いつものことですが、精神障害の労災認定のハードルは、他の労災事案と比較して極めて高いと感じています。
ただし、月80時間までは残業させてよいという「お墨付き」ではありませんので、念のため。
精神障害の労災認定
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken04/dl/120215-01.pdf
十六銀自殺、二審も棄却 労災認めず
2022年9月15日 中日新聞
二〇一一年に十六銀行(岐阜市)に入行し、八カ月後に自殺した男性=当時(25)=の遺族が、自殺は過重な業務や上司のパワーハラスメントによるうつ病が原因だとして、国に労災認定を求めた訴訟の控訴審判決が十四日、名古屋高裁であった。永野圧彦裁判長は、訴えを退けた一審名古屋地裁判決を支持し、遺族側の控訴を棄却した。
永野裁判長は判決理由で、一審同様に「一一年八月末ごろに軽症のうつ病を発病した」と認定。しかし、その後も同僚らとカラオケに行ったり、資格試験を受けたりしていたことから、「自殺までに精神障害を悪化させた状況は認められない」と指摘した。
遺族側が「休日も自宅で学習や研修に追われるなど仕事量の増大による心理的負荷は強かった」と主張したのに対し、永野裁判長は「月の時間外労働は八十時間を超えておらず、自殺が業務に起因すると認めることはできない」と判断。パワハラも認めなかった。
判決後に名古屋市内で記者会見した男性の父親は「医学的な論争に終始し、自殺に追い込まれる状況に触れられなかった。整理がまだつかない」と語った。
過労自殺、遺族補償認めず 十六銀行員、名古屋地裁
共同
2011年に十六銀行(岐阜市)に就職した20代男性がうつ病を発症し自殺したのは、過重な労働と上司のパワハラが原因として、遺族が、遺族補償を不支給とした岐阜労働基準監督署の処分取り消しを求めた訴訟の判決で、名古屋地裁は19日、「発症と業務に因果関係は認められない」として請求を棄却した。
井上泰人裁判長は判決理由で、男性がひどく怒られた場面を同僚が見たことがないと指摘。上司について「パワハラと評価すべき接し方だったとは認められない」と述べた。
資格試験の勉強時間も業務に含まれ過重だったとの遺族側主張も「銀行から具体的な指示はなかった」などと退けた。
判決などによると、男性は11年4月に入行し、岐阜市内の支店に配属され同年12月に自宅で自殺。遺族が岐阜労働基準監督署に労災保険法に基づく遺族補償を求めたが認められず、不服の審査請求も退けられた。