はちみつブンブンのブログ(伝統・東洋医学の部屋・鍼灸・漢方・養生・江戸時代の医学・貝原益軒・本居宣長・徒然草・兼好法師)

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消毒用エタノールの作り方 簡単・安全・衛生的(動画あり)改訂版

2020-04-15 09:07:31 | 消毒用エタノールの作り方
改訂版:法律面を心配される声に応え、安心できるように記事を追加しました


1.はじめに
2.法律に関すること
3.作り方
4.定量
5.おまけ



1.はじめに


消毒用エタノールが入荷しなくなりました。
新型コロナウイルスによる影響です。

毎日、臨床で使っている身にとっては困ったことです。

当院では電解水(次亜塩素酸水)の導入をはじめましたが、やはりアルコールは必須の消毒薬。


使い慣れているという点も大きいですが、錆びやすい金属や、水に弱い機械類にも使用できます。

揮発性が高いので、二度拭きなどの手間がありません。

常温で長期間保存が可能であり、地震などの災害時、ライフラインが止まった時の消毒薬として不可欠です。

なにより、どんな細菌やウイルスに、どんな濃度で効果があるかがはっきりしています。

グラム陰性菌や陽性菌、真菌、糸状菌、抗酸菌。
インフルエンザやヘルペス、SARSなどのエンベロープウイルスなどのデータもそろっています。

もちろん芽胞やノロウイルスのような一部のノンエンベロープウイルスに効かないものもありますが、アルコールは臨床の場で安心して使えます。


消毒用エタノールの在庫が減っていく中、ネットで調べてみると、消毒用は売り切れ。
薄めて使える無水エタノール500mlは1万円以上。

とても実用できる金額ではありません。



(2020.4.9)


先日、厚生労働省が、やむをえない場合にかぎり、酒造メーカーがつくるアルコール濃度が高い酒を消毒液の代わりとして使用することを特例として認めることを決め、全国の医療機関などに通知しました。(2020.4.13)

しかし、それらウォッカに代表されるアルコール濃度が高いお酒は結構高価なのに、これからさらに値段が高騰するとともに入手が困難になることが予想できます。


ということで、消毒用エタノールが完全になくなった時に備え、安い焼酎から消毒用エタノールが自作が出来るか実験してみました。

作るにあたって、三つの方針を立てました。


ひとつ。

簡単であること。

高価な実験器具や専門用具を使わず、ふつうの家庭のキッチンにあるもので作れること。
高度な技術を使わないこと。


ふたつ。

安全であること。

アルコールは引火性が高く危険です。炎は目視しにくいので、火災の危険を考慮しないといけません。
なので火を使わず、安全に作れるようにしないといけません。


みっつ。

衛生的であること。

適切なアルコール濃度をもち、かつ衛生的であり医療現場で実用できるもの。



これなら必要に応じて、消毒用エタノール不足に悩む他の医療機関や、一般のご家庭でも手軽に作れるのではないかと思います。



作る前に、目標のアルコール濃度を設定しますが、厚労省の通知では、

「エタノール濃度が原則 70~83vol%の範囲内であること」

とあります。ちなみに、消毒用エタノールの濃度は、


日本薬局方では 76.9~81.4 v/v%
米国薬局方であるUSP-Nでは 68.5~71.5 v/v%
WHOのガイドラインでは 60~80 v/v%

と定められています。


今回は作るエタノールの目標濃度は75%以上としました。

MERSウイルスやSARSウイルスの「Reduction of viral infectivity」は、78~80%のエタノール、30秒で、 4から5以上とデータがあるので、新型コロナウイルスは、75%であっても3以下にはならないだろうと推察しました。

Virucidal Activity of World Health Organization–Recommended Formulations Against Enveloped Viruses, Including Zika, Ebola, and Emerging Coronaviruses

インフルエンザウイルスやヘルペスウイルスなどは45%以上で効果が確認されているし、もっと低くても良い可能性もありますが、念のため。

Persistence of coronaviruses on inanimate surfaces and their inactivation with biocidal agents )
(神明 朱美:「殺菌・抗ウイルス効果に及ぼすエタノール濃度の影響」


