山の頂から

やさしい風

【放題】考

2009-12-29 07:35:15 | Weblog
 
 子供の頃、正月にはきまって洋服が新調された。
ワクワクしながら眠りにつく大晦日の夜。
しかし、子供心に若かった両親が苦しい家計をやり繰りするのを知っていた。
 質素ではあるが一通り揃ったおせち料理を家族で囲み、
お年玉を配ってから新年の抱負を述べる父。
甲斐甲斐しく雑煮の世話を焼く母。 日本の平均的な家庭の姿があった。
今でも、この時期になると懐かしく思い出す。

或る県の健康ランドでは10円で野菜の≪詰め放題≫を実施、
入湯料・料金2000円を払った客が大騒ぎして袋詰めする。
マグロの解体ショーを見せ、食べ放題で振る舞われる。
それが人気を呼び連日利用者で溢れているようだ。

また、或るところではタイム制限内で、子供に洋服を重ね着させ、
安価な値段で着せられただけ買えるサービスが人気とか。
子供は身動きどころか、息をも出来ない様子の揚句に泣き出し、
それを親や、連れ添った祖母までが笑い転げる姿がTVに映し出された。
どちらも視ていて胸が悪くなった。

 そこには、もののつくり手に対する感謝の念はない。
商売人の、客集めの為ならなりふり構わぬ≪やり放題≫。
まるでアリをおびき寄せるために砂糖を撒いているように感じた。
確かに不景気の現在、人々は少しでも安価な物資を求めて走る。
それはそれでいいのだが、信じがたい価格で≪放題≫というやりかたは、
商売の基本姿勢を崩しているようでならない。

 やり放題・言い放題・食べ放題・散らかし放題、≪放題≫という語には、
人間の浅ましさや秩序の無さ、非情さを感じさせる。
有り余る贅沢の中で消費生活を送る者。
片や生きることさえままならぬ立場に陥る者が溢れる現状。

 日本を動かすトップリーダーが、納税の義務を「うっかり」し、
「知らなかった」と言い訳し、「あいよ!」と億の金をポンと出す。
金の為、権力の為なら手段を選ばない「大物」と睨みをきかす存在。
いつから日本の世相は、こんな風になったのだろう・・・

 為政者の政党の≪やり放題≫の現日本。 日本の明日は? 日本の存在は?
ああ、今年は間もなく幕を閉じる。


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