中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

関連部門間の連携

2018年06月18日 | 情報

 メンタルヘルス対策における難問の一つに、関係者間、関連部門間の連携があげられます。
云い方を変えれば重要な課題の一つです。
一般論として、横の連携、分かりやすく言えば、部門間で意思を統一して、協調した作業ができるかが、
組織がその強みを発揮できるかの分かれ目なのです。この問題は、多くの組織人が課題として意識しています。
しかし、なかなかできないのが現実なのです。企業内でメンタルヘルス対策に関わる人、部門も同じなのです。
分かっていてもなかなかできない。困ったものです。

特に人事労務部門と健康保険組合等との調和は、メンタルヘルス対策における大きな課題です。
もちろん、出来ている企業の関係者の皆さんには、「なぜ、出来ないの?」という違和感程度のレベルなのですが、
出来ていない企業では、ほんとに深刻なようです。
その理由は、最もセンシティブな個人情報である、従業員の健康情報を共有できるかどうか、
それともできない、したくない、という争いにあるようです。
健康情報を、健康保険組合等から人事労務部門へ提供することは、原則として「第三者提供」に当たります。
ですから、人事労務部門が6つの行為類型に健康情報の提供を求める場合は、
第三者提供に該当しますので、健康保険組合等が、労働者(被保険者)の同意を得る必要があります。
ただし、事業者と共同で健康診断を実施する場合は、健康情報の共同利用者であるため、
一定の要件を満たせば第三者には該当しませんので、同意は不用です。
多くの企業の場合は、事業者と共同で健康診断を実施しているはずです。
(参考:「雇用管理に関する個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項」平27.11.30付け基発1130第2号)

因みに、反対から考えてみます。健康保険組合等は、健康情報については、
個人情報の中でも特に秘匿されなければならいない情報として、強く認識しています。
ですから、最近ではこのような誤解はなくなってきたように理解していますが、
それでも人事労務部門から健康情報を請求されても、個人情報の秘匿という観点から、提供を拒む場合があるようです。
そうすると、注意しなければならないことは、結果的に健康情報を提供しない場合には、
健康保険組合等が安全配慮義務のすべてにおいて、責任を負わなければならないことも考えられます。
個人情報保護に固執するあまり、安全配慮義務の観点を疎かにしてしまうことに、気が付いていないようにも思います。

結論としては、高度に秘匿しなければならない健康情報であっても、安全配慮義務の観点から、
条件付き、あるいは必要範囲を限定して、事業場内で情報共有する必要もあることを理解してください。

補足ですが、健康保険組合等の長を、産業医に委託する企業・事業場が多くあるように感じます。
医師、保健師、看護師、種々のカウンセラー等を並べてみると、どうしても医師を最上位とみてしまう傾向があるように思います。
健康保険組合等の長を、産業医に委託すると、そのような組織においては、往々にして上述のような問題が惹起されるように思います。
しかし、産業医は、専門職であり、管理職ではありませんので、産業医に組織管理を委ねるのは問題があります。
ですから、産業医を事業場健康管理部門の管理職に据えるのは、現実的ではありません。
健康保険組合等の長は、組織の運営管理に長けている人材を充てるべきでしょう。

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