襤褸をまとった盲目の老婆が
むしろの前に座り、竹棒を持って粟を啄みにくる 雀を追い払っていました。
安寿やこいしや ほーやれほー
厨子王こいしや ほーやれほー
正道は 老婆をじっと見つめるとかけよりました。
「母上。」
そう叫ぶと 老婆の胸に飛び込みました。親子愛 姉弟愛の悲哀を描いた 小さいころ何度も読んだこの物語は印象深く残っている。
仕事から帰ると、倉庫の前で義母が
むしろの上に座って 木槌で干した豆をたたいている。
まるで 安寿と厨子王の最後の場面を思い出す様だ。
「お義母さん ただいま。」
「ああ、○ちゃん お帰り。」
背中の曲がった母を見ると 胸の奥が痛くなるようだ。
私が小さいな頃は 秋の終わりになると当たり前のようにあった こんな風景が
今では殆ど見られなくなり とても懐かしい気がする。
便利さを求めて 社会は凄まじい勢いで進化していき
もう これ以上はいいですよ・・・と思わず叫びたくなる。
いったい どこまで行こうとするのでしょうか
むしろの上に座った母を見ると これ以上の何があろうかと思う。