中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

MH対策は、自分たちで

2012年10月24日 | 情報
ご承知のように、企業におけるMHヘルス対策は多岐にわたるため、主治医、産業医、弁護士、心理カウンセラー、
保健師・看護師等たくさんの専門家が関与しますので、専門家の意見を聞くだけでも大変ですし、
その意見を集約すのも難問です。
ですから、さしたる余裕がないにもかかわらず、どうしてもEAPに頼りたくなります。
しかし、EAPは企業の要望をなんでも受け入れてくれますが、望みどおりに対応してくれのかどうかは疑問です。
しかもEAPの対策は、パッケージ提案ですし、個々の企業にマッチしたオーダーメイドではありませんので、
どうしても、不要な対策、ジャストフィットしない対策も混在しますから、コストパフォーマンスの点では疑問が残ります。

そこで、MH対策は、「自らの手で実施しよう」という提案です。
「人、資金、時間がない」と著作に書いてあるではないかとの疑問が提起されるのは、承知の上でお話させていただいています。

しかし、考えてください。何もわからないレベルから、自らの手で苦労して作り上げた「MH対策」は、
自社の体質・風土にマッチした素晴らしい内容となるはずです。
そのための支援ツールは、MH対策支援センターや中災防、あるいは厚労省のHPにたくさん掲載されています。
実際に、自分たちで参考となる資料を捜しだして、専門家のアドバイスを受けながら対策を立案して、
実行に移している企業はたくさんありますよ。

自分たちで苦労すれば、自然に方策の構築ノウハウが蓄積されますし、出来上がれば関与した従業員の自信と士気が
高まることは目に見えています。御社の本業にもきっと貢献することでしょう。
こうなれば、しめたものです。企業文化の熟成と健全化に寄与しますし、企業を支える人材の基盤強化にもつながります。
「禍を転じて福と為す」を地で行くようなものです。

どうしても、の場合は、橋本社会保険労務士事務所がお手伝いします。
お問い合わせは、 s-hashi@ya2.so-net.ne.jpまで
メールでのお問い合わせ・質問は無料です。



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メンタルヘルス推進担当者(続編)

2012年10月23日 | 情報
名前だけのメンタルヘルス推進担当者では困ります。
それでは、メンタルヘルス推進担当者を、誰がどのようにして育成するのか?

残念ながら、企業・事業場内には、メンタルヘルス推進担当者を教育できる人材は、いません。
ですから、メンタルヘルス推進担当者が自ら、以下のテキストを参照しながら、独習することがベストの選択でしょう。
ということで、はじめは衛生管理者等がメンタルヘルス推進担当者を兼任することが必要になります。

事業場内メンタルヘルス推進担当者テキスト
http://www.jaish.gr.jp/information/mental/mental_text_201002.pdf#search=
'%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%83%98%E3%83%AB%E3%82%B9%E6%8E%A8%E9%80%B2%E6%8B%85%E5%BD%93%E8%80%85'

その他に、中災防のHPに、「事業場内メンタルヘルス推進担当者養成研修」が掲載されています。
http://www.jisha.or.jp/seminar/health/h3500_mh_syn.html
以下、HPより転載です。

厚生労働省が策定した「労働者の心の健康の保持増進のための指針 」(平成18年3月公示)では、
職場のメンタルヘルス対策を進めるために、「事業場内メンタルヘルス推進担当者」を選任する努力義務が規定されています。

本研修は、厚生労働省が公表しているカリキュラムに準じており、心の健康づくり計画の策定から、
メンタルヘルス不調者への対応、職場復帰のための支援、職場環境等の改善など、
メンタルヘルス対策に必要な知識を包括的に学ぶことができます。

対象者 人事労務管理スタッフ、衛生管理者・保健師等の産業保健スタッフ 等
研修期間 2日間
定員 60名~100名(会場によって異なります。)
参加費 THP登録者 30,000円 一般 34,000円

なお、ここまで、衛生管理者に負担をかけるのですから、他の業務と兼任する衛生管理者・メンタルヘルス推進担当者には、
手当の支給を検討する必要もあるでしょう。

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メンタルヘルス推進担当者

2012年10月22日 | 情報
貴社、貴事業所に、メンタルヘルス推進担当者を配置していますか?
今のところ、努力義務ですから配置しなければならないわけではありませんが、
昨今の情勢を考えると、配置することをお勧めします。

平成17 年11 月には労働安全衛生法が改正され、長時間労働者等に対する医師による面接指導制度が導入され、
平成18 年3 月には、新たに「労働者の心の健康の保持増進のための指針」が法律に根拠をおく公示として示されるなど、
メンタルヘルス対策へ取り組むことが、法令の面からも求められるようになっています。
また、この指針においては、事業者は、産業医等の助言、指導等を得ながら事業場のメンタルヘルスケアの推進の実務を
担当する「事業場内メンタルヘルス推進担当者」を選任することとされています。

また、平成21年3月26日の厚労省通達(基発第0326002号)「当面のメンタルヘルス対策の具体的推進について 」では、
2項 事業場内体制の整備の(1) 事業場内メンタルヘルス推進担当者の選任で、
指針5(3)に基づき、衛生管理者、衛生推進者等から事業場のメンタルヘルスケアの推進の実務を担当する
「事業場内メンタルヘルス推進担当者」を選任するよう指導等を行うこと。
と示されています。

新指針では、5の(3)「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」に関して、事業者が講じる措置として5項目をあげています。
その一つが「事業場内メンタルへルス推進担当者」の選任です。
指針は、事業場内メンタルへルス推進担当者を、
「産業医等の助言、指導等を得ながら事業場のメンタルへルスケアの実務を担当する」者として位置づけ、
衛生管理者や常勤の保健師等から選任することを勧めています。
ただ、すべての事業場で選任されることが望ましいので、小規模事業場では人事労務管理スタッフを充てることも想定されています。

