中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

睡眠不足が招く生産性低下

2018年05月25日 | 情報

小職の少ない経験と知見ですが、うつ病発症には「眠れない」がかなりの確率で関係しています。
「眠れない⇨睡眠不足⇨うつ状態⇨うつ病発症」という単純な図式が浮かびます。

睡眠不足が招く生産性低下 
日経社説 2018/5/12

日本人の睡眠不足が深刻になっている。仕事中の居眠りなどにとどまらず、うつ病や生活習慣病、
認知症のリスクが高まることもわかってきた。
労働生産性を押し下げる一因ともなるため、企業は働き方改革のなかで社員の睡眠確保を優先課題の一つとすべきだ。
経済協力開発機構(OECD)の調査では日本人の平均睡眠時間は7時間22分と、加盟国中で最短だ。
国立精神・神経医療研究センターの研究によると、これは必要な睡眠時間より1時間ほど短い
不足の影響は蓄積し、自律神経の働きやホルモンの分泌に異常をきたす。
気持ちを落ち着けストレスを低下させることが十分にできず、うつ病を発症しやすくなる。
血糖値を調整するインスリンや血圧の調整にも支障が生じ、糖尿病の悪化などにつながる。
アルツハイマー病と関係が深い、脳内にたまった不要なたんぱく質の排出機能が弱まる。
週末の寝だめでは改善しないこともわかってきた。
働き盛りの人では実際の睡眠時間は平均よりも短く、5~6時間の場合も多い。
必要な睡眠時間には個人差があるとはいえ、これではまったく足りないというのが専門家に共通した見方だ。
ところが残念なことに、仕事の生産性向上や働き方改革を考える際、十分な睡眠の確保という視点は忘れられがちだ。
早朝の出勤や勉強会などを奨励し、残業の短縮をめざす企業が増えるなかで、
夜の時間を自己研さんや自宅での仕事に使う人は少なくない。
働き方を柔軟に決められることは大切だが、睡眠時間がさらに減る懸念が出ている。
終業から始業までの間に一定時間を確保する「勤務間インターバル制度」は、
通勤時間を差し引いても間隔が短くなりすぎないよう設計すべきだ。
不規則な交代勤務が必要な職場でも、睡眠を犠牲にしない工夫が要る。
心身の病が増えれば生産性の低下だけでなく、医療費の膨張も招く。国の健康政策でも、睡眠問題をもっと重視すべきだ。

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23.24日は休載します

2018年05月22日 | 情報

本日より出張しますので、23.24日のブログは休載します。
再開は、25日(金)です、よろしくお願いします。

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過労死防止大綱見直し案

2018年05月22日 | 情報

終業・始業間の休息に数値目標 過労死防止大綱見直し案
2018年4月24日 朝日

厚生労働省は24日、過労死を防ぐための対策をまとめた「過労死防止大綱」の見直し案を公表した。
終業と始業の間に一定の休息を確保する「勤務間インターバル制度」の普及に向けた数値目標を新たに盛り込むなど、
長時間労働の改善を中心に働き手の健康確保策の強化を企業側に促す内容となっている。
大綱は過労死等防止対策推進法に基づき2015年に策定され、3年後をめどに見直すことになっている。
見直し案はこの日、労使の代表や学識者、過労死の遺族らでつくる厚労省の協議会に示された。
政府は新たな大綱を今夏にも閣議決定する方針だ。
勤務間インターバル制度は、厚労省の17年の調査で導入企業が1・4%にとどまり、遺族らが普及の必要性を訴えてきた。
政府が今国会に提出した働き方改革関連法案では導入を「努力義務」としている。
数値目標を政府が示すのは初めてで、どんな内容とするかは厚労省が今後詰める。
ほかに、仕事上の悩みの相談先がある労働者の割合を、現状の70%ほどから22年までに90%以上に
高めるとする数値目標も新設する。
一方、週60時間以上働く人を20年までに5%以下に減らすといった現在の大綱の目標はいずれも達成していないため、
これらは目標を据え置く。
厚労省によると、過労死と過労自殺(未遂を含む)で労災認定された人は15年度に189人、
16年度に191人で、大綱ができた後も横ばいとなっている。

