カンムリワシ、ワシは名ばかり、言うばかり

20年前探せばカンムリワシがいて、10年前そこにはカラスがいて、いま両方ともいません。よって最近ではそれ以外の話題に。

北朝鮮の醜聞14 亡命

2016年04月18日 05時55分24秒 | アジア

もう論外だ、と見放した人が多いと思われる朝鮮民主主義人民共和国。「民主主義」とか「人民」などが存在しない国に限って、国名に「民主主義」とか「人民」がつく大きな矛盾にも気が付きますね。


「亡命」とは何か、広辞苑第六版はこう述べています。

亡命

①戸籍を脱して逃げうせること。

②政治上の原因で本国を脱出して他国に身を寄せること。

またWikipediaでは「亡命」をこう概括しています。

亡命(ぼうめい)とは、主に政治的な事情により政治家や軍人、スパイなどが他国に逃れることを意味する。また、亡命してきた志士・名士を亡命客と呼ぶ。

最近では、北朝鮮から他国へ「亡命」したという話をよく聞きます。広辞苑の定義では、きっと「脱北」も広義では「亡命」なんでしょう。 


 "最も階級が高い脱北"大佐が韓国に亡命 

北朝鮮の軍の高官が去年、韓国に亡命していたことがわかった。韓国の聯合ニュースは、北朝鮮の軍人としてはこれまでで最もランクの高い亡命事案だと伝えている。日本テレビ系(NNN) 2016年4月11日

  • 中国では、文化大革命・天安門事件などで大量に同胞の賢人たちを虐殺し
  • 韓国では憲法や初等教育での「客観性を封じた洗脳」により同胞の賢人たちによる異論を排除し
  • 北朝鮮からは無数の賢人が亡命・脱北し、そのまま中国に密入国したままか、または韓国へ亡命

よって、現在の中国・韓国・北朝鮮の指導者の立場には「賢人」が不在で、皆「カス」なんでしょうか、そう思わせる言動が伝わってきます(笑)。なぜ同胞の「賢人」たちが抹殺されてしまうのでしょう。

今回の北朝鮮軍人である大佐の亡命を伝える聯合ニュースでは、本人の氏名はもちろんのこと、韓国統一省が「大佐の亡命は事実だが、具体的なことは話せない」としているらしいですね。

韓国当局は通常

他の誰も信用しない「根拠のない信仰」でもって発言することが多いのですが、亡命者を利用したい意図があるためか、決して詳しく言おうとしていません。しばらくして「役に立たない」と判断するか「もう利用しきった」と判断すれば、たちまちにして、放り出すのですが、亡命者も亡命者、「高く売る」ことを考えて、虚虚実実のかけひきが見られます。

もしも堂々と公表すれば黄長(ファン・ジャンヨプ)のような末路を迎えてしまう、と危機感をもっているのでしょう。

互いに威嚇しあざむき合うのは、この地域の人の得意とするところです。

意地悪な見方をするなら

ふだん見られる韓国政府の公式声明は「心にもないことを表現」したものであって、そこには何ら真実が含まれておらず、むしろ今回のように「詳しくは言えない」という声明の方が分りやすく、より利用したがっていることを暗示していると言えます。


 「韓国が拉致」と非難=海外食堂従業員の集団亡命-北朝鮮

 【ソウル時事】北朝鮮の朝鮮赤十字会中央委員会報道官は12日、談話を出し、北朝鮮が中国で運営するレストランの従業員13人が韓国に亡命したことについて、「南朝鮮かいらい(韓国)の情報員による前代未聞の集団的な誘引拉致行為だ」と非難し、謝罪と送還、関与した者の引き渡しを求めた。朝鮮中央通信が伝えた。:時事通信 2016/04/12

中国にある北朝鮮レストランの従業員13人が、最近の中国の北朝鮮に対する「仕打ち」に我慢できず、韓国へ亡命したようです。

北朝鮮は「集団的な拉致」だとしており、あり得ないとは分っていながら、韓国政府の「謝罪、拉致者の送還」を求めたとのこと。

最近では北朝鮮から中国への脱北者を、中国が北朝鮮へ強制送還するようになっているようですが、それに「ならった」のでしょうか(笑)。秘密を漏らすような脱出者を絶対に許さない独裁政権らしさと言えます。