この濃度であれば、作成方法がとても簡単になります。




2.法律に関すること


技術的には簡単なのですが、法的に心配することがあります。
はたして個人で消毒用エタノールを作っていいのだろうかと不安に思うかもしれません。


ただ、そもそも新型コロナウイルスが広まりつつある現在は有事です。

わたしたちの生存権が脅かされている時であり、わたしたちは自衛のために行動することが求められています。

消毒用エタノールが感染症対策に絶対的に必要であり、それが入手できず、作る必要に迫られた時は、

いかなる法律もそれを妨げることはできません

これは憲法十三条、二十五条で保障された国民の権利です。



とはいえ、平時であれば問題になるところがあります。

それを解決しておけば、必要な時、安心して消毒用エタノールを自作して感染症対策を行うことができます。



ひとつは酒税法

飲用できる酒類は酒税法の対象になるので、個人で勝手に作るわけにはいきません。

ただし、イソプロパノールなどの消毒薬を添加すれば、飲用に適さないので、この問題はクリアできます。

イソプロパノールが標準ですが、これもすぐに入手困難になるでしょうから、他の外用消毒薬で代替することも考慮します。

ある法律の先生は、消毒用エタノールを作る際には、お酒を造る意思がない、主観的要件を欠いているので酒税法違反にならない可能性があるとおっしゃいました。

しかし、コロナウイルスの影響で大変な時に、国税庁の方と問答をしていたら精神的に参ってしまいますので、

個人的にひっそりと、人知れず作り、人知れず消毒をするのではない限り、

外用消毒薬は添加しておいた方が良いかもしれません。



もうひとつは薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)

医薬品の製造販売は、「厚生労働大臣の許可を受けた者でなければ、それぞれ、業として、医薬品、医薬部外品又は化粧品の製造販売をしてはならない」と定められています。

ただ「業として」なので、作ったものを販売するのはもちろんダメですが、個人的に作って個人的に使うのであれば許されます。

「業」とは「反復継続して不特定多数の人に供給する目的をもって製造販売を行うことをいう」ので、医療機関・事業所でもそれに反しないかぎり、おこなって良いようです。



消毒用エタノールは、買った方がはるかにコストがかからず、楽であり、品質が信頼できるので、自分で作らなければならないのは非常時だけ。

早く流通が回復すれば良いのですが。



またアルコール事業法

アルコールの製造が規制されています。

ただし、ここでのアルコールは「アルコール分が九十度以上」をいうので、75%の消毒用エタノールは対象外です。



それから消防法

アルコールは第四類の引火性液体です。取り扱いには十分に配慮する必要があり、危険物の規制に関する政令で、貯蔵等の基準が定められています。

アルコール類は400リットル以上が対象であり、

また400リットル未満でも指定数量の1/5以上(80リットル)の危険物を同一の場所において貯蔵し、又は取り扱うときは、少量危険物貯蔵所として法の規制を受け、消防署への届出が必要です。

しかし今回のように、消毒用エタノールを100ml作る、というのは届け出の必要はありません。



ここで消毒用エタノールを作る方法は、赤ワインからデミグラスソースを作ったり、フランベしたり、天ぷらを揚げるよりも、はるかに安全です。

ご安心ください。




3.作り方


・用意するもの

1、焼酎(アルコール度数25%の格安のもの・日本国内で行う場合はあらかじめイソプロパノールや他の外用消毒薬を数滴添加しておきます)
2、電気コンロと鍋(電気鍋などでも可。ただしその製品の説明書をご確認ください)
3、シリコンチューブ(ここでは内径2㎜、外径3㎜、長さ1mを2本)
4、100ml量れるビーカー(計量カップでも可)
5、500mlの蓋つき液体用ボトル(耐熱製で密封できるもの。ここでは使い終わった消毒用エタノールのボトルを使用しました)
6、料理用ラップ
7、ステンレストレー
8、穴あけ用ドリル(直径3㎜)・布巾・ひも・針金・重曹・陶器の皿(断熱性が高く水に沈むもの)
9、消毒用エタノール保存用の密封容器





・注意

チューブとボトルは耐熱性のものを選びましょう。
100℃まで耐えられるものなら十分です。
水槽のエアーポンプなどで使うPVC(ポリ塩化ビニル)のチューブは耐熱性に不安がありますので、シリコンチューブを用意しましょう。
PETボトルはダメです。
ガラスがベストですが、なければPE(ポリエチレン)かPP(ポリプロピレン)のものを使いましょう。


(動画による作り方は下↓)


1.ボトルの蓋にドリルでシリコンチューブと同じ大きさ3mmの穴をあけておきます。

 チューブを差し入れたとき、隙間ができないように注意します。


2.蓋・ビーカー・チューブを少量の重曹をくわえて煮沸消毒します。100℃で10分。よく洗浄して乾燥させます。


3.焼酎を正確に400ml量り、500mlのボトルに入れます。ボトルの蓋にシリコンチューブを差し込み、しっかりと閉めます。

 ビーカーで正確に量りましょう。
 チューブが液面に触れていないか確認してください。


4.電気コンロに鍋をのせ、陶器の皿を入れて、水をボトルが浸かるくらい入れます。

 水の量は沸騰してもあふれない程度いれましょう。加熱は約1時間行いますので、途中で水がなくならないようにしましょう。
 水があるので鍋の内部が100℃以上になることはありません。