過労死防止大綱の見直し案に盛り込まれた主な数値目標
【新設】
・勤務間インターバル制度の普及 内容は未定
・仕事の悩みの相談先がある労働者の割合 2016年71.2%→22年までに90%以上
・働き手のストレス状態を調べる「ストレスチェック」の結果を職場環境の改善に活用した事業所の割合
 16年37.1%→22年までに60%以上
【据え置き】
・週の労働時間が60時間以上の人の割合 16年7.7%→20年までに5%以下
・年次有給休暇の取得率 16年49.4%→20年までに70%以上
【期限の延長】
・メンタルヘルス対策に取り組む事業所の割合を17年までに80%以上 16年56.6%→22年までに達成

過労死大綱の改定案、健康確保へ数値目標拡充 厚労省 
2018/4/24  日経

厚生労働省は24日に示した「過労死等防止対策大綱」の改定案で、労働者が健康な状態で働き続けるために
必要な数値目標を拡充した。過労死遺族からは「心身両面で過労死を防ぐ施策を一層進めてほしい」との声が上がっている。
大綱は過労死や過労自殺を防ぐために国が取るべき対策をまとめている。
2015年に作られた現行版は▽週の労働時間が60時間以上の人の割合を20年までに5%以下に
▽年次有給休暇の取得率を20年までに70%以上とするなどの数値目標を掲げている。
改定案は▽仕事の悩みに関する相談先がある労働者の割合を22年までに90%以上とする
▽労働者のストレス状態を調べる「ストレスチェック」の結果を職場環境の改善に活用した事業所の割合を60%以上に
することを追加した。
17年までに80%以上としていたメンタルヘルス対策に取り組む事業所の割合は、
16年時点で56.6%と目標を下回っており、期間を22年までに延長する。
大綱の見直しを議論する協議会の委員で、「全国過労死を考える家族の会」(東京・千代田)の寺西笑子代表は
「過労死を防ぐには企業側へのペナルティーだけでなく、予防の観点が重要。
働き手の健康を確保する意識を雇用側が高めてほしい」と訴えている。

厚労省HPより転載
第11回過労死等防止対策推進協議会 配布資料(平成30年4月24日)http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000204334.html

 

 

 

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オープンセミナーの開催

2018年05月21日 | 情報

最近、オープンセミナーの講師を務めていませんでしたが、
この度、オープンセミナーの講師とファシリテーターをいたします。
ただし、東京の杉並区といった極めてローカルな地域でのセミナーです。
内容は、以下の通りです。杉並区HPより転載です。

開催日;平成30年5月22日(火曜日)

開催時間;午後1時30分 から 午後3時30分 まで

対象;一般  区内在住・在勤・在学の方

開催場所;杉並保健所 杉並区荻窪5丁目20番1号
杉並保健所

内容;第3回目は、健康づくり自主グループ「北風と太陽」(うつ病家族会)の会員によるパネルディスカッション
「家族が語る、悩み・お伝えしたいこと。」と、メンタルヘルス対策の現場経験が豊富な講師による
「医療・法律・行政・企業の現状」です。

申し込み;必要 電話で荻窪保健センター(電話:03-3391-0015)へお申し込みください。

講師橋本社会保険労務士事務所代表 橋本 幸雄定員80名(申込順)費用無料持ち物筆記用具

内容は、」杉並区役所のHPでも確認できます。

http://www.city.suginami.tokyo.jp/cgi-evt/event.cgi?year=2018&month=5&cate=3&target=0&area=0&takuji=0&shuwa=0&youyaku=0

