厚労省と筋トレ業者の魂胆 10月12日

ケアマネジャーとして私にはまったく納得のいかない来春導入予定の「介護予防サービス」。このほど、要介護度の改善度合いにより、サービス提供事業者に最大2倍の成功報酬を加算する方針が厚労省から発表された。「運動器官の機能向上」または「栄養改善」または「口腔機能の向上」のサービスを提供し、要介護度が改善した利用者が一定基準以上の割合で存在する事業者については、最大で通常の2倍の報酬を与えるというものだ。

このような形で通常以上の評価を得た事業者の提供するサービス、報酬単価が高くなるということで、評価が高いことを理由に、その事業者を選択し利用した場合、通常担うべき1割の自己負担額は、事業者が受けている「加算」の分だけ高くなるということなのだ。

厚労省は、介護予防サービスに成功報酬を設けることで、事業者のサービスの質も向上し、結果として介護給付費を抑えられるとし、具体的には1兆4千億円から1兆8千億円の抑制効果が期待できると試算しているが、本当に、国民の利益につながる意義ある提案なのだろうか。単なる「値上げ」による抑制ではないか。

限定されたサービスの種類を見る限り、明らかにトレーニングマシーンなどを導入し、骨折を招きかねない「筋トレ」に励む事業所が、報酬加算の対象となる。様々な種類のマシーンを導入し、高齢者に無理な運動を迫る姿が、今から十分に目に浮かぶ・・・。

実績をあげた事業所への上乗せ報酬を、利用者に負担させることも言語道断なら、正しい呼吸を伴う緩やかなストレッチで良い高齢者に(それが理想)、あえて骨折を覚悟で筋トレマシーンを導入する厚労省の暴挙は、前代未聞の「高齢者に対する拷問」としか言いようがない。

巨大与党と化した小泉政権は、厚労省と筋トレマシーン業者とが「介護予防サービス」に名を借り癒着する実態を、このまま放置するのだろうか。厚労省の言う「介護予防サービス」とは、高齢者の体を弄ぶものだ。PPKを目指す真の元気高齢者政策とは、まったく性質が異なるものだ。

今まさに進行しようとする厚労省案を、なんとか食い止める手立てはないものか。「介護予防サービス」が、厚労省の一課長と筋トレマシーン業者との利害関係(収賄)の上に成り立つものであることは、ある週刊誌の取材によって白日の下にさらされた。が、しかし、そこをビシッと追及する国会議員が現れないことが、本当にはがゆくて仕方がない。

迷走気味の民主党が汚名挽回するチャンスとして、介護予防サービスの真の実態を暴き、厚労省の「汚職」と「拷問」から高齢者を守りぬいたらすごい!今からでもまだ間に合う。活発な国会論戦を挑み、正しい「元気高齢者政策」実現のため、頑として官僚政治と闘って欲しい。
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