不変だ。
「闘犬種」
アングラ犬。
犬を戦わせる。
富をもたらすのか、名誉をもたらすのか、自己満足をもたらすのか、犬の本能を満たしてやるのか、人間の本能を満たしているのか。
「力」
ピットブルは持っている。
「制御」
ピットブルは持っている。