5.水の蒸発を抑えるため、鍋の口をラップで包みます。


6.シリコンチューブの中間部分をステンレストレーにのせ、トレーに水を注ぎ布巾をかけます。

 ここで蒸留したエタノールの温度を水温まで下げます。簡易のラジエーターです。気温によって扇風機も用意しましょう。


7.シリコンチューブの出口をビーカーに入れ、ラップで軽く包みます。

 ほこりが入らないように、またアルコールの蒸発を抑えるためです。


8.電気コンロをつけて鍋の水を沸騰させます。沸騰したらとろ火にして加熱をつづけます。

 この装置であれば10分で約15ml程度の蒸留が可能です。約1時間で100mlできます。

 ただし室温やコンロの火力によって時間は変わります。
 室温が高く火力が強いと、蒸留は早くなりますが、トレーと水だけの冷却では追い付かなくなります。
 ビーカー内部が曇った時は温度が高いので、その時は扇風機などで簡易ラジエーターに風を送るとすぐに冷えます。
 真夏のときなど、それでも追い付かないときには、流水などで冷却しましょう。

 火力が強く、冷却が不十分だとアルコール濃度が低下する恐れがあります。
 気を付けましょう。

 80から90mlになると蒸留のスピードが落ちると思いますので、その時は火力を上げて調節しましょう。

 加熱中、目を離さないようにして、正確に100ml量ります。


9.ビーカーに液体が100ml溜まったら、ボトルに刺さっているチューブを抜き、加熱を止めます。

 さきに加熱をやめるとチューブ内のエタノールが逆流します。



消毒用エタノールの作り方・簡単・安全・衛生的・薬剤師監修:How to make ethanol for disinfection from liquor




3.完成





ビーカーに入っているエタノール濃度は75%以上あります。





密封できるボトルに入れて保存します。冷蔵庫に入れる必要はありませんが、直射日光のあたらない、なるべく涼しい場所での保管が望ましいです。

はじめての蒸留では、チューブの状態や洗浄の仕方によって、溶液が濁る場合がありますが、2回目以降は澄んだ綺麗なエタノール溶液を得ることができます。




4.定量


この装置で同じように作れば、75%以上のエタノール溶液が得られますが、条件が異なれば濃度が変わることが考えられます。

使用前に濃度を測定することをお勧めします。

屈折計や比重計があれば確実ですが、置いてある家庭は少ないと思いますので、ない場合は秤と温度計を使えば、だいたいの濃度が分かります。


①比重を測定する方法

エタノール水溶液は濃度によって比重が異なるので、完成した溶液100mlの重さを計ります。また温度に依存するので、温度も正確に測ります。

20℃におけるエタノール水溶液の密度

0% 0.9982
10% 0.9819
20% 0.9686
30% 0.9538
40% 0.9352
50% 0.9138
60% 0.8911
70% 0.8676
80% 0.8434

つまり、20℃の室温下で、100mlの重さが約85gより低ければ良いです。






②引火点を測定する方法(秤がない場合)

エタノール水溶液は濃度によって引火点が異なるので、溶液の温度を変え、火が付くかどうか調べることで、濃度を推察できます。

エタノール水溶液の引火点(近似値)

10% 49℃
20% 36℃
30% 29℃
40% 26℃
50% 24℃
60% 22℃
70% 21℃
80% 20℃

溶液を小鉢などに少量とり、温度計で溶液の温度を測定しながら、エアコンなどで室温を調節し、あるいは保冷材・保温材などで溶液の温度を調節し、ライターなどで火を近づけます。
火を近づければ溶液の温度が変化するので、この方法だと、だいたいの濃度しか分かりません。
ただし炎がでるとエタノールが含まれていることが確実になります。

火傷にご注意ください。






もし75%、あるいは厚労省の通知の70%に満たなかったら、蒸留の火加減を見直してみましょう。またはラジエーターの布巾がちゃんと気化熱で冷えているか確認してみましょう。

それでもだめなら、100mlより量を少なくするのも一つの手です。

なぜなら、蒸留するにしたがいアルコール濃度が低下するからです。

たとえば100~110mlの間では50から65%、110から120の間では40から55%、120から130の間では30から50%にまで落ちています。

蒸留を早めに終えると、濃度の高いものが得られます。


このように蒸留したエタノールは、不純物などの心配がある一部の「アルコール濃度が高い酒」よりも、安心して消毒に使うことができます。



5.おまけ


実は、ボトルに残っている焼酎にはまだ10%程度のアルコールが含まれています。

ですが、一度の蒸留で消毒用エタノールを得るためには、100mlでやめます。


残った焼酎の蒸留をくりかえし、さらにアルコールを取り出すこともできますが、この時はやりすぎて90%を超えないように気をつけましょう。


また、はじめに消毒薬を添加しなければ、残りは料理酒として使うことができます。


酒造メーカーの方が一生懸命作ってくれたお酒。

大切に使って、感染症対策ができるといいですね。



(追記:これは春先の涼しい気温のときの作り方です)

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