世界各国から

無数の人においしい話」を持ちかけて強制連行・拉致してきて、嫌がるのを決して帰さなかった北朝鮮としては、今回亡命した自国の店員も「おいしい話」にだまされて強制連行され、当人たちが帰りたがっているはず、と考えることにしています。

が、もちろんのこと、誰もそんな「うそに決まっている」北朝鮮の言い分を信じません。

    • もう母国には帰りたくないとする北朝鮮からの亡命者たち
    • 母国に平穏が訪れたら帰りたいとするシリアから排出されている「裕福な難民」たち

はたしてこの両者に、どんな違いがあるのでしょうか。

いままで

この北朝鮮のレストランを中国共産党幹部たちが利用してきたけれども、利用が禁じられ採算がとれなくなったからでしょうか。

それとも、腐敗撲滅の表明をしたからには、意外な幸運が訪れた、とばかり自然に出入りしないようになって、店の赤字が続き、本国から厳しく追究されたというのが実体なのかも知れません。

いずれにしても中国としては、「国連の制裁決議に従う」そぶりを見せなければなりません。

最後に、その他の「亡命者」を探してみましょうか。 


黄長(ファン・ジャンヨプ、1923-2010)北朝鮮→韓国 亡命

金日成~金正日時代に北朝鮮チュチェ思想(主体思想)を提唱した人物で、1997年韓国へ亡命。焦った金正日は金大中(韓国大統領在任:1998-2003)をだまし黄長を無力化するのに成功しましたが、黄長の利用価値がなくなると、一転して韓国敵視へ戻りました。 


李承晩(1875-1965 大統領在任 1948-1960)韓国→米 亡命

李承晩は、

誰が見てもひどすぎる独裁者でしたが、それでも冷戦時代を巧みに泳ぎ、韓国の初代大統領になりました。しかし反対デモと衝突が重なり、耐えきれずに米へ亡命

このころから、韓国大統領の「末路哀れ」な伝統が生まれました。

大統領の任期終了後、亡命・死刑判決・取り調べ・自殺などなど、お粗末な人ばかりでした。

日本では、「韓国の大統領が変われば反日がいくぶん緩和されるのでは」と期待することなどあり得ないと考える人が増えています(笑)。

いや事実と異なって

「期待させる」論調で国民を誤った方向に導く日本のマスメディアに、問題の根源があるのかも知れませんね。

北朝鮮の首脳も、シーア派のように血筋を大切にしており、日本の鎌倉幕府の将軍3代がいずれも暗殺と見られる怪しい死に方をしたのと同様に、いよいよ3代で終わりでしょうか。

私は、むしろその後の体制のほうに興味があります。鎌倉幕府の場合、将軍に代わって北条執権が実権を握ったようですが、果たして北朝鮮の場合、親中派によるクーデターが起るのかどうか。

それとも、朝鮮半島にはまともな人物が出にくい仕組みができあがっていて、分断したままのほうに利益を見出したアメリカと中国の望み通りに推移する、のでしょうか。 


ダライ・ラマ14世(1935-  在位1940年- ) チベット→インドへ亡命

チベットが中国共産党にだまされて武力併合され、身の危険を感じたダライ・ラマは、ヒマラヤを超えてインドへ亡命しました。 


ソルジェニーツィン(1918-2008) 1974年ソ連→西独→スイス→米国 亡命

ソ連崩壊後にロシアになると1994年に帰国 


こう見てくると、ご紹介した人に偏りがあるせいでしょうが、ソ連・中国・朝鮮半島に関連した人が多いですね。それだけ独裁国家・共産国家では弾圧が激しいのでしょうし、また弾圧を許す風土があるのでしょう。

私たちは、

  • こういうような体たらくとは言え、アジアに偏見をもってはいけませんが
  • いくらロシアや中国や朝鮮半島が歴史を恣意的に捏造しようとも

歴史を客観的に見つめ続ける必要がありそうです。