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(参考)管理職の対応が企業の損失を決定づける

2018年05月20日 | 情報

進まぬ職場のメンタルヘルス対策、管理職の対応が企業の損失を決定づける
5/5(土) 日刊工業新聞

同じ労働環境でもストレス因子は異なる。医療介入も視野に

近年、メンタルヘルスの不調を原因に、休職や離職に至るケースが問題になっている。
ストレスの原因とされる毎日の残業や長時間労働の解消に向けた議論がされるが、職場環境の改善にはなかなかつながらない。
改善が進まない中、企業の管理者が従業員のメンタルヘルスの不調に直面したとき、
どう対応するのが適切なのかはあまり議論されない。企業は従業員のメンタルヘルスにどう向き合うべきなのだろうか。
東京大学社会科学研究所の石田浩教授らの調査で、労働時間や人間関係などの職場環境が、
メンタルヘルスにどの様に影響するのか、関係性が明らかになった。
2007年から17年まで、20-40歳代の男女を対象に11回行われた追跡調査では、長時間労働や残業の慢性化、
締め切りに追われることが男女ともにメンタルヘルスに負の影響を与えることが明らかになった。
一方、職場に助け合いの雰囲気がある場合はメンタルヘルスに良い影響を与えることも分かった。
データの分析を行った同大の藤原翔准教授は、メンタルヘルスへ正または負の影響を与える因子が同時に存在する場合、
互いの効果は「相殺される」としつつ、「助け合いの雰囲気がメンタルヘルスに良い影響を与えても、
長時間労働や残業が慢性化するのであればメンタルヘルスは悪化する」
と指摘する。
職場環境がメンタルヘルスに関係していることがデータとして示されるなか、
精神科専門医で認定産業医の渡辺洋一郎氏は「本人の生まれつきの体質や、
パーソナリティーの関連も見過ごしてはいけない
」と強調する。
同じ労働環境でも、メンタルヘルスに不調をきたす人もいれば平気な人もいる。
不調になった従業員にとって、人間関係や仕事量の負荷といった職場の環境因子が大きなストレスになっているのか、
または本人のもともとの体質やパーソナリティーが原因の多くを占めるのかで、解決の道筋は異なる。
これらの原因を早期に見極め、適切に対応することが重要だ。
従業員に対する安全配慮義務の観点から、管理職はメンタルヘルスに関する研修を受けることが義務付けられている。
こうした取り組みが進んでいるものの、「従業員のメンタルヘルス不調を認めたときにどう対応すべきか、
実行性のある内容ではない場合が多い」と渡辺医師は指摘する。
例えばミスをした部下が、当たり前の反応として落ち込んでいるのか、
不向きな仕事を強いられることによって「適応障害」を発症した状態なのか、
または鬱(うつ)状態であるか、一見して見極めることは難しい。
しかしここで問題なのは、管理者が原因を特定できないことではなく、
メンタルヘルスの不調が「医療的な介入が必要な問題という発想が抜けていることだ」と渡辺医師は話す。
管理者に「落ち込んでいる部下に対し、どう対応するか」と問いかけた場合、「飲みに誘う」、「励ます」、
「人事に相談し、環境を変える」といった答えは出てくるものの、「受診をすすめる」との答は少ないという。
管理者は従業員のメンタルヘルス不調の原因特定のため、
産業医の力を借りるなど医療的なアプローチを視野に入れる必要がある。

男性の方が長時間労働を受け入れやすい

労働環境の改善が進まない理由として、メンタルヘルスに影響を与える因子が仕事継続の意思にどう作用しているかが
関係しているという。
藤原准教授は「長時間労働や慢性的な残業をしていても、仕事継続の意志には影響がなく、
労働者は同じ仕事を継続したいと考える。この傾向は男性で特に顕著だ。
これが日本の長時間労働がなかなかなくならない理由の一つではないか」としている。
しかし長時間労働や慢性的な残業が従業員の仕事継続の意思に影響がなくても、メンタルヘルスを悪化させる。
たとえ休業や退職に追い込まれなくても、メンタルヘルスの不調によって4兆円を超える経済損失が出ているとの報告もある。
「長時間労働や毎日の残業が、長期的には企業にとって、
そして社会全体にとって損であることをもっと知る必要がある」(藤原准教授)。
逆にいえば、従業員のメンタルヘルスを良好に保つことが、企業にとって有益だということだ。
渡辺医師は「働く意欲や良好な人間関係、良好なメンタルヘルスは、すべて同じ線上にある。
いつもと様子が違う従業員には、医師に診てもらうようすすめることも含めて早期の対応が必要だ」と話す。
管理者は従業員のメンタルヘルスの不調を察知し、悪影響を与えているのが人間関係や労働時間といった環境要因なのか、
あるいは本人の体質やパーソナリティーなのか多角的に探る必要がある。
労働時間や仕事量に数値目標を設けて一律に管理するのではなく、
ストレス因子と従業員の特性を照らし合わせるという視点が、これからの管理者のマネジメント能力に必要となりそうだ。
日刊工業新聞科学技術部・安川結野

 

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