事業場内メンタルへルス推進担当者の役割としては、次の4つが主なものです。
・ 心の健康づくり計画の策定・労働者への周知・実行状況の把握の実務
・セルフケア、ラインによるケアを推進するための労働者教育、管理監督者教育の計画・立案・実施・評価の実務
・ 事業場内のメンタルへルスに関する相談窓口
・ 事業場外資源との連携の窓口

事業場内メンタルへルス推進担当者には、教育や相談そのものを直接担当することは求められていません。
事業場内で行われるメンタルへルス対策がスムーズに推進されるよう調整する機能を果たすことが期待されています。
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地域産保が役立つ

2012年10月19日 | 情報
東京の港地域産業保健センターのチラシを入手しました。
以下に内容を紹介します。

      「港地域産業保健センター」のご案内
      (三田労働基準監督署管轄区域事業場担当)

先ずは、お電話、メールにてお気軽にお問い合わせください。(秘密は厳守いたします)
連絡先:港地域産業保健センター
106-0045 港区麻布十番1-4-2 東京都港区医師会館内
電話 03(3582)6261(平日の9時~17時対応可)
Emailアドレス:yss35820@jade.dti.ne.jp(港地域産業保健センター宛)

「地域産業保健センター」では労働者数50人未満の小規模事業場の事業者や小規模事業場で
働く方を対象として保健指導・長時間労働者への医師の面接指導などの産業保健サービスを
無料で提供しています。(産業保健サービスを提供するために国が都道府県労働局を通じて
産業保健に精通した団体等に委託)

<産業保健サービス内容>
1.健康診断結果に基づく医師からの意見聴取(異常の所見があった労働者)
2.脳・心臓疾患のリスクが高い労働者に対する保健指導(「血中脂質検査」「血圧の検査」
 「血糖検査」「尿中の糖の検査」「心電図検査」の項目に異常の所見があった労働者)
3.メンタルヘルス不調の労働者に対する相談・指導
4.長時間労働者に対する面接指導
*1.4.(対象者から申し出があった場合)は労働安全衛生法により事業者に義務付けられています。

電話にてご連絡いただいたご担当者(関係者)様には、予めFAX番号を伺い、裏面の
用紙を送信させていただきます。ご返信いただいた後、「港地域産業保健センター」の産業
保健サービスをご利用いただくための登録申込書他、書類一式をメールに添付してご案内
いたします。先ずは、ご連絡いただき、ご利用いただくための資料をご請求ください。
また、メールでご連絡いただく場合には、裏面のアンケート項目についてお書き添えください。
メールでお送りする資料とは別に、ご担当者様へ「医療BOOK」「労働衛生ハンドブック」
他冊子等を郵送させていただきます。

「地域産業保健センター」ほか公共の相談機関については、拙著「中小企業の『うつ病』対策」にも
詳しく紹介しています。
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IT業界は

2012年10月18日 | 情報
メンタルヘルス問題を抱えている従業員数は、全従業員の0.4%(労務行政研究所 2008年調査)
というデータがあります。これを仮に従業員数1万人の大企業に当てはめてみると、
少なくとも常時40人のメンタルヘルス不調者が社内に存在する計算になります。
これだけのメンタルヘルス不調者がいたのでは、企業の活力が低下するのは目に見えています。

これを、業界別にみると、IT業界は、2.0%と他業界の比べて圧倒的に高くなっています。
1000人規模のIT企業であれば、常時20人のメンタルヘルス不調者が社内に存在する計算になります。
そんな中で、またまた、長時間労働が原因で自殺したのは、過労死であると、会社側敗訴の裁判報道がありました。
労災であると認められているのですから、会社側がこれを覆すのは難しいでしょう。
ですから、会社側にとって、訴訟費用や関係者の労力がまったく無駄になってしまいます。
特に、時間外労働の管理には、細心の注意が必要です。

自殺者の生前の残業時間が長時間労働
福岡の女性SE過労死、6800万円賠償命じる判決
 情報処理システム会社の福岡事業所に勤務していた福岡市のシステムエンジニアの女性(当時31歳)が
急死したのは過酷な労働が原因として、両親が同社合併後にできた「アドバンストラフィックシステムズ」(本社・東京)に対し、
慰謝料など計約8200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が11日、福岡地裁であった。
 府内覚裁判官は「死亡と会社の業務との間には因果関係がある」として、同社に計約6800万円の支払いを命じた。
 判決によると、女性はシステム移行などを担当。2007年2月の時間外労働が約127時間に上った。
3月に仕事上のミスなどが原因で自殺未遂をした。約1か月間休養を取った後に復職したが、
深夜残業など過酷な勤務が続き、5日後、東京出張中に致死性不整脈で死亡した。福岡中央労基署は09年に労災認定した。
(2012年10月12日 読売新聞)

SE過労死認め、会社に6800万円賠償命令 福岡地裁
システムエンジニア(SE)の女性(当時31)が不整脈で死亡したのは過労が原因だとして、
勤務先だったシステム開発会社「アドバンストラフィックシステムズ」(東京・新宿)に
両親が約8200万円の損害賠償を求めた訴訟で、福岡地裁(府内覚裁判官)は12日までに、
過重労働と死亡の因果関係を認め、約6800万円の支払いを命じた。
判決理由で府内裁判官は、女性がシステム開発を担当していた2007年2月の時間外労働は100時間を上回り、
納期のため日常的に精神的緊張があったと指摘。「脳・心臓疾患の発症をもたらす過重なものだった」と認めた。
同社は「判決文を見ていないのでコメントを控える」としている。(2012/10/12 日